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ゆりやんレトリィバァ、「私の方が『8.6秒バズーカー』より絶対におもしろい」

中西正男芸能記者
「R-1」決勝に進出するなど、今注目のゆりやんレトリィバァ

先月行われたピン芸人No.1決定戦「R-1ぐらんぷり2015」で決勝に進出し、一躍注目を集めた女性ピン芸人・ゆりやんレトリィバァ(24)。おっとりしたしゃべり方、そして、この上なくお笑い向きのルックスなどから“山田花子二世”との異名も取っています。しかし、ファニーな見た目の下には、ブレイク中の後輩「8.6秒バズーカー」への、そして、世間へのたぎるようなマグマでした。

…わざわざすみません、取材してもらって。本当にありがとうございます。よろしくお願いします!!

ありがたい話なんですけど、先月「R-1」があってからは、1日も休みなくお仕事をさせてもらっています。 

私は(吉本興業の芸人養成所)NSC大阪校35期生なんですけど、2013年の2月にNSCの卒業ライブで優勝することができて、“首席”という肩書をいただいたんです。そんなこともあって、1年目から、いろいろとお仕事はさせてもらったりもしていたんですけど、この前は関西テレビ「ミュージャック」の収録で東京に行きまして、そこで「AKB48」の高橋みなみさんとご一緒させてもらったんです。お仕事で自分の横にいる人が今までとは明らかに違ってきているので、それはうれしいのと戸惑うのと両方です…(笑)。

新喜劇を見て希望が!

そもそも、お笑いをやろうと思ったきっかけは、吉本新喜劇でした。小学校に入った頃から、目立つことが好きな子供ではあって、自分も人前に出るようなことをやりたいと漠然とは思っていたんです。ただ、テレビに出るというのは“きれいな人限定”みたいなイメージもあったんですけど、新喜劇を見て「あ、そうじゃなくても、脚光を浴びられるんや!!」と思いまして。新喜劇の皆さんに怒られますかね…(苦笑)。でも、子供の私にとって、大きな、大きな、希望をいただいたのが新喜劇だったんです。

そして、大学4回生の時に、NSCに入ったんですけど、最初は周りの人みんながとんでもなくおもしろい人に見えて「こんなところに来て大丈夫かな…」と思いました。それが、途中から、意外と、あの~、なんて言うんですかね…、「あれ、勝てそう」と思ってきまして…(笑)。というのも、4月に入学したんですけど、7月ごろからはNSCの選抜メンバーみたいなのに選んでもらえるようになりまして、自分が認められたという感覚がすごくうれしくて、さらに頑張るみたいな流れが生まれていきました。

「8.6秒バズーカー」にゴッソリ持って行かれた

そして、卒業の時に首席という肩書をもらって、1年目としてはたくさんお仕事もいただき、今年は「R-1」も決勝に残ることができたんですけど、今回の「R-1」に至る経緯のところで、原動力になったのが後輩の「8.6秒バズーカー」だったんです。

本当に正直な話、ここ1~2年は「今、若手で誰がきてる?」みたいな話になった時、それこそ、私の名前を挙げていただくことも多かったんです。1年目で、もちろん一番下で「スーパールーキーみたいなのが出てきたぞ!!」というような空気になっていたのに、そこを去年からゴッソリ持って行かれた。メチャメチャ悔しかったです。

その思いがあったからこそ、さらに「R-1」に力を込められたというのはあると思います。今年、賞レースで結果を残さないと、結局「NSCで1番だった“だけ”の人」で消えてしまう。「ちゃんとネタができるところも見せて、結果も残さないと」という思いがありました。

だから、去年はより一層、ネタに力を入れようと。「なんやコイツ…」と思われる、おかしな行動かもしれないですけど、難波にある若手の劇場の近くに私は住んでるので、連日、夜中に劇場に行ってました。というのは、劇場って、その日一日の舞台を記録としてずっと録画してあるんです。誰もいないところでそのVTRをずっと見て、ちょっとでも吸収できるものがないかなと。ま、自分のことながら、夜な夜な劇場で映像を見ている姿を誰かに見られたら、確実に「なんやコイツ…」とは思われますよね(笑)。

応援できる余裕はない

それと、まさに今がそうですけど「8.6秒バズーカー」がメチャメチャ売れて、彼らが劇場出番で楽屋にいたりすると「お前ら、すごいな!!俺らを引っ張るためにも、もっと頑張ってくれよな!!」みたいなことをおっしゃる先輩もいるんですけど、私、そういう話になったら、楽屋を出るんです(笑)。そこにいてられないんです。とんがっているのか。

もちろん、おもしろいし、人気もあるし、見た目もキレイやし、後輩としてかわいいし、尊敬もしてるんです。嫌いとかそんなことではなく、何というのか「自分自身、人の応援ができるほど余裕もないし、今はとにかく頑張らないといけない時期だ」という考えが強いんです。 ま、もっと言いますと「絶対に、私の方がおもしろい!!」という思いもあります。だからこそ「頑張らないと」と思えますし。

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お前のほうがずっと腹黒い

あと「R-1」があってから、ありがたいことに、山田花子さんのお名前を出していただいて、私のことを言ってもらうことも多くなりました。私は山田花子さんにお会いしたことはないんですけど、自分がお笑いを目指すきっかけとなったのが山田花子さんが出てらした新喜劇でしたし、すごく、すごく、光栄で、恐縮なことやと思っています。ただ、山田花子さんも、私も、両方知っているスタッフさんがおっしゃるには「ゆりやんの方が、ずっと腹黒い」と(笑)。

ま、そう言われると、中学校の時に入っていたテニス部でかなりいじめられてもいて、いつか芸人になって「その時にいじめていた人が、自分にすり寄ってくるようにしてやる!!」みたいな思いは…しっかりとありますしね(笑)。「R-1」でやった、アカデミー賞女優のインタビューがおかしなことになっていくネタとかでもそうなんですけど、常にあらゆるものを“いやらしい見方”で見るクセは染みついていると思います。

例えば、悪っぽく見える人でも、らっきょで言うと、どんどん皮をむいていって最後の芯の部分は“善”だったりするんだと思うんですけど、私はそこの芯が“真っ黒”なのかもしれません(笑)。

…え、記者さんが部屋を出た後に「ひどい取材やったなぁ…」とか悪口言わんといてくださいって?

そんなん、言いませんよ~(笑)。

■ゆりやんレトリィバァ

1990年11月1日生まれ。奈良県吉野郡出身。本名・吉田有里(よしだ・ゆり)。関西大学文学部4回生の時に、大阪NSCに35期生として入学。2013年2月に行われた「NSC大ライブ2013」で優勝し、NSCを首席で卒業する。1年目から毎日放送「ロケみつ」のレギュラーになるなど注目を集める。芸名は、高校時代からのあだ名「ゆりやん」と、友人の間で話題になっていた犬種「ゴールデンレトリィバァ」を合わせて作ったもの。14年には、吉本興業の地域活性化プロジェクト「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で3代目奈良県住みます芸人に就任。今年2月に放送された「R-1ぐらんぷり2015」では決勝に進出し話題を呼ぶ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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