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F1最強レーサー「セバスチャン・フェッテル」の故郷がドイツのボリウッドに!

シュピッツナーゲル典子在独ジャーナリスト
(c)Heppenheim WFB

へッペンハイムは、F1レーシングワールドチャンピオンとして有名なセバスチャン・フェッテルの出身地です。この街がドイツのボリウッド・インド映画撮影地として脚光を浴びているのをご存知でしょうか。

ボリウッド映画監督が惚れた街ヘッペンハイム

へッペンハイム(Heppenheim) という街、日本の皆さんは聞いたことありますか?F1ファンなら、レッドブルドライバーのスーパースターセバスチャン・フェッテル(Sebastian Vettel)を思い浮かべることでしょう。地元では、彼にちなんで街の名前を「フェッテルハイム」(Vettelheim)と呼ぶくらいです。

(c)Bildarchiv der Kreisstadt Heppenheim
(c)Bildarchiv der Kreisstadt Heppenheim

へッペンハイムは、ドイツ観光街道のひとつベルクシュトラーセ(Bergstrasse・山街道とでも訳そうか)標高150m前後のなだらかな斜面が続く山里沿いにある人口2万6000人ほどの小さな街です。ヘッセン州最南の街で、バーデン・ヴュルテンベルク州との州境に位置します。

ベルクシュトラーセは、ヘッセン州ダルムシュタット(Darmstadt)からバーデン・ヴュルテンブルク州ハイデベルク南のウィスロッホ(Wiesloch)に至る30km弱の行程で、その中ほどにへッペンハイムがあります。

へッペンハイムをはじめ、この風光明媚なベルクシュトラーセが今、ドイツのボリゥッドとして注目を集めているのです。

ボリウッド(Bollywood)をご存知の方は多いと思いますが、多くのインド映画がムンバイ(旧ボンベイ)で撮影されていることから生まれた名前。ボンベイxハリウッドでボリウッドと呼ばれるようになったそうです。

なぜインド映画がドイツで撮影されることになったのか、その背景をへッペンハイムの担当者に問い合わせてみました。

2006年より撮影開始

事の始まりは2006年。ムンバイから映画監督が訪独し、撮影地の視察を重ね、へッペンハイムならびにベルクシュトラーセに魅せられたとのこと。木組みの家屋、石畳の路地、中世の雰囲気がたっぷりでロマンチック、美しい自然が監督の求めていたロケ地にリンクし、撮影すると決定したそうです。

ボリウッド映画は、2006年1作目HUMRAAH-The Traitor, 2作目には2007年AAP KAA SURRPPRと撮影され、この2作目が大ヒットしたことで、ヘッペンハイムはドイツのボリウッドとして、インド映画界で一躍脚光を浴びるようになったとか。

今月8日から撮影開始の「SPARK(仮タイトル)」が、またこのヘッペンハイム周辺で撮影されました。

(c)Heppenheim WFB 主演俳優Ganguly(左)とDuggal
(c)Heppenheim WFB 主演俳優Ganguly(左)とDuggal

その撮影開始2週間程前にムンバイから監督兼プロデューサーVinod Kumar SinghとプロデューサーNaresh Guptaが撮影場所を視察のため訪独。

今回は、ラブストーリー、ロマンチックシーンをドイツで撮影、アクション場面はインド内で撮影する予定。へッペンハイム4日、その他にラインネッカー地方のヒルッシホルン、マンハイムで2週間かけて撮影したという。

SPARKはラブストリーと報復がテーマ。マフィアから逃れるためドイツへ逃亡、そしてクーリエサービス員として仕事をしている主人公が、配達先でインド人女性にめぐり合い、その女性と恋に落ちる。その女性はへッペンハイムでドイツ語を勉学中という背景です。

(c)Heppenheim WFB ロマンチックなラブストーリーに最適のロケ地
(c)Heppenheim WFB ロマンチックなラブストーリーに最適のロケ地

主演男優のRajniesh Duggalは、ニューデリー出身の元モデル。「インドではベルリンはよく知られているが、へッペンハイムは聞いたこともなかった。すばらしい街だ」と賞賛。

主演女優のSubhashree Gangulyは、カルカッタ出身の俳優で、「ヘッペンハイムはとても素敵な街、プライベート休暇で過ごしたい場所」と語っている。

台本未完でクランクインするインド映画

今回、主役女性の姪を演ずるフランクフルト在の16歳インド/ドイツ人女優Amrita Cheema Zeitは撮影前日に出演が決定し、わずか20分間の準備で撮影に入ったという。

Amrita Cheema Zeitは、ドイツでは数ヶ月前から台本が手元にあり、撮影準備にも入念に何ヶ月もかけるのに、ボリウッド映画は台本が未完成のままクランクインしたため、全く新しい体験だったと話す。

台本未完で撮影をするのは、今回の映画だけではないらしい。だが。それが撮影の醍醐味にもつながり、柔軟な対応が問われるようだ。ちなみに、SPARK は2014年公開予定(ドイツ国内)。 

へッペンハイムの観光スポットは、街の中心にある聖ペーター教会やマルクト広場に面した市庁舎、マリエンブルネン(泉)、木組みの家屋、石畳小路が素敵な中世の雰囲気、そして穏やかな山里の豊かな自然、ライン盆地の温暖な気候などが上げられる。

(c)Bildarchiv der Kreisstadt Heppenheim
(c)Bildarchiv der Kreisstadt Heppenheim

ヘッペンハイム周辺はワインも美味しい地区。フランクフルトからアクセスしやすいので、時間を作って是非訪問したいお勧めのスポットです。

協力

Tourismus-Information der Kreisstadt Heppenheim

Wirtschafsfoerderung Bergstrasse GmbH(WFB)

参考記事・Frankfurter Allgemeine

在独ジャーナリスト

ビジネス、社会・医療・教育・書籍業界・文化や旅をテーマに欧州の情報を発信中。TV 番組制作や独市場調査のリサーチ・コーディネート、展覧会や都市計画視察の企画及び通訳を手がける。ドイツ文化事典(丸善出版)国際ジャーナリスト連盟会員

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