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予報円から見た台風16号 関東接近は早ければ20日の夜のはじめの頃

饒村曜気象予報士
気象衛星ひまわりから見た台風16号(9月19日11時10分提供:ウェザーマップ)

九州は台風16号に警戒

非常に強い台風16号は、今夜遅くから明日未明にかけて、九州に上陸するおそれもあります。上陸すれば、今年6個目となります。風速が毎秒25メートル以上という暴風に入る確率は、九州南部で70%を越えています(図1)。しかも、気象衛星から見ても台風の目がはっきり見え、発達していることを示しており、九州南部をかすめて黒潮の上を北東進する場合は、勢力が衰えないことが危惧されます。

図1 暴風域に入る確率(平成28年9月19日9時)
図1 暴風域に入る確率(平成28年9月19日9時)

台風が上陸した場合は、今年6個目となり、台風の統計をとりはじめた昭和26年以降では、平成16年の10個に次ぎ、平成2年の6個とならぶ2位タイの記録となります。

追記(20日1時)

台風16号は、20日0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸しましたので、今年の台風上陸は6個となり、昭和26年以降では、2位タイの記録となりました。

大きかった予報円

台風16号は、昨日までは、上空を流れる強い風に乗ることができず、東シナ海をゆっくり北上したため、いつ加速するのかの判断が難しく、台風の予報円が非常に大きなものでした。

このため、関東地方への接近は、早ければ21日(水)の昼頃、遅ければ23日(金)の朝というように、非常に使いずらいものでした。

とはいえ、予報円は台風の進路予報の難しさを、そのまま表しています。予報円が大きい場合は、「予報が難しい」という重要な情報ですので、常に、最新情報でのチェックが必要です。

台風が加速して東日本に接近

台風16号は、上空の強い風に乗って加速しはじめました。

台風の予報円を使うと、台風が早く進む場合に接近する時刻、台風が遅く進む場合に接近する時刻がわかります(図2)。

図2 台風の進路予報(平成28年9月19日9時)
図2 台風の進路予報(平成28年9月19日9時)

台風16号は、予報円の中心を通る場合は、明日20日(火)夜遅くに関東地方に接近しますが、早ければ20日の夜のはじめ頃、遅ければ21日の明け方に接近です。

昨日までの予報より接近時刻が早まり、時間幅も狭くなっています。

西日本は台風16号による暴風と大雨に警戒が必要ですが、東日本も停滞する前線に向かって台風から暖かくて湿った気流が流入しますので、大雨と接近する台風に警戒が必要です。

図3 地上天気図(平成28年9月19日9時)
図3 地上天気図(平成28年9月19日9時)
気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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