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東日本では梅雨期より秋雨期のほうが雨量が多い

饒村曜気象予報士
大雨イメージ(写真:アフロ)

9月は秋雨前線が日本付近に停滞する日が多くなるため、曇や雨の日が続くことがあります。向こう一週間は、このような秋雨の季節となります(図1)。

前線や湿った空気の影響で曇りや雨の降る日が続くみこみで、降水量は平年より多くなる見込みです。

図1 東京都と大阪府の週間天気予報
図1 東京都と大阪府の週間天気予報

日本の雨の三本柱

日本の降水現象の3本柱をあげると、梅雨の雨、台風による雨、冬の季節風による雪ということになります。

したがって、これらの影響の少ない瀬戸内海沿岸、中部地方の内陸部および、北海道では、年降水量が1500ミリ以下と少なくなっています。

3本柱のうち台風による雨は、記録的な強い降り方をするために、大きな災害に結びつきやすいといえます。24時間降水量のべスト10をとると、その8割は台風によるものです。24時間降水量ではなく、1時間降水量といった短い時間の雨量となると、雷雨や低気圧によって台風以上に強い雨を降らせる場合もあります。この場合は、狭い地域で、しかも限られた時間しか降らないということが多く、総雨量としてはそう多くなりません。

広い地域に多量の雨ということになるとやはり熱帯の多量の水蒸気を含んだ空気を、運びこむ台風による雨ということになります。

東日本では梅雨期の雨より秋雨期の雨

東日本では,太平洋高気圧が後退することにより;北東の冷たい空気が流れ込みやすくなるので、秋雨前線の活動が活発になり、雨量が多くなる傾向があります。

このため、梅雨期の雨と秋雨期の雨を比べると、西日本では梅雨期の雨の方が多いのですが、東日本で秋雨期のほうが多くなります。

秋雨前線が日本付近に停滞している時に台風が南海上から北上してくる場合は、梅雨前

線のときと同様に、台風のまわりの湿った暖かい空気が前線の活動を活発にし、特に大雨となることがあります。台風が日本から離れていても油断大敵です。

まとまった雨量でなくても、雨の日が続くときには、日照不足などで収穫間近の農作物の成育不良や病害虫の発生を招きやすく、このようなときに大雨が降ると、崖崩れなどの災害が頻発するので、注意が必要です。

関東甲信地方は明後日にかけて大雨

図2 予想天気図(9月14日9時)
図2 予想天気図(9月14日9時)

東北地方から西日本は、前線や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多い見込みで、14日にかけて、前線の動向によっては大雨になるおそれがあります。

台風14号は、沖縄の南海上を北西進して中国大陸に向かう見込みですので、台風の動きによっては大しけに警戒が必要ですが、この台風が中国大陸に上陸後、温帯低気圧に変ってから日本に接近する場合は、週末から来週にかけてですが、雨が降り続いている後の大雨ですので、警戒が必要です。

また、日本の南海上には台風15号になるかもしれない熱帯低気圧があり、これが発達して台風になり(図2の一番下)、太平洋高気圧のまわりを回るように西日本に接近する可能性もありますので、今後の動向に注意が必要です。

今週から来週は、特に、最新の気象情報入手に努める必要があります。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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