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朝方の気温が下がらなかった東京の9月と、暑さが残る中での「衣替え」

饒村曜気象予報士
収納とカラーボックス(写真:アフロ)

暖かい秋

今年の9月は、全国的に平年より気温が高い日が多くなっています。

東京では、最高気温が9月中旬に平年より低かったものの、上旬と下旬が平年より高くなっています。これに対し、最低気温は9月のほとんどの期間、平年より高くなっており、最低気温が出現する朝方の気温が下がらかったことが9月の平均気温を押し上げています(図1)。

図1 平成28年9月の東京の最高気温と最低気温
図1 平成28年9月の東京の最高気温と最低気温

10月は気温が高いという一ヶ月予報が発表になってます。特に、アンサンブル予報から第1週は特に信頼できるという予報です(図2)。

図2 気象庁が専門家向けに提供している専門天気図(FCVX14)の一部
図2 気象庁が専門家向けに提供している専門天気図(FCVX14)の一部

==衣替えは太陰暦のほうが実態にあっている== 

10月1日は「衣替え」です。平安時代から始まった習慣で、当時は中国の風習にならって4月1日および10月1日を夏服を冬服に着替える日と定め、「更衣」といいました。後に、天皇の寝所に奉仕する女官で、女御に次ぐものを「更衣」というようになったため、「衣替え」という言葉に変わっています。

明治政府は、明治6年(1873年)に太陽暦を採用しています。そして、役人、軍人、警察官の制服を洋服と決め、夏服と冬服の「衣替え」の時期を、太陽暦の6月1日と10月1日としています。これが、学校や一般企業にまで広がったのが現在の衣替えです。

しかし、太陽暦の10月1日は、明治5年まで使われていた太陽暦の10月1日より、約1か月早くなります。

10月上旬は、まだ暑い日がありますので、10月1日の「衣替え」は少し早い感じがしますが、太陰暦の10月1日なら実感とあっていたと思います。今年の場合、太陰暦の10月1日は、太陽暦の10月31日です。

10月は気温が高いという一ヶ月予報が発表になってますので、衣替えは、もう少しあとのほうがよさそうです。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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