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22歳に34億円を投じたインテルが高評価 セリエA、冬の補強の通信簿

中村大晃カルチョ・ライター
冬のマーケットで評価が高かったインテル。写真は昨年12月のラツィオ戦(写真:ロイター/アフロ)

1月31日で欧州主要リーグの移籍市場が幕を閉じた。最終日に本田圭佑の去就も騒がれたセリエAの冬のマーケットで、メディアから高く評価されているのはインテルのようだ。

イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、セリエAのクラブは冬の補強に9470万ユーロ(約116億円)を投じた。2億3200万ユーロ(約283億円)のプレミアリーグには引き離され、1億5100万ユーロ(約184億円)のリーグアンとも開きがあるが、9900万ユーロ(約121億円)のブンデスリーガとはほぼ同額だ。(※セリエ以外のリーグは現地時間31日23時30分時点での推定)。

『ガゼッタ』と『コッリエレ・デッロ・スポルト』の両紙の採点で7.5点とリーグ最高だったのは、アタランタでブレイクした22歳のロベルト・ガリアルディーニを獲得したインテルだ。ファイナンシャルフェアプレーの制限があったが、1年半の有償レンタル後に買い取る義務をつける形で当面の支出を抑えることに成功。長期的な活躍が期待できるイタリア人の若手という点も高評価につながった。

総額ではボーナス込みで2800万ユーロ(約34億2000万円)と大金が動いたが、初のビッグクラブ挑戦となるガリアルディーニは重圧にも動じず、すぐに結果を出して称賛を浴びている。加えて、インテルはステファン・ヨベティッチ、フェリペ・メロ、セナ・ミアンゲ、アサン・ニュクリ、アンドレア・ラノッキアと、人員整理を同時に進めたことも評価された。

ガゼッタ・デッロ・スポルトの採点
ガゼッタ・デッロ・スポルトの採点

一方、王者ユヴェントスも『ガゼッタ』で7点、『コッリエレ』で6.5点と高く評価されている。パトリス・エヴラが去った左サイドの強化がなく、即戦力もジェノアから加入したトーマス・リンコンのみだが、アタランタからマッティア・カルダーラ(22)、アスコリからリッカルド・オルソリーニ(20)と期待の若手を獲得。それぞれ加入は来季以降となるが、将来に向けた着実な補強が好評を博している。

両紙の採点がユヴェントスと同じだったのが、マーケットが開く前からレオナルド・パヴォレッティを獲得した一方で、マノーロ・ガッビアディーニを最終日に放出し、黒字を出したナポリ。一方、フアン・マヌエル・イトゥルベを放出し、クレマン・グルニエを獲得したローマは、『ガゼッタ』が6.5点だったのに対し、『コッリエレ』は6点にとどまっている。

評価が分かれたのがミランだ。『ガゼッタ』では6.5と高評価だが、『コッリエレ』は5.5点と批判している。補強資金がない中で、パフォーマンスの低下が著しかったエムバイェ・ニアンを放出し、ジェラール・デウロフェウとルーカス・オカンポスをレンタルで獲得したことは評価に値する。結果的にジャコモ・ボナヴェントゥーラが長期離脱したことを考えればなおさらだ。だが『コッリエレ』は、マヌエル・ロカテッリの代役の獲得がなかったことを指摘。また、リオネル・バンジョーニをチームに残して左サイドバックの獲得に動かなかったこともマイナス評価した。

コッリエレ・デッロ・スポルトの採点
コッリエレ・デッロ・スポルトの採点

もちろん、メディアによる補強の採点はひとつの見方でしかない。夏のマーケットの採点を振り返っても、両紙からリーグ3位の8点と高く評価されたインテルが低迷し、最下位と酷評されたミランが予想外の躍進を遂げるなど、ピッチでの成績は真逆だった。

だが、シーズンもこの時期になるとチーム戦力が結果に大きく響き始める。インテルの復調やミランの停滞もその一例だ。各クラブが目標を達成できるのか、冬のマーケットでの動きはそのひとつの指標となるかもしれない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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