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台風12号が九州接近 ごく小さいだけにより危険

饒村曜気象予報士
ひまわりから見た台風12号(9月3日21時)

台風12号が九州南部に接近中です。

今年5個めの台風上陸になるかもしれません。

台風の強風域と台風の大きさ

台風12号の強風域は、北東側170キロメートル、南西側120キロメートルの平均140キロメートルです。

1999年まで使われていた、気象庁の台風の大きさの分類では、次のように、「ごく小さい台風」ということになります。

強風域の半径(平均)が200キロメートル未満 ごく小さい台風

200~300キロメートル 小型(小さい)台風

300~500キロメートル 中型(並の大きさ)台風

500~800キロメートル 大型(大きい)台風

800キロメートル以上 超大型(非常に大きい)台風

2000年からは、台風の大きさのうち、ごく小さい、小型、中型の3つは使用しなくなっています。

これは、1999年8月14日の神奈川県の玄倉川での水難事故(13人が死亡)などのときに、「台風を小型とか、弱いなどと言うから、たいしたことがない台風と誤解する」などの批判があったからです。

小型の台風の危険性

昔でいう、ごく小さい台風や小型の台風は、すぐ近くに来るまで強い風が吹かないので油断し勝ちです。

そして、吹き出すと極端に強い風が吹きます。

中心気圧が同じであれば、大型より中型、中型より小型のほうが強い風が吹きます。

等圧線の間隔が小型になればなるほど狭くなるためです。

また、台風の速度が速ければ、極端に強い風が吹く時間が短いのですが、速度が遅ければ極端に強く吹く時間も長くなり、被害が拡大する可能性が高くなります。

台風12号は、ごく小さい台風で、中心付近で等圧線の間隔が狭く、強い風が吹いており、しかも、速度が時速10キロメートルと遅いので、厳重な警戒が必要です。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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