台風初上陸の可能性 北海道への6号もしくは関東~東海への7号
今年の台風1号は、7月3日9時に発生と、台風の統計が始まった昭和26年以降では、平成10年の7月9日に次ぐ、2番目に遅い発生です。
しかし、7月には4個と平年の7月並に発生し、8月もすでに3個発生しています(表)。
台風の影響を受けている14か国で構成されている台風委員会では、平成12年から台風の名前のリストを作っています。各国10個ずつ名前を提案でき、合計140個の名前のリストで、このリストに従って、日本の気象庁(太平洋台風センター)が最大風速が毎秒17.2メートル以上となった熱帯低気圧を台風発生とし、同時に命名をしています。
8月9日3時に発生した台風6号は、ベトナムが提案した観光地の名前である「コンソン」、8月14日3時に発生した台風7号は、カンボジアが提案した花の名前「チャンスー」がつけられました。
北海道東部へ接近中の台風6号
台風6号が明け方から昼前にかけ、北海道東部に接近中で、場合によっては上陸の可能性があります。上陸すれば、今年の台風初上陸です。
このため、北海道では太平洋側を中心に海は大シケとなるほか、局地的に非常に激しい雨が降るおそれがあります。
北海道を襲う台風には、日本海大回りコース、日本海北上コース、道東接近コースという3つのコースがあります。このうち、日本海北上コースは、昭和年の洞爺丸台風のように風台風になる傾向がありますが、他の2つは雨台風になりやすい傾向があります。
台風6号のような道東接近コースは、東よりの湿った暖気が流入してくるために大雨となりやすいコースで、夏の台風に多いタイプです。昭和54年の台風12号は、台風と前線の影響で8月3日から6日に岩見沢で410ミリを観測するなど、従来の記録の1.8倍という大雨が降っています。このため、中小河川の氾濫が多発しています。
8月15日10時追記
台風6号は、8時ころに根室半島付近を通過し、9時に温帯低気圧に変わりました。台風の上陸は、台風の気圧が一番低い場所(気圧中心)が、北海道、本州、四国、九州のいずれかの海岸に達した時をいいますが、岬の先端など、短時間しか陸上にいない場合は、通過として上陸とは数えません。今回の6号も、上陸ではなく、通過でした。
追記、終わり
台風7号が週の中頃に本州へ接近
発達しながら北上を続けている台風7号は、小笠原諸島に接近し、週の中頃には、本州付近へ接近するおそれがあります。
昭和34年の台風7号など、関東の南海上から北西進して関東から東海地方に上陸した台風では、地形効果により北関東で総雨量が700ミリ以上の大雨が降っています。
台風7号については、最新の情報の入手に務め、早めに警戒する必要があります。
日本へ台風が北西進して接近
台風は、地球の自転の影響により、自分自身の力で北へ向かう性質を持っています。しかし、この力は弱く、台風はゆっくりしか北上しません。台風の動きは、ほとんどが周辺の風によって流されてのものです。一般的には、低緯度では、上空の風が東風ですので、東風にのって西へ動きながら、台風自身の力にとってわずかに北上しますので西北西へ進みます。上空の風が弱い緯度まで北上すると、台風はゆっくり北上し、さらに緯度が高くなって偏西風帯に入ると、ゆっくり北上しながら西風にのりますので、東北東進することになります(図1)。これが一般的な台風の進路です。
しかし、現在は、日本の南海上の上空には大きな低気圧があります(図2)。各地で暑い日が続いていますが、しっかりした太平洋高気圧が張り出しての暑い日ではありません。
このため、台風6号も、台風7号も、一般的な北東進ではなく、日本の南海上上空の低気圧の周辺の流れによって北西に進み、日本に上陸する可能性がでているのです。そして、大雨をもたらす危険性があるのです。