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福山雅治の背中を10年追って分かったこと

中西正男芸能記者
福山雅治のモノマネでおなじみのタレント・みっちー

俳優・歌手の福山雅治さんのモノマネでブレイクしたタレント・みっちーさん(40)。もともと、俳優として活動していましたが、福山さんネタが生活を一変させました。“本家”福山さんは主演映画「SCOOP!」が10月1日に公開されるなど、常にビッグウエーブを生み出していますが、その波に体を預けて今年で10年。今、こみ上げる思いを語りました。

似せていったらモテるかも

福山さんのモノマネをテレビで始めたのが2007年。なので、今年で10年になります。ファン歴としては23年くらいになりますけど。

そもそも、モノマネをするきっかけは、高校時代、野球部だったんですけど、クラブを卒業して丸刈りから髪を伸ばしだしたら、周りから「あれ、福山に似てるんじゃないか」と言われまして。もともと、ファンで曲を聞いたりはしてましたし、自分でも「そりゃ、福山さんだし、これは似せていったらモテるんじゃないか…」と思って、髪を伸ばしまして。それがスタートだったんです。

そして、1998年あたりから俳優を志して東京に出るんですけど、なかなか俳優としては芽が出ないというか。8年やって、TBS系ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」とかにエキストラとしては呼んでいただいても、なかなか仕事がない。

そのまま2005年になり、28歳、29歳になってきて、いよいよどうしようかと思ってきたあたりで、日本テレビ系「エンタの神様」ブームがやってきたんです。

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ラストチャンスと思って…

役者を目指している身からしたら「エンタ…」って、夢みたいな番組なんですよ。というのは、ネタの前に、最初に名前をドンと出してもらえるんですよね。役者としたら、エンドロールでちょこっと名前が出ることはあっても、それだけ名前が出ることはないなと。ラストチャンスだと思って、オーディションを受けることにしたんです。

ただ、ネタのオーディションを受けると言っても、何をやったらいいのか分からない。俳優としてやってきたので、ネタなんてありませんから。そこで思いついたのが、昔から本当に好きでやってきた福山さんのモノマネだったんです。

そこでネタを考えてオーディションを受けに行ったら、無事に受かりまして。TBS系「あらびき団」とか。ただ、そこで、表に出るということは、僕がやっているモノマネが公になるということ。実際、本当に好きな方だし、だからこそ、その人を怒らせるようなことになったら不本意ですし、僕が所属しているオスカープロモーションの担当者さんを通じて、福山さんの事務所・アミューズの担当者さんにそっと打診をしてもらったんです。すると、「全然、大丈夫!!」とご本人が言ってくれてると。これはうれしかったですね。

忘れられない言葉も

福山さんをやらせてもらって一番印象に残っているのは、2008年の大みそかです。毎年、福山さんがカウントダウンライブをやられているんですけど、そこに出演者として呼んでいただきまして。実は、生身のご本人と会うのは初めてだったんです。自分の中で、仕事で呼んでいただくようになるまでは福山さんを生で見るのは控えておこうと思って。だから、ライブにもあえて行かないようにしていたんです。自分の中の妙なこだわりで(笑)。

ただ、それが良かったのか悪かったのか、初めてリハーサルでお会いした時に、ガチガチに緊張しすぎまして…。伝説上の生物みたいに「本当に、いてるんだ」というのが正直な思いでした(笑)。驚きすぎて、一切、何のリアクションもできなかったです…。

ライブ終了後、楽屋でお会いした時も、また思いがこみ上げてきて、あろうことか、泣いてしまいまして。その涙を、福山さんがティッシュでふいてくださるというだけでもありがたかったんですけど、忘れられないお言葉もいただきまして。

「みっちー、今日はオレのバーターで来てもらったけど、今度はオレをバーターで呼んでくれよな」って。すごい言葉だなと。心が震えました。

それからもコンサートに呼んでいただいたりしたんですけど、ある日、テレビ番組に呼ばれたんです。福山さんの新曲が出るというPRを僕がやるという。福山さんご本人は出ないのに、僕だけが出るなんて「僕もここまできたか…」なんて思っていたら、番組が終わった後、楽屋にディレクターさんが入ってきておっしゃったんです。

「最初に言うと、緊張されるかと思って言わなかったんですけど、実は、福山さんご本人から『この曲を紹介するにあたって、みっちーを呼んでもらえませんか』と連絡があったんです」と。僕としては自分の力で呼ばれている気でいたのが、なんとも、なんとも…。当時はいろいろなネタ番組がバタバタと終わった頃で、そんなこともあって、気にかけてもらったのかなと。お釈迦さまの掌の中で転がされているみたいな、そんな感覚でした。

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しっかりと追いついていきたい

福山さんになりきって10年、ネタをさせてもらうことで、何者でもなかった自分が世の中の方に知ってもらった。そして、結婚して子供までできた。これは、まぎれもなく、福山さんのおかげです。いつも自分を戒めるきっかけにもなるんですけど、仕事先でも、プライベートでも、見知らぬ人から声をかけてもらったり、お店でも「これ、食べてください」とかサービスしてもらえるのは、僕の力じゃないですからね。それを常に忘れないようにしなきゃなと。

今でも、ご本人にお会いすると、僕の仕事の状況を聞いてきて、心配をしてくださるんです。そこで、こちらに尋ねずとも「お、頑張ってるな」と思ってもらえるくらい、僕が頑張るのが唯一の恩返しだと思っています。

ただ、ご本人はいつまでも若々しいですけど、僕ももう40歳になりましたからねぇ…。これからも、なるべくご本人に後れをとらないように、しっかりと追いかけていきたいと思っています。そのために、とにかく、とにかく、外を歩くときは日傘をさしています(笑)。

■みっちー

1976年9月26日生まれ。福井県鯖江市出身。本名・道下明広(みちした・あきひろ)。近畿大学短期大学を卒業後、俳優を目指して東京へ。TBS系ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」などに出演するも、2007年にお笑い芸人としての活動をスタート。オスカープロモーションのお笑いライブを勝ち抜き、所属となる。2010年に一般女性と結婚。10月4日にはフジテレビ系の特別番組「スターが開店!淳&ブラマヨのおしゃべり商店街」に出演する。また、bay FM「Branding Hit TOKYO Bay」、レインボータウンFM「あすか美生のDreamドライヴ」などにレギュラー出演中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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