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台風18号が時速80キロに加速して北陸地方へ

饒村曜気象予報士
気象衛星ひまわりから見た台風18号(10月5日12時00分提供:ウェザーマップ)

台風18号が加速し、時速80キロで北陸地方に向かっています(図1)。

図1 台風の進路予報(平成28年10月5日12時)
図1 台風の進路予報(平成28年10月5日12時)

台風の上陸が多い年

表 台風の上陸が多い年(平成28年は台風18号が上陸した場合)
表 台風の上陸が多い年(平成28年は台風18号が上陸した場合)

台風18号が上陸すれば、今年7個目となります。台風の統計が作られている昭和26年以降では、今年は、すでに平成16年の10個に続く、6個上陸していますので2位タイですが、7個上陸となれば、単独2位となります。

追記(10月5日22時)

予報通りに速度をあげた台風18号は、5日21時に佐渡島沖で温帯低気圧に変わりました。従って、この台風による7個目の台風上陸はなくなりました。

台風の平均速度

台風の平均速度の分布を調査したことがあったのですが、それによると、時速16~20キロのところにピークがあり、台風の平均速度は時速21キロです。そして、時速40キロの猛スピードの台風はおよそ9%です(図2)。

図2 台風の速度分布(縦軸は%、横軸は時速)
図2 台風の速度分布(縦軸は%、横軸は時速)

猛スピードの台風は、ほとんどが上空の偏西風に流されて北東から東へ進む台風です。北東から東へ進む台風は平均で時速30キロと、他の方向に進む台風より早い速度です。

図3 月別・緯度別に見た台風の平均速度(縦軸は緯度)
図3 月別・緯度別に見た台風の平均速度(縦軸は緯度)

月別・緯度別に台風の平均速度は、緯度が高くなるほど速くなり、また、同じ緯度でも夏より秋の方が、それも秋が深まれば深まるほど速くなります(図3)。

これは、高緯度ほど上空の偏西風の影響を受けること、夏に比べ秋は上空の偏西風が強いことなどに対応しています。また、台風が温帯低気圧に変わる直前には、台風の速度があがる傾向がります。

台風18号は急に吹く風に注意

図3から、10月の北緯35度付近では時速50キロが平均速度ですので、台風18号はかなり早いということができます。そして、温帯低気圧に変わりつつります。

台風が高速で移動するときは風が強くなります。そして、あっという間に近づき、強い風が吹きます。

台風が遠くに台風があるからといっても油断できません。

図4 台風18号に次ぐ台風候補(10月5日12時現在)
図4 台風18号に次ぐ台風候補(10月5日12時現在)

現在、日付変更線付近と沖縄のはるか南海上に熱帯低気圧があり、ともに、今後24時間以内に台風に発達する可能性があります(図4)。どちらが台風19号、どちらが台風20号かはわかりませんが、10月も台風シーズンで、大きな被害が発生したことも少なくありません。

図1、図4の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:饒村曜(1993)、続・台風物語、日本気象協会。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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