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各地で猛暑日 気象庁の気温は照り返しのない日陰で風が吹いているところで観測

饒村曜気象予報士
営業マン(写真:アフロ)

ほぼ全国的に気温が大幅に上昇し、兵庫県豊岡市で38.2度、新潟県胎内市と鳥取市で38.1度を観測しました。今日も各地で猛暑が予想されるなど、各地で猛暑日(最高気温が35度以上)が続いていますが、気象庁の気温観測は照り返しのない日陰で、風が吹いているところでの観測値です。実際は、この温度より高く、照り返しを考えると、子供のほうが暑く感じます。

気温の測定

気象庁では、地上の気温は、太陽光が直接あたらない場所で、照り返しなど地表面からの影響が少なく、風通しのよい場所で、地上から1.2から1.5メートルの高さで測ります。

地表付近の気温は、地表面の影響を受けます。

あまり地表に近い所で測ると、地表の影響を強く受けすぎてしまいます。

気象台やアメダスの観測所などでは、白金抵抗温度計の入った通風筒を観測柱に取り付けていますが、この条件を満たしています。そして、筒の中は、いつも毎秒5メートルくらいの空気の流れを作っています。

白金抵抗温度計は、純度の高い白金線の電気抵抗が、温度が高くなると大きくなることを利用した、離れた場所からも観測できる温度計です。

気象庁は長年の気候変化を考えて、同じ条件で測っているので、実際に感じる温度は、これより高くなります。

35度という猛暑日の基準は、体温の37度より高くなって危険という温度と思います。

そして、照り返しを考えると、子供は大人より危険です。

大人と子供が感じる温度

図 暑い日に子供が感じる暑さ
図 暑い日に子供が感じる暑さ

気温を、地上から1.2から1.5メートルの高さで測るということは、これは、大人が感じる気温ということができます。

夏の暑い日は、日射が強く、地表面からの照り返しがあり、地表面ほど温度が高くなっています。

つまり、一緒に散歩していても、親と子、犬は、地上からの高さが違うために、別々の気温を感じています。

大人が暑いと感じている時に、子供はもっと暑いのです。

一緒にでかけるときは、このことに気をくばる必要があります。

図の出典:饒村曜(1999)、イラストでわかる天気のしくみ、新星出版社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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