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「ET-KING」TENNさん突然の死に「なぜ?」

中西正男芸能記者

体中の毛が逆立つような速報が流れてから、携帯電話がひっきりなしに鳴り続けた。

「ET-KING」のメンバーとは公私ともに、正確に綴ると“公”よりも“私”の部分で親しくさせてもらっているため、あらゆる関係者から、事実確認、近況確認、お悔やみ、思い出話など、あらゆる内容の電話がかかってきた。

気になる問い合わせ

共通の友人が営む居酒屋が大阪・野田にあることから、TENNさんはもちろん、奥さんの上原多香子さんも一緒に、幾度となく宴席を共にした。

実は、今から2週間ほど前、知り合いの音楽関係者から気になる問い合わせがあった。

「上原多香子ちゃんところ、大丈夫なのかな?夫婦仲がうまくいっていないとも聞いたんだけど…」。

この言葉を聞いて、まず思ったのが「それはないだろう…」と。

というのも、TENNさんは、宴席の場で初対面の自分の仲間ともすぐに打ち解け、たまたま居合わせた隣のテーブルのお客さんとも気さくに話す妻を、いつもうれしそうに見つめていたから。お酒好きの妻とは対照的に、酒を飲まないTENNさんとのテンションの差はどんどん広がっていくものの、それでも2人が醸し出すしっとりとした空気が、仲のよさを物語っていた。

仲間と旅行も

今月23日、TENNさんは和歌山・串本に旅行に行っている。

一緒に行ったのは、自身が作ったサッカーチームのメンバー。気の置けない仲間と家族ぐるみでの1泊旅行だった。

自ら死を選んだとするならば、その2日前の行動とはとても思えない。実際、今回のことを受けて、複数の友人に話を聞いた。皆、反応は一様に同じ。「まさか…」だった。 

悲報からほどなくしてET-KINGのメンバーがそろい、顔を突き合わせて話をした。あらゆる話題が出たものの、理由が思い当たる人間は誰もいなかった。ただただ、泣くしかなかった。

TENNさんが住むマンションの別の部屋には、TENNさんの友人も住んでいる。何も知らないその友人が、朝から警察がマンションに多数詰めかけ、ブルーシートのかかった車を見て、まさか、それが友人の最期を調べるために行われていることだと想像だにしなかったという。

それくらい、「TENNさんが思いつめている」、「TENNさんの様子がおかしいんじゃないか」などと思う空気は皆無だったのだ。

また、別の友人は「今住んでいるマンションは、昨年末に購入したばかり。ET-KINGのメンバーが全員集まってのミーティングも、月1回は必ずやっている。ミーティングでは活動再開の話も出ていた。家も買い、仕事でも前向きな流れが見えている最中での、こんな話。いまだに信じられない」とうつろな目で話した。

経済的に苦しかった?

実は、前出の音楽関係者が上原さんとの不仲説を尋ねてきた理由というのが、「TENNさんが経済的に苦しいのでは」ということが発端だった。

今年4月にET-KING活動休止後、TENNさんは、ET-KINGのメンバーであるBUCCI、センコウとのユニット「ヒロウモンズ」を結成。最近は、定期的に同ユニットのイベントを行うことが主な活動だった。確かに、仕事量はET-KING時代よりはセーブした状態になっていたかもしれない。

しかし、金銭的に窮していたという話は、現時点までの僕の取材では聞こえてこない。宴席では、上原さんから「この人は、私の稼ぎで食べてるからね!」と軽口が飛び出すこともあった。それでも、ニコニコとした上原さんの表情も相まって、周囲はそれを「TENNさん、お金がないんだ…」と取るわけではなく、「やっぱり、夫婦仲がいいんだな」と夫婦円満の証と取っていた。

どうにかしてやれなかったのか…

もちろん、いくら近しい関係であろうと心の奥底はおいそれと見えるものではない。「男気あふれる性格で、自分の弱みは見せないヤツだった。もし、何かを抱えていたのなら、どうにかしてやれなかったのか…」と悔やむ仲間も多々いる。

本当の答えは、TENNさんの中にしかない。周りが真実を推し量るには限界がある。ただ、僕を含め、周りの人の心に埋めようのない穴を残したことだけは、間違いのない事実となってしまった。

生前、TENNさんは落語に造詣が深い友人を通じて、落語にどっぷりハマッていたという。中でも、お気に入りは桂枝雀さんだった。

「この人の落語はホンマにおもしろい。ただ、自分としては、この人の最期だけはどうしても好きになれない」。

自らの手で命を絶った枝雀さんについて、そうつぶやいていたTENNさんの言葉が、今はぐるぐると頭の中を回り続けている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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