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幹てつや、ピコ太郎の出現に「体が震えた」!

中西正男芸能記者
現在はモノマネ芸人として活躍中の幹てつや

「爆笑問題」「ネプチューン」らを輩出したフジテレビ系「ボキャブラ天国」(1992年スタート)で全国的な知名度を得たタレント・幹(みき)てつやさん(49)。最近は浜崎あゆみさんのモノマネネタをするタレント・あゆさん(32)とのコンビ「かりすま~ず」を軸に活動しています。

あゆさんとは2012年に結婚し、公私ともにパートナーに。さらに、先月、あゆさんが妊娠7ヵ月であることも公表しました。同じ「ボキャブラ…」出身の古坂大魔王さん(43)がプロデューサーを務めるピコ太郎さんが世界的に注目を集めていますが、「ピコ太郎が出てきた時は体が震えました。やっぱり『ボキャブラ…』メンバーのポテンシャルはすごいと思うし、自分も世界を驚かせたい」と言葉に力を込めました。

人生で一番つらかった

僕が「ボキャブラ…」に出始めたのが1997年。もう20年近く前ですか…。「ボキャブラ…」の前は、地元・大阪で活動をしてまして、ありがたいことに桂三枝(現・六代桂文枝)のところに入門して芸能活動を始めて以来、関西ではずっと何かしらレギュラー番組を頂戴していて、東京に出る直前も5本ほど番組に出させてもらってました。でも、やっぱり「ボキャブラ…」の影響力というのはすさまじかったですし、ここをきっかけに東京で頑張ろうと思って、大阪の仕事を全部整理して上京したんです。

ただ、始まりがあれば終わりがある。99年にレギュラー放送の「ボキャブラ…」がなくなってからはホンマにしんどかったですね。しばらくは余波的な営業なんかもあったんですけど、それもすぐに減って完全に仕事がなくなってしまった。

その頃、33、34歳くらいでしたけど、当時は人前でネタをやるのが年に数回という状況でした。それも結婚式の営業とか、お客さんが15人くらいの若手のイベントに出してもらうとか、そういう場もカウントしての年に数回ですから。なんばグランド花月に出るとか、テレビに出るということではなく。

「あ、もうこのまま消えていくのか…」という恐怖。仕事はないけど、一応、顔を知ってくださっている方もいらっしゃるので、なかなかアルバイトもできない。こっちの被害妄想的なものなのかもしれませんけど、人からの視線が突き刺さるように感じて外に出るのが苦痛になってくる。心も折れてきてるから、年に数回の舞台もどんどんウケなくなっていく。ここが今までの人生で一番つらかったです。間違いなく。

やめることも何回も考えました。目立たんような海外にでも行って、そこで働こうかと。でも、まず海外に行くお金がない(笑)。状況はとてつもなく厳しい。でも、このまま終わるのは悔しい。何とか、もう一回…。でも、ままならない。このサイクルに心が置かれて、苦しかったですね。

わずかな火が消えることはなかった

ただ、そんな中でも、世間を驚かせるようなネタを見せたい。そのわずかな火が消えることはなかった。それが、今でもこの仕事を続けている要因やと思います。また、その火を消さないよう、助けてくださる方がいたのも本当にありがたかったです。

中でも、宮川花子さんは東京に来られるたびにご飯に連れて行ってくださって、そこでいろいろな人に会わせてくださるんです。そして、連絡も頻繁にしてくださる。花子さんに「最近、あんたどうしてんの?」と聞かれた時に「いや、何もありません…」では申し訳ないので、何かしら話すことを作っておかないといけない。そうなると、頑張って外にも出るし、人にも会うようになる。

そんな支えをいただいて、それがNHKの「サイエンス・ゴーゴー」(02~06年)という番組で理科のお兄さん的なお仕事をすることに結びついていったんです。キーボードがしゃべるというネタを考えて、音楽・芸術ユニットの「明和電機」さんにも相談させてもらい、なんとか一番苦しい時期を乗り越えることができました。

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かけがえのないパートナーとの出会い

さらに、その頃、日本テレビ系で「エンタの神様」が始まりまして。これには「ボキャブラ…」が始まった頃のような衝撃を受けたんです。直感的に「自分も何とか出たい!」と思って。ここでも、キーボードがしゃべるネタみたいに、何か新しいものを作って、人をびっくりさせるようなことをしたいと思って、全身金色の服を来て、アフロのカツラをかぶって、幹てつやとは言わず「アフロtheゴールドwithシスターズ」というユニットでネタを作りにかかったんです。その頃も生活は苦しかったですけど、心が燃えてたんで以前よりはずっとマシで、思いどおり「エンタ…」にも出演することができました。

そして、その時にメンバーとして来てもらったのが今の妻、浜崎あゆみさんのモノマネをするあゆだったんです。かけがえのないパートナーと出会うこともできましたし、本気で努力をしたら道はできるんだと。本気で勝負をしたら、何かしら生まれるんだと。この体験も、大きな教訓になりました。

そこからまた「エンタ…」も終わって、今度は営業先で矢沢永吉さんのモノマネをされる方と一緒になって、そこをきっかけに自分も矢沢さんのネタをやるようになり、今は妻ともどもモノマネの道を歩んでいます。

才能は別格だった

何回も「もうダメだ」とも思いましたけど、なんとか、今でも歩み続けている。そんな中、僕にとってものすごく衝撃的だったのがピコ太郎の登場でした。同じ「ボキャブラ…」でやっていた古坂大魔王がプロデュースしているピコ太郎というのが正確な言い方なんですよね(笑)。ま、そのピコ太郎が世界的にブレイクしている。

古坂大魔王もお笑いから音楽からいろいろなことを信念を持ってやってきた。「ボキャブラ…」に出る前に東京の下見というか、どんなところなんだろうと見に来ていた時期があったんですけど、その時から(古坂大魔王のコンビ)「底ぬけAIR-LINE」はライブ会場でも別格でした。テンポ、ネタ、存在感。全部がすごかったです。「ボキャブラ…」の頃にライブにも呼んでもらって一緒にやったりもしてましたけど、この人の才能はちょっと違うなと感じていました。

ただ、それでも、すぐに大ブレイクという流れはなかったけれども、彼もあきらめずに戦ってきた。それは僕にとって、大きな、大きな励みになっています。自分も、世界をびっくりさせよう。みんながみんなできることではもちろんないけれども、その道があることは示してくれた。これは心強い。だから、僕もまた今日から頑張ろうと思いました。

やれることは全てやる!

正直、ピコ太郎が出てきた時は体が震えました。手前味噌みたいになるかもしれませんけど、やっぱり「ボキャブラ…」メンバーってポテンシャルがすごいんやと。そして、みんな、今はそこまで世に出ていない人間でも「いつか…」と思って準備をし続けている。こんなに励みになる出来事はありませんでした。

ま、ここだけの話ですけど、僕、どっちか言うたら、完全にアナログ人間やったんですけど、ピコ太郎のブレイク以来、最近はSNSをものすごく更新してます(笑)。ブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム。インスタグラムなんかはなんのこっちゃ分からんことも多分にありますが…、何が世界に通じるか分かりませんのでね。とにかく、とにかく、とにかく、まずはそんなところから、やれることは全てやっていこうと思っています(笑)。

■幹てつや(みき・てつや)

1967年7月5日生まれ。大阪府出身。本名・佐川顕一朗。大阪体育大学卒業。88年、桂三枝(現・六代桂文枝)に師事し、デビュー当時から関西で数々のレギュラー番組を持つ。フジテレビ系「ボキャブラ天国」で全国的な知名度を獲得。同番組終了後は「歌う理科のお兄さん」としてサイエンスショーなどにも出演する。2012年からは浜崎あゆみのモノマネをする女性芸人・あゆとのコンビ「かりすま~ず」を結成し、矢沢永吉のモノマネを軸に活動を始める。2014年にあゆと結婚。今年10月、あゆが妊娠7ヵ月であることを公表した。「かりすま~ず」、布袋寅泰のモノマネネタをするペレ草田、「B'z」稲葉浩二のネタをするハロー植田、錦織圭のネタをするしまぞうZで結成された「よしもとモノマネスター軍団」としても活動している。また、13日放送のTBS系「クイズ☆スター名鑑」にも出演している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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