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アメリカの金融政策:12月のFOMCの「議事録」から読み解く金融制度の仕組みと今後の金融政策の行方

中岡望ジャーナリスト
12月のFOMCで目標金利の範囲を引き上げたイエレンFRB議長(写真:ロイター/アフロ)

内容:

1.金融政策を決定するFOMCの仕組み  2.連邦準備制度の確立の背景

3.金融政策と公開市場操作        4.FRBの2つの政策目標

5.金融政策の仕組みを理解しておこう   6.過剰準備こそが金融政策のエッセンス

7.金融政策と中間ターゲット       8.FOMCの「議事録」を読む

9.FOMC委員の議論と政策決定     10.利上げ決定の根拠は何か

11.先行きの見通しはどうなるか      

1.金融政策を決定するFOMCの仕組み

2017年1月5日に12月に開催されたFOMC(Federal Open Market Committee、公開市場委員会)の「議事録」が公表された。12月13日と14日に開催されたFOMCは、政策金利(フェデラル・ファンド金利=銀行間市場の金利、日本のコール金利に相当する)の目標範囲を0.25%~0.5%からそれぞれ0.25%ポイント引き上げ0.5%~0.75%にすることを決定した。FOMCの「議事録」は会合開催から3週間後に発表されるルールであり、今回の議事録の公表も、これに沿ったものである。なお、出席者の詳細な発言を記録した「速記録」は会議から5年後に公表されることになっている。

メディアはFOMCの利上げ決定を報道しているが、必ずしも十分な説明が行われているわけではない。「議事録」を詳細に読むことで、アメリカの金融政策をより深く理解することができるし、アメリカ経済の何が問題であり、FOMC委員たちが何を考えているかが見えてくる。アメリカの金利動向はアメリカ経済のみならず、世界経済にも大きな影響を与えている。トランプ新政権の誕生でFRBの金融政策がどう変わるかも大きな焦点となっている。

「議事録」を分析する前に、アメリカの中央銀行制度がどのような仕組みになっているか知っておくことが大切である。制度や仕組みを理解していないと、政策についても本当の理解はできない。

アメリカの金融制度は特異である。各国には国名を付した中央銀行が存在する。日本には日本銀行、イギリスにはイングランド銀行、EUには欧州中央銀行、カナダにはカナダ銀行、韓国では韓国銀行がある。だがアメリカの場合、中央銀行制度は「連邦準備制度(Federal Reserve System)」と呼ばれ、中央銀行に相当する組織は「連邦準備理事会(FRB=Federal Reserve Board)」である。FRBは、1913年に「連邦準備法(Federal Reserve Act)」によって設立された。イングランド銀行設立は1694年、日本銀行設立は1882年であり、それと比べると極めて遅かった。ただ、それまでアメリカに中央銀行がなかったわけではない。過去に政府の銀行として、第一次合衆国銀行(the Bank of the United States, 1791年~1821年)と第二次合衆国銀行(1816 年~1836年)が設立されている。いずれも20年の認可であり、議会が認可延長を承認しなかったために両銀行とも短期間で役割を終えている。第二次合衆国銀行が廃止された後、アメリカでは中央銀行の存在しない期間が続いた。この期間を「フリーバンキングの時代」と言い、自由に銀行設立ができ、自由に銀行券を発行することができた。銀行には州の認可に基づく「州法銀行(state-chartered bank)」と連邦政府の認可に基づく「国法銀行(federal-chartered bank)」の2種類が存在していた。現在も、その制度は続いている。銀行の経営を監督する通貨監督官が置かれた。また通貨制度は金本位制で、銀行は金準備あるいは財務省証券を支払準備として持てば、その範囲内で自由に銀行券を発行することができた。

2.連邦準備制度の確立の背景

フリーバンキングの時代に金融パニックが起こった場合、“最後の貸し手”である中央銀行が存在しないためJPモルガンなどの大手金融機関や手形交換所加盟銀行が中心になって経営危機に瀕した銀行に緊急融資を行って救済するのが普通であった。だが、アメリカ経済が大きくなるに従って民間金融機関だけでは金融パニックに対処できなくなった。特に1907年の金融恐慌後、金融機関や企業から中央銀行設立を求める声が高まった。だが三権分立に見られるようにアメリカでは伝統的に権力の集中を嫌う傾向がある。中央銀行が強大な権力を持つことは特に忌避された。第二次合衆国銀行も議会が認可延長を決めたにもかかわらず、「銀行は悪である」と考える民主党設立者のアンドリュー・ジャクソン大統領は拒否権を発動して認可延長を認めなかった。リベラル派は大手金融機関が中央銀行と結託して経済を支配するのではないかという強い懸念を抱いていた。そのメンタリティは、現在にも引き継がれており、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員やベニー・サンダース上院議員は金融機関に対して批判的である。

そうした状況から妥協案として出来上がったのが「連邦準備制度」である。この制度では、ワシントンにFRB(連邦準備制度理事会)を置き、アメリカを12の地域に分け、各地域に連邦準備銀行を配置するという奇妙な組織が出来上がった。

では連邦準備制度の下でどのようにして金融政策が決定されているのだろうか。連邦準備制度には二つの政策決定機関がある。ひとつはFRBであり、もうひとつはFOMCである。教科書的にいえば、金融政策には三つの手段がある。「公定歩合政策(discount rate)」、「預金準備率政策(reserve requirements)」、「公開市場政策(open market operation)」である。具体的な役割としては、FRBは公定歩合と預金準備率を決定する権限が与えられている。現在、FRBは公定歩合(中央銀行による民間銀行への貸出金利)の変更を決め、公表しているが、公定歩合は形骸化しており、実質的な意味はなくなっている。日本銀行は既に公定歩合制度を廃止し、銀行に対する貸出は要請に応じて自動的に貸し出す「補完的貸出制度」を導入している。二つ目の預金準備率操作もほとんど発動されることはない。金融市場が十分に整備されていない中国などでは預金準備率政策が頻繁に使われているが、先進国では金融政策の基本は金融市場を通して行われている。

3.金融政策と公開市場操作

要するに現在では公開市場操作が唯一の金融政策の手段になっていると言っても過言ではない。公開市場操作とは、中央銀行が公開市場で民間銀行を相手に国債などの債券の売買を通して「準備(reserve)」の量をコントロールすることで政策金利(フェデラル・ファンド金利)を目標範囲内に誘導する政策である。政策金利の目標を設定する権限を持っているのがFOMCである。FOMCは政策決定機関として、大恐慌の最中にルーズベルト政権の下で成立した「1993年銀行法(Banking Act of 1993)」によって設置された。

FOMCについて具体的に説明する。フェデラル・ファンド金利の目標範囲はFRB理事と連邦準備銀行総裁で構成されるFOMCで決定される。FOMCは7名のFRB理事と5名の連邦準備銀行総裁の12人で構成される。FRB議長は自動的にFOMC委員長に就任し、ニューヨーク連銀総裁が常任委員長を務める。ニューヨーク連銀総裁が常任副委員長を務めるには理由がある。実際の金融政策はニューヨーク連銀がニューヨーク金融市場でFOMCの代行として行っている。歴史的にもニューヨーク連銀はすべての面で非常に大きな影響力を持っている。ベンジャミン・ストロング・ニューヨーク連銀初代総裁はFRB設立にも直接関与し、連邦準備制度が設立された初期の時代は、FRB議長よりもニューヨーク連銀総裁の方が強い力を持っていた。金融政策の指導権を巡ってFRBとニューヨーク連銀が対立したこともたびたびあった。ニューヨーク連銀総裁を除く11人の連銀総裁の中から4人の総裁が交代に投票権を持つ委員としてFOMCに参加する。政策は委員による投票によって決定される。他の連銀総裁には投票権はないが、FOMCに出席して政策議論に参加することができる。投票権のある連銀総裁は1年ごとに交代する。

12月のFOMC会合では、FRBからはジャネット議長、フィッシャー副議長、ブライナード理事、パウエル理事、タルロ理事の5名が参加(現在2人の理事は欠員)。連銀からはニューヨーク連銀総裁、セントルイス連銀総裁、カンサスシティ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁、ボストン連銀総裁の5名が投票権のある委員として参加している。2017年はシカゴ連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁、ダラス連銀総裁、ミネアポリス連銀総裁が投票権のある委員に就任する。連銀は四つの地区グループに分けられ、各グループから一人の総裁が投票権のある委員に就任する。

FRB理事は大統領が指名し、上院が承認する。FRB理事の任期は14年と長く、再任はできない。大統領は理事の中からFRB議長と副議長を指名し、上院が承認する。FRB議長と副議長の任期はそれぞれ4年で、再任は可能である。最も長期間、議長の座にあったのはウィリアム・マーチン議長である(在任期間は1951年~70年)。アラン・グリーンスパン議長の在任期間は1987年から2006年までの9年間。現在のイエレン議長は2014年2月3日に就任しているので、議長の任期は2018年2月3日まである。ただイエレン議長は2010年10月に副議長として就任しており、理事の任期は2024年10月まである。FRB議長を辞めても理事として残ることは可能である。過去に議長を辞めた後も引き続き理事を務めた例は1件ある。ちなみにフィッシャー副議長は2014年5月28日に副議長に就任しているが、前副議長の残存任期を引き継いでの就任であり、前任の副議長の在職期間も加算されるため理事としての任期は2020年1月31日までである。また連銀総裁は各連銀の取締役会が選出し、FRBが承認する手続きが取られ、任期は5年である。

4.FRBの2つの政策目標-インフレ目標2%と失業率目標4.8%

教科書的に言えば、中央銀行の政策目標は「物価安定」と「雇用の維持」である。もともと中央銀行の最終的な目標は通貨価値の安定にあったが、完全雇用を政策目標と規定したのは「1946年完全雇用法(Full Employment Act)」であった。これは大恐慌を経験したことと、マクロ経済学の理論的な枠組みを作り上げたイギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズの経済理論の影響を受けたものである。さらに1978年に成立した「ハンフリー・ホーウキンス法(年完全雇用均衡成長法、Full Employment and Balanced Growth Act of 1978)」は、FRBに政策決定過程の透明性を高めること求めた。同法によってFRB議長は2月と7月に両院で議会証言を行い、同時に「金融報告」を提出し、経済成長とインフレに関する予想と政策を明らかにすることが義務付けられた。

では、FRBはどのような具体的な政策目標を設定しているのだろうか。これに関してFRBは次のような説明行っている。2012年1月の会合の後、FOMCは金融政策の長期目標と具体的な戦略を決めた声明を発表し、インフレ率2%を「インフレ目標(inflation target)」と設定した。FOMCは、インフレ目標を設定することで金融市場で安定した長期的なインフレ予想が形成され、物価と長期金利の安定がもたらされ、「最大雇用(maximum employment)」を達成するFOMCの能力を高めることになると説明している。要するに、FOMCがインフレ目標達成に向けた金融政策を実施すると市場が信じれば、インフレ予想に基づいて金利が決定されるというわけだ。名目金利は「実質金利+予想インフレ率」で決まる。したがって予想インフレ率が安定していれば、名目金利も安定し、安定した経済活動が行われることになる。ただ、なぜ2%が適切なインフレ目標になるのかについての理論的な説明はない。ちなみに日本銀行やイングランド銀行、カナダ銀行も同じ2%のインフレ目標を設定している。

では、次の目標である「最大雇用」の目標はどう設定されているのだろうか。最大雇用は「完全雇用失失業率(完全雇用が達成されているときの失業率)」と言い換えてもいい。では、失業率の目標はどう設定されているのか。これに関してFOMCは「最大雇用の水準は雇用市場の構造や動向に影響を与える非金融的な要因によって主に決定される。これらの非金融的な要因は時間とともに変化し、直接的に測定することはできない。その結果、FOMCは最大雇用の固定した目標を具体的に設定しない」と説明している。ただ手掛かりとして、2016年12月のFOMC会合で行われた議論で委員は4.5%から5.0%が長期的に正常な失業率とし、中央値は4.8%あったと指摘している。ちなみに2016年11月のインフレ率は1.7%、12月の失業率は4.7%であった。経済の現状は、インフレ率は目標を下回っているが、失業率はほぼ目標水準を達成していると言える。

5.金融政策の仕組みを理解しておこう

一般の人には金融政策の仕組みは分かりにくいので簡単に説明しておく。経済活動のためには資金は不可欠である。企業はお金を借りて事業を行う。金利が高ければ、企業は借入を抑制するので、経済活動は低迷する。逆に安くお金を借りることができれば、企業は積極的にお金を借りて事業を拡大する。あるいは設備投資を行う。経済活動は金利と密接に関連している。では、金利はどのようにして決まるのか。言うまでもなく、金利は資金の需要と供給によって決まる。中央銀行は資金の供給量をコントロールすることで金利に影響を与えようとする。市場経済では金利も市場機能を通して決定される。統制経済とは違い、中央銀行が銀行に命令して金利を設定するわけではない。

では中央銀行はどのようにして資金量をコントロールするのか。銀行は預金量と法定準備率に応じて中央銀行に資金を預けなければならない。これを「支払準備制度(reserve requirements)」という。積極的に貸し出しを増やしている銀行は預金量も増えるので、中央銀行に預ける準備も増える。法定準備を満たさないと銀行は懲罰的な金利を払わなければならなくなるし、銀行経営の信用が失われる。したがって準備が不足する銀行は余裕のある銀行から資金を借りて、中央銀行に預金を積み増す。こうした銀行間の貸借を「銀行間市場(interbank market)」といい、そこで成立する金利をアメリカではフェデラル・ファンド金利、日本ではコール金利という。

中央銀行がコントロールできるのは銀行間市場の金利で、銀行が企業や個人に貸す金利を直接コントロールすることはできない。銀行の貸出金利は、資金コストと借り手の信用度などに応じて銀行が独自に決定するものである。

では、どのようにしてFOMCはフェデラル・ファンド金利をコントロールするのだろうか。FOMCが金融を緩和する場合、フェデラル・ファンド金利を下げる政策を行う。フェデラル・ファンド市場は銀行間の準備を融通し合う市場である。中央銀行が供給する資金の量が足りなければ需給関係からフェデラル・ファンド金利は上昇する。資金供給が増えればフェデラル・ファンド金利は下落する。では、どのようにして資金供給をコントロールするのか。そこで使われる政策手段が公開市場操作である。FOMCの政策を代行するニューヨーク連銀が銀行を相手に債券の売買を行って資金の供給をコントロールしている。

FOMCが目標金利を引き下げると、ニューヨーク連銀は資金供給を増やす。具体的にはニューヨーク連銀が銀行から債券を購入する。これは「買いオペレーション」と呼ばれている。債券を購入したのであるから、中央銀行は債券を売った銀行に代金を支払う。支払い代金は銀行がニューヨーク連銀に持っている当座預金口座に振り込まれる。既に述べたように銀行は法定準備率に基づいて中央銀行当座預金口座に預金を預けておかなければならない。債券の代金が振り込まれると預金が増える。そうすると、「必要準備(required reserve)」を上回る「過剰準備(excess reserve)」と呼ばれる預金が発生する。これには金利は付かない(ただ現在、FRBは準備に利息を付けている。日本銀行も過剰準備の一部に利子を付けている)。過剰資金は収益を生まないため、銀行は運用を図ろうとする。最初の運用先として準備が不足している他の銀行に貸し出すことが考えられる。しかし、公開市場操作で全体の資金供給が増えていれば、追加的な準備を必要とする銀行は減っており、資金需要は減少する。その結果、フェデラル・ファンド金利が低下する。フェデラル・ファンド金利を引き上げたい場合は、逆に債券を購入する「売りオペレーション」によって資金を回収すればいい。

6.過剰準備こそが金融政策のエッセンスである

以上は銀行間市場での調整の仕組みである。これが実態経済にどのように影響を与えるのか。銀行間市場で資金需要がなければ、次に取る銀行の行動は企業などへの貸し出しを増やすことだ。フェデラル・ファンド金利の低下は銀行にとって資金調達コストの低下を意味し、銀行は企業や個人に貸し出す金利を引き下げることができる。その結果、企業などからの資金需要が増え、銀行貸出も増える。銀行が貸した資金は顧客の預金口座に振り込まれる。したがって「貸出増加」は同時に「預金増加」を意味する。要するに、過剰準備を解消するには預金量(貸出)を増やせばいいわけだ。銀行貸出が増えることで「通貨供給量(マネーサプライ=銀行預金合計額)」が増加する。中央銀行は公開市場操作を通して「マネタリー・ベース(monetary base、銀行が中央銀行の当座勘定口座に預けている預金総額に流通現金を加えたもの)」をコントロールすることで通貨供給量を間接的にコントロールすることができるのである。マネタリー・ベースは「ハイパワード・マネー(high-powered money)」と言われることもある。

マネタリー・ベースが増えると通貨供給量はその何倍か増える。この関係を「信用乗数」と呼ぶ。信用乗数の値が何倍になるかは法定準備率によって決まる。通貨供給量は最終的に物やサービスを購入する資金として使われるので、潜在的に需要を増やす要因になる。一般にマネーサプライが増えると物価が上昇すると言われるのは、こうした理由による。「貨幣数量説」的な説明をすれば、マネーサプライと物価上昇の間には一定の関係が存在し、マネーサプライが増えれば物価は上昇すると説明される。ただ、最近の状況を説明すれば、日本銀行の政策に端的に表れているように、マネタリー・ベースを膨大な額増やしても、マネーサプライが増えず、信用乗数が安定的ではないことが明らかになっている。その理由は、金利が低下しても銀行の貸出(企業の資金需要)が増えないからである。日本の大企業は膨大な内部留保金を蓄えており、銀行借入に頼る必要がないからである。同様な状況はアメリカでも見られた。

金融政策を一言で説明すれば、公開市場操作によって過剰準備の状況をコントロールしさらにマネーサプライ(銀行貸出)をコントロールし、最終的に物価に影響を与えることである。こうした金融政策によってインフレ目標を達成することができるわけである。各国が採用している「ゼロ金利政策」は、銀行間市場の貸出金利であるフェデラル・ファンド金利やコール金利をゼロに維持する政策のことである。ただ「ゼロ金利政策」の効果は限定的であることから、さらに資金供給を増やそうとする「量的緩和政策」が採用されるようになった。量的緩和政策には、資金供給と同時に長期金利を引き下げるという目的もある。

銀行は民間企業であり常に利益の拡大を目指す。銀行にとって過剰準備を持っていることは採算上好ましくない。過剰準備を減らすには、先に述べたように、まず他行に貸す(直接的に過剰準備は減る)か、あるいは企業に貸す(預金量が増え間接的に過剰準備は縮小する)ことになる。だが、インターバンク市場での資金需要はなく、企業の資金需要もないとなれば、過剰準備を減らすことはできない。その場合、銀行は過剰準備を使って財務省証券(国債)など証券を購入することになる。

債券購入で利子が獲得することができるからだ。だが、超金融緩和で景気浮揚を図る中央銀行は積極的に公開市場操作を通して銀行から債券を購入し、さらに準備を供給した。これが「量的緩和政策」である。それを受けて銀行はさらに債券を購入するという循環が作られた。この結果、政府は国債の金利が上昇せず、販売にも問題がないので、低利で国債の発行を続けることができた。銀行は国債の購入を続け、それが買いオペされ、新たに資金が供給された。こうした循環は「国債の貨幣化(monetization)」と呼ばれる。実質的に中央銀行が国債を買っているのである。そのため、FRBや日銀は膨大な国債を資産として抱え込んでおり、その処理が将来の問題となると見られている。ただ、現在ではFRBは景気回復を受けて新規の財務省証券の購入を中止しているが、デフレ脱却に苦しむ日銀は継続して大量の国債を購入している。

7.金融政策と中間ターゲット

金融政策の最終目標のひとつは物価の安定である。ただ中央銀行は直接物価をコントロールすることはできない。物価統制や物価凍結などが行われたケース(アメリカではケネディ政権やニクソン政権が賃金・物価凍結を行っている)があるが、いずれも失敗に終わっている。そのため、直接物価を目標にするのではなく、「中間目標」を設定することになる。今まで様々な中間目標が設定されてきた。かつては公定歩合であった。さらにマネーサプライを中間目標とする時代(アメリカでは70年代後半から80年代半ばまで)もあった。日本では高度経済成長の時代に低金利政策を取り、金利をコントロールする余地がなかったので、窓口規制と呼ばれる「銀行貸出量」をコントロールする政策が取られた。最近では、インターバンク金利を操作対象とするのが一般的になっている。

さらに市場のインフレ期待に影響を与えることで物価に影響を与えることを目指す「インフレ目標政策」も取られている。ただいずれも思ったような成果がでないことから、最近では名目GDPを目標とするなど新しい手段が使われている。日本のアベノミクスでは、名目GDPを2020年までに名目GDP600兆円にする目標が掲げられている。ここでは詳論しないが、名目GDP目標は愚かな政策であり、実行する政策手段は存在しない。

8.FOMCの「議事録」を読む:FRBスタッフの経済報告

少し前置きが長くなったが、12月のFOMCの議事録を読んでみよう。FOMCの会合の進め方は、まず出席者にFRBのMonetary Affairs Division(通貨問題部)が作成した「ブルー・ブック(Blue Book)」と呼ばれる資料集が配られる。資料集の表紙が青いことから、この名称が付けられている。ブルー・ブックには経済分析、金融統計、今後の見通しと3つのシナリオが記載され、討論の基礎資料となる。FRBには博士号を持ったエコノミストが300名以上働いており、膨大な経済データとコンピュータを駆使した経済分析が行われ、FRB議長や理事、FOMCのために分析資料を提供している。また各連銀総裁はそれぞれの連銀調査スタッフが作成した分析資料も使って議論に参加する。

12月のFOMCの会合で決まったことは、利上げだけではない。銀行がFRBに預けている準備に対する付利を25ベーシス・ポイント(注:1basis point=100分の1%。したがって0.25ポイント)引き上げることや、公定歩合の0.25ポイント引き上げも決まっている(公定歩合の意味は上で説明した)。また会議の冒頭で事務的な手続きが行われ、政府の情報開示を義務付けた「1967年情報公開法(Freedom of Information Act)」の改正に伴ってFRBの情報開示に関するルール修正の承認が行われた。さらに公開市場操作で購入し、満期が到来した保有債券に関して、元本を再投資する方針を継続することも決まっている。元本を再投資しなければ、市場から資金を吸収することになり、実質的に金融を引き締めることになるからだ。ただ受け取った利子に関しては再投資には向けていない。

事務的な手続きが終わると、FRBのスタッフによる内外の経済金融情勢、公開市場操作の実施に関する報告が行われる。報告をするのは「制度公開市場勘定(System Open Market Account:SOMA)」を管理する責任者である。SOMAは公開市場操作で取得した債券などの資産を管理する口座で、ニューヨーク連銀に置かれ、ニューヨーク連銀のスタッフが管理している。実際の公開市場操作はFOMCから指示を受けたニューヨーク連銀の公開市場取引デスク(Open Market Trading Desk)が行っている。その取引内容はSOMAに記帳される。責任者は「実質フェデラル・ファンド金利がFOMCの設定した0.25%から0.5%の範囲の中間に収まった」と報告し、FOMC委員はこの報告を承認した。

続いて「議事録」によれば、FOMCが最も注目しているインフレと雇用情勢に関する報告が行われた。FRBの担当者は「GDPが2016年下半期も穏やかなペースで成長を続け、労働市場の状況もこの数か月引き続き改善した。消費者物価指数は年初来上昇しているが、年初のエネルギー価格の下落と非エネルギー価格の下落のために、委員会が設定している長期目標の2%を依然として下回っている」と報告している。11月の失業率は4.6%に低下した。

しかし、失業率低下の要因に労働参加率と人口に対する就業者数比率の低下の影響があるかもしれないと指摘している。言い換えれば、失業率の低下は求職者数が減っていることを反映しているのであるかもしれない。ちなみに人口に対する20歳から64歳の男性の就業者比率は1940年には81.3%であったが、2915年には78.4%にまで低下している。労働参加率も1948年の85.8%から2015年には68.2%にまで低下している(資料Nicholas Eberstadt著『Men Without Work』、Templeton Press 2016年)。こうした就業・労働参加率の長期的傾向は、アメリカの潜在的成長率の低下をも意味している。

また、失業保険請求件数は低水準にとどまり、労働報酬も穏やかに上昇し、全被雇用者の時間当たり平均賃金は過去1年に2.5%上昇したと、労働市場の改善したことも報告された。

個人実質消費支出は緩やかに増加しているが、それは雇用増加、実質可処分所得増加、家計部門の純資産の増加(株高と住宅価格上昇による)が影響している。個人実質消費支出が増加したにも拘わらず、食品価格、エネルギー価格の下落によって消費者物価指数で測ったインフレ率は過去1年間に1.5%の上昇に留まった。変動の激しい食品価格やエネルギー価格を除いたコア・インフレ率は2%の上昇を記録した。

さらにニューヨーク連銀のトレーディング・デスクの調査に対して市場関係者は12月のFOMCで政策金利の目標範囲が引き上げられる確率は90%である答えていると報告された。言い換えれば、市場は利上げを催促していると解釈できる。こうした利上げ予想は、次期トランプ政権の財政拡張政策によってさらに強まっているとの指摘も行われた。また、企業の資金需給状況に関しては、企業の資金調達環境は全般的に良好であるとし、第3四半期に落ち込んだ銀行の商業融資、産業融資は上昇し、ノンバンクによる低格付け企業への融資(レバレッジド・ローン)は活況を呈していると分析している。

続けてFRBスタッフは「経済見通し」について報告している。短期的な見通しは、フェデラル・ファド金利の目標範囲の引き上げを見送った11月のFOMC会合とほとんど変わっていないとしながら、2016年下半期の実質経済成長率は上半期を上回ると予想している。また積極的な財政政策の発動で成長率は従来の予想を若干上回るとみられる。その効果の一部は財政赤字拡大による長期金利上昇とドル高で相殺されるが、2017年から2019年まで潜在成長率を若干上回る水準で成長すると予想されている。

失業率も徐々に低下し、2019年末には長期的自然失業率を下回る水準にまで低下する。短期的なインフレ率は、エネルギー価格の上昇が見込めることから、以前の予想よりも高くなる。ただ中長期的には、従来の予想と変わらない。2017年以降、エネルギー、食料品価格に加えて、非エネルギー輸入品の価格も上昇し始めるので、向こう数年、インフレ率は徐々に上昇する。それでも2019年のインフレ率はFOMCが設定した2%の長期目標を若干下回ると予想される。

“不確定要素”としては、経済成長が高まると金融政策は引き締めに転じるので成長率は下振れるリスク(downside risk)が存在する。海外経済の成長鈍化も下振れリスク要因である。成長率の下振れリスクに対応して失業率が上振れるリスク(upside risk=上昇する)が存在する。長期のインフレ予想が低下する可能性(インフレ率が低下すること)、あるいはドル高が予想よりも進む可能性(貿易収支が悪化すること)に伴う“下振れリスク”は、長期的な潜在成長率(完全雇用水準)を上回って成長することでインフレ率が上昇するという“上振れリスク”でほぼ相殺される。スタッフの経済情勢分析、経済見通しは極めて“標準的かつ中立的な”内容である。現状を把握するには実によくまとまっているが、ここからは利上げの明確な根拠は見えてこない。

9.FOMC委員の議論と政策決定

FOMCの委員は大きな樫の木でできた卵型のテーブルに座って、スタッフの説明を聞く。机の側面にはネーム・プレートがはめ込まれている。背後には各委員のスタッフが控えている。会合が始まる前に各委員は2016年から2019年の各年の経済成長率、失業率、インフレ率の予想を提出しなければならない。ただ12月の会合では一人の委員は見通しを提出していない。提出された見通しは、「議事録」に「経済予想の要約」として添付されている。

では、委員はどのような議論を行い、どのようにフェデラル・ファンド金利の目標範囲を引き上げる決定を行ったのであろうか。「議事録」によると、委員たちはスタッフの報告に概ね同意している。また、多くに委員は経済見通しを従来から変えていない。ただ、半分の委員は、トランプ政権の下でより“積極的な財政政策”が行われることを予想に新たに組み込んでいる。委員たちは、新政権の財政政策のタイミングと規模、内容、さらにそうした政策が総需要と総供給にどのような影響を与えるかは極めて不透明であると強調している。ただ大半の委員は、拡張的な財政政策が取られることで経済成長見通しが上振れる可能性があると指摘した。それ以外の上振れリスクとして、海外経済が予想よりも良くなること、企業の設備投資が加速することが指摘された。他方、下振れリスクとしては、ドル高の進行、海外の金融機関の信用問題の発生を指摘する委員もいた。潜在成長率を上回る成長が続くことで労働市場が逼迫化し、労働供給とインフレに影響が及ぶ可能性があると指摘する委員もいた。

議論は家計支出、企業の設備投資、エネルギー生産など広範にわたって行われたが、以下では主に金融政策の決定に直接関連する労働市場とインフレに関する議論を紹介する。

まず、インフレに関しては、FOMCの参加者は10月のインフレ率は1.4%と目標を下回っているが、最近のインフレ率の推移から判断して「インフレ率は中期的に委員会の2%目標に到達するという期待を強め」、「コア・インフレ率も10月は連続12か月上昇し、1.7%になった」と前向きな評価を与えている。ただ一部の委員から、インフレ率の上昇は石油価格上昇による一時的な要因である可能性があること、また市場のインフレ予想は依然として低く、インフレ率が下振れるリスクは存在しているとの指摘も行われた。ほとんどの委員は、最近の金融市場の改善(長期金利低下、ドル高、株高、クレジット・スワップの縮小)は、トランプ新政権の拡張的財政支出と企業減税に対する期待によってもたらされていると分析していた。したがって、期待先行の要素もあり、先行きは用心深くてみる必要があるという点で、意見の一致を見ている。

こうした状況を考慮して、「委員会参加者は目標の2%インフレ率と最大雇用確保に向けて引き続き前進が見られたことで、本委員会においてフェデラル・ファンド金利目標を25ベーシス・ポイント引き上げる十分な根拠があることで意見の一致を見た。目標水準を引き上げても、金融政策のスタンスは緩和的であることに変わりはなく、労働市場の改善、中期的な2%のインフレ目標への回帰と矛盾するものではないと判断を下した」。また、超低金利政策を続けていると景気が悪化した時に、金融政策を発動する余地がないことを考えれば、引き上げる余地があるときに緩やかに引き上げておくのは妥当であるとの意見も聞かれた。また、現在の中立的実質金利(neutral real interest、景気拡大も縮小も起こさない金利水準)は依然として歴史的に低い水準にあり、「今後数年、緩やかにフェデラル・ファンド金利を引き上げることで中立的政策スタンスに戻ることができる」との指摘もあった。要するに、刺激的でも、引き締め的でもない金融政策に戻していく必要があり、今回の利上げはその一環であるとの見方である。

ただし、今後の経済情勢の展開如何でリスクが発生するとの懸念も表明された。トランプ新政権の財政・税制政策などが不透明であるので、「今後のフェデラル・ファンド金利のあるべき推移について一般に説明するのが難しくなるだろう」との指摘もあった。トランプ政権の政策次第では金融政策の道筋も変わってくるという慎重な見方が議論された。

次にもう一つの最大雇用の目標に関する委員の評価はどうだったのだろうか。まずに表明されたリスクは、「長期的な正常失業率(long-term normal unemployment)が大幅に低下する(sizable undershooting)」ことである。言い換えれば、急速な失業率の低下が起こる可能性があるということである。目標を下回るような失業率の低下が生じれば、インフレ圧力は高まる。すなわち低失業率は賃金上昇に結び付き、それが製品価格上昇に転嫁されるということだ。そのため「委員会は現在予想されているよりも迅速に利上げをする必要に迫られるかもしれない」。要するに、既に完全雇用水準にある失業率がさらに低下するような兆しがでてくれば、早めに利上げをする必要があるということである。一部の委員から「緩やかに金融を引き締める政策は年に1度か2度しか利上げが行われないと誤解される」と懸念の表明があった。すなわち、2度以上の利上げを行う必要が生じるかもしれないとの指摘である。委員全員は「政策は状況の推移に従って迅速に対応する必要がある」ということで合意を見た。

10.利上げ決定の根拠は何か

こうした議論を受け、「議事録」は「委員会の政策行動」という項目を立て、政策決定の内容を説明している。経済状況を次のように総括として、「労働市場は引き続き改善し、経済活動は穏やかに拡大している。雇用増はこの数か月堅調で、失業率も低下している。家計支出は緩やかに増えている。しかし、企業の設備投資は依然として軟調に留まっている。インフレは年初来上昇しているが、エネルギー価格と非エネルギー商品価格の下落のため依然として長期目標である2%を下回っている。市場のインフレ予想は大幅に上昇しているが、依然として低いままである。長期的なインフレ予想はほとんど変わっていない」、「緩やかに金融政策のスタンスを調整することで経済活動は穏やかに拡大し、労働市場の状況もさらに少し改善するだろう」。

FOMCは相反する2つの目標を達成しなければならない。最大雇用の達成とインフレ目標の達成である。だが、それを同時に達しするのは容易ではない。現状は、雇用情勢は既に完全雇用水準に近いが、インフレ目標は未達成である。どちらを優先するのか。インフレ目標を達成するために金融緩和政策を継続すれば労働市場は逼迫する可能性がある。FOMCはインフレ目標を達成したいが、労働賃金上昇によるコスト・プッシュによるインフレ高進は避けたいと思っている。その結果、幾人かの委員から「もし労働市場が予想を大幅に上回る改善を示したなら、予想されるフェデラル・ファンド金利目標の引き上げ経路を調整する必要があるかもしれない」との意見も出された。要するに失業率が予想を上回る低下を示した場合、利上げのペースを市場が予想するよりも早める可能性を示唆している。

そして次のような結論に到達する。「現実と予想される労働市場とインフレを考慮して委員会はフェデラル・ファンド金利の目標範囲を0.5%から0.75%に引き上げることを決定した。この金融政策のスタンスは依然として緩和的であり、労働市場の幾分か(some further)の改善と2%インフレ目標の達成を支援するものである」。この決定は、「指示(Directive)」としてニューヨーク連銀の公開市場操作トレーディング・デスクに送付する指示が行われた。

最後に投票権を持つ委員の投票が行われた。FRB議長、副議長、3名の理事はいずれも賛成票を投じ、5名の投票権を持つ連銀総裁も賛成票を投じ、全員一致で決定は承認された。FOMC委員長も投票権は1票を持つだけである。

FOMCのトレビアを付け加えておく。アラン・グリーンスパンFRB議長はカリスマ的議長で、FOMCでも圧倒的な影響力を維持していた。金融政策も市場の意表を突くことで効果があると考えていた。当時の金融理論も同じ立場であった。したがって同議長の発言は意味不明で、市場を常に困惑させるものであった。だが、後任のベン・バーナンキ議長は委員相互の議論を推奨し、市場に対してFOMCがどのような政策の考えを持っているか積極的に発信する必要性を説いた。それは市場の意表を突く政策ではなく、FOMCの政策意図を明確に市場に知らせることで、市場の期待形成、予想を金融政策と一致させるという考え方に基づくものであった。それによって金融政策はより効果的に実施できると考えたのである。「議事録」の中にも、頻繁に「communication with the public」という表現が出てくる。

11.先行きの見通しはどうなるか

「議事録」に添付された「経済予測の要約」では、FOMC委員は2017年の経済成長率を1.7%から2.4%、失業率を4.4%から4.7%、インフレ率を1.7%から2.0%の範囲で予想していることが示されている。こうした12月のFOMCの決定とFOMC委員の予想を受けて、金融専門家は「年内に3~4度の利上げが想定される」と予想、メディアも同様な報道を行った。しかし、「議事録」を読む限り、ある委員が「年内に1回か2回しか利上げをしないと誤解される」「失業率が予想を上回る低下をしめした場合、迅速に対応する必要がある」との発言が根拠になっているだけのようだ。要するに、失業率が金融政策にとって決定的な要因と判断されているようだ。また、トランプ政権の拡張的な財政政策が大きな不確実要因であり、それが景気を刺激することになれば、当然、失業率は大きく低下する。そうした場合を想定しての数度に及ぶ利上げ論が出てくるわけである。FOMC委員は、失業率がほぼ完全雇用の水準にありながら、インフレが予想したように上昇しないという現実に当惑しているのである。「議事録」を分析して感じがのは、FOMC委員が確固たる見通しをもって利上げに踏み切ったわけではないということだ。恐る恐る、小幅な利上げを繰り返し、様子を見ようというのが本音である。金融理論も、いかにも未成熟な感じがする。それでも日本銀行の政策決定会合での委員の議論よりはましか、という程度である。

まだまだ説明しなければならないことはあるが、記事が長くなりすぎたので、次の機会に譲ることにする。

ジャーナリスト

1971年国際基督教大学卒業、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、東洋経済新報社編集委員を経て、フリー・ジャーナリスト。アメリカの政治、経済、文化問題について執筆。80~81年のフルブライト・ジャーナリスト。ハーバード大学ケネディ政治大学院研究員、ハワイの東西センター・ジェファーソン・フェロー、ワシントン大学(セントルイス)客員教授。東洋英和女学院大教授、同副学長を経て現職。国際基督教大、日本女子大、武蔵大、成蹊大非常勤講師。アメリカ政治思想、日米経済論、マクロ経済、金融論を担当。著書に『アメリカ保守革命』(中央公論新社)など。contact:nakaoka@pep.ne.jp

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