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強い台風23号が時速40kmの速度を保って北海道に接近中

饒村曜気象予報士
台風の雲(イメージ)(提供:アフロ)

強い台風23号が時速40km位の速度を保ったまま北上し、北海道に接近中です。

台風は上空の風に流されて動く

台風は、地球の自転の影響により、自分自身の力で北へ向かう性質を持っています。しかし、この力は弱く、台風はゆっくりしか北上しません。台風の動きは、ほとんどが周辺の風によって流されてのものです。一般的には、低緯度では、上空の風が東風ですので、東風にのって西へ動きながら、台風自身の力にとってわずかに北上しますので西北西へ進みます。上空の風が弱い緯度まで北上すると、台風はゆっくり北上し、さらに緯度が高くなって偏西風帯に入ると、ゆっくり北上しながら西風にのりますので、東北東進することになります(図1)。これが一般的な台風の進路です。台風周辺の風が弱ければ、台風の動きはゆっくりで、動きは複雑になります。日本付近で台風の動きがゆっくりとなると、台風による雨雲が陸地の同じ場所ににかかり続けますので、大きな大雨被害が発生し易くなります。

図1 台風の移動(模式図)
図1 台風の移動(模式図)

台風は緯度が高くなるほど進行速度が早くなる

台風の進行速度は、時速16~20kmが一番多く、時速40km以上の猛スピードの台風はおよそ9%あります。この猛スピードの台風は、ほとんどが上空の偏西風に流されて北東から東へ進む台風です。図2は、月別・緯度別にみた台風の平均速度です。これから緯度が高くなるほど速いこと、また、同じ緯度でも夏より秋の方が、それも秋が深まれば深まるほど速いことなどがわかります。これは、高緯度ほど上空の偏西風の影響を受けること、夏に比べ秋は上空の偏西風が強いことなどに対応しています。

台風の月別・緯度別にみた進行速度
台風の月別・緯度別にみた進行速度

台風23号は例年の10月の台風のように加速しながら北東進ではない

10月の台風は、加速しながら時速50km以上で北東進することが多く、平均すると、北緯35度で時速50km、北緯50度で時速55kmです。台風23号の予想では、時速40kmの速度のまま北上中ですので、台風が接近する北日本では、雨や風の継続時間が例年の10月台風より長くなりますので、警戒が必要です。

図の出典:饒村曜(2014)、お天気ニュースの見方・読み方、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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