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台風18号は予報円によると関東地方へは早ければ水曜の昼過ぎ、遅ければ木曜の朝に接近

饒村曜気象予報士
台風(提供:アフロ)

台風の月別主要経路

月別に台風がどのような経路をとりやすいか、ということは昔から重要なテーマとして研究され、その結果、図1のような台風の主要経路の図が作られています。独自の顔を持つと言われているほど多様な台風をまとめ、1ヶ月分を1本の線で表していますので、個々の台風の予報には使えませんが、台風についての理解を助ける図です。

図1 台風の月別主要経路図
図1 台風の月別主要経路図

台風が北上してくるのが7月から(一部は6月から)10月までであることや、北上する台風は、秋の深くなるにつれて、東へ向きを変える位置 (転向点)が、一層低緯度に変ってくること、などを簡潔に示しています。

台風18号は発達しながら北西進し、月曜の夕方に沖縄に接近する予報です。早ければ、暴風域には朝から入る可能性があります(図2)。台風の勢力が強いので、沖縄では厳重な警戒が必要です。

図2 沖縄本島南部が暴風域に入る確率
図2 沖縄本島南部が暴風域に入る確率

台風の関東接近は?

台風18号は、沖縄付近で転向し、進路を北東に変えて本州を縦断する予報となっています(図3)。図1の主要経路の図との比較で言えば、台風が転向する緯度でいえば、10月のコースより9月のコースのほうが近いと思います。

図3 台風18号の5日予報(10月2日3時の予報)
図3 台風18号の5日予報(10月2日3時の予報)

戦後、中央気象台(現在の気象庁)の予報官達が苦労して作った「扇形表示」を、現在使われている「予報円表示」に変えた最大の理由は、予報円であれば、台風の速度は早まればここに、遅くなればここにと、予報の誤差幅を考えた対応ができるからです。

予報円を使い、台風の動きが早まった場合、関東への接近を考えると、4日21時の早い場合の位置と5日21時の早い場合位置の間を案分して、関東への接近は5日(水)の昼過ぎになります(図4)。

同様に、台風の動きが遅くなった場合を考えると、6日(木)の朝に接近することになります。

図4 台風18号の5日予報から、早く進む場合と遅く進む場合
図4 台風18号の5日予報から、早く進む場合と遅く進む場合

関東に住む人は、現時点では、台風18号の関東接近は、早ければ水曜の昼過ぎ、遅ければ木曜の朝と考えておおまかな行動計画をたて、その後に発表される最新の台風情報で行動計画を修正していくということになります。

図1の出典:饒村曜(1986)、台風物語、日本気象協会。

図2~図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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