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芸歴4ヵ月で「R-1ぐらんぷり」決勝進出!厚切りジェイソンにインタビュー

中西正男芸能記者
「R-1ぐらんぷり2015」決勝進出を果たした厚切りジェイソンさん

ピン芸人No.1決定戦「R-1ぐらんぷり2015」で決勝進出を果たし、話題を呼んでいる厚切りジェイソンさん(28)。芸歴わずか4ヵ月。現在も、IT関連企業役員という肩書を持つ異色の芸人さんですが、年末の特別番組でタレントのベッキーさんが大絶賛したことで知る人ぞ知る存在となりました。名門大学に飛び級入学したエリートが日本でお笑いを目指そうとした理由は…?そして、胸に秘めた野望とは…?流暢すぎる日本語を駆使して語り尽くしました。

はじめまして、厚切りジェイソンです。芸人として誇るような“名刺”がまだなくて、申し訳ありません(笑)。去年10月から、ワタナベエンターテインメントに所属しております。

2005年に1年間だけ日本に来まして、またそこからアメリカに戻って、2011年から今にいたるまで日本で暮らしています。2005年に来た時は日本語が全然分からなかったんですが、その時、大ブームだった「エンタの神様」(日本テレビ系)を見て「これはおもしろい!!」と思いまして。

最初は日本語の勉強のため

また、ネタ番組は日本語の勉強にすごくいいんです。というのも、まず字幕が出ます。そして、オチのところが大文字になっていますので「ここが笑うポイントですよ!!」というのが実に明確なんです。ただ、笑いを生むための特殊な文章を教科書にしておりますので、その後の日本語コミュニケーションはちょっとおかしなことになります(笑)。

でも、おかげで、最初は分からなくて悔しい思いをした日本語が、2008年には日本語検定2級、翌年には1級を取ることができました。

話が前後してすみません。2005年に日本に来た時は、まだイリノイ大学の学生だったんですが、具体的な社名で申し訳ないんですけど、旭化成で米国英語に特化した音声認識ソフトの開発・研究をやりにきました。

そして、日本で「アクセルホッパー」さん、「オリエンタルラジオ」さん、「クールポコ」さんら芸人さんをたくさん見ました。その結果、また日本に来たい、日本でお笑い芸人をやりたいと思うようになったんですが、お笑い芸人というとなかなかビザがおりない。その時、ちょうど“渡りに船”で僕が住んでいたシカゴのIT関連企業が日本法人を立ち上げるということだったので、そこに参加して日本に来たんです。

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お笑いをやりたくて再来日

今も会社では役員のままです。芸人一本でやりたい気持ちはあったんですけど、妻と娘が2人いまして責任も伴いますので、仕事は辞められない。

そんな中で「ザブングル」さんが出ている営業を観に行った時、そこで加藤歩さんにステージに上げてもらったんです。加藤さんがお客さんの中で力の強そうな人を選んで腕相撲をするという流れだったんですけど、それで僕が選ばれまして。結果、僕が腕相撲に勝ちまして、加藤さんが「悔しいです!!」とやると、1000人くらいのお客さんがドッと沸いたんです。もちろん、加藤さんが笑わせているんですけど、その経験がすごく気持ちよくて、加藤さんに強引に名刺を渡したんです。

そこから加藤さんに飲みに連れて行ってもらうようになり、そこで「ワタナベのスクールに土日コースみたいなものあるから、会社を辞めなくても目指せるよ」と教えてもらいまして。これはやるしかないな!と。

ネタは素朴な疑問から

ただ、ネタを作ったのも初めての体験でした。今、テレビなどでやらせてもらう機会が多いのは「“一”“二”“三”ここまでは分かる。どうして次がいきなり“四”になるんだ!!法則が分からない!!」というようなネタなんですけど、これは純粋に日本語を勉強する中での疑問から生まれたものでして。

今でも日本語を覚えるために、毎日毎日漢字の書き取りをやっています。その中でも、日々「これ、おかしいんじゃない?」と思うことがあるんです。例えば“短大”という言葉。「短いのか、大きいのか、どっちなんだ!!」という(笑)。あと、東京の駅で“東北沢(ひがしきたざわ)”という駅があるんですけど、北に東を足すと“東北(とうほく)”になると教えられたのに「“東北沢(とうほくざわ)”じゃないのかよ!!」だとか。

年末に「速報!有吉のお笑い大統領選挙2014」(テレビ朝日系)という番組に出してもらうまでは、月1回ほどライブをやっていたくらいなんですけど、そこから一気に変わりました。番組に出てらしたベッキーさんが「おもしろい!!」とツイッターでつぶやいていただいて、それだけで400人くらいだったフォロワーが1万人を超えました。

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夢は東京五輪に…

今は、役員の仕事との両立がなかなか難しくなりつつあります。半休をいただいたり、取締役会を抜け出したりしながら芸人の仕事をやっています。

2015年、今年はまず頑張って知名度を上げて、2020年に東京にオリンピックが来ますので、その時に、外国人タレントとしてしっかりと活動できていることを目指せればなと思っています。

何だか、壮大な話を言いすぎましたでしょうか?申し訳ありません…(笑)。

■厚切りジェイソン(あつぎりじぇいそん)

1986年4月9日生まれ。アメリカ出身。本名はジェイソン・ダニエルソン。身長186cm。飛び級入学で17歳の時にイリノイ大学に入学。IT関連企業の役員を務めるかたわら、ワタナベエンターテインメントの先輩にあたる「ザブングル」の加藤歩の勧めで養成所に入り、2014年9月にデビュー。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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