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秋の空は変わりやすく、男心や女心に例えられますが、今週の週間天気予報の信頼度はC

饒村曜気象予報士
うろこ雲と紅葉(写真:アフロ)

移動性高気圧の通過により、晴れた週明けとなりましたが、前線や湿った空気あるいは寒気の影響で雲が広がりやすく、雨の降る日がある一週間になりそうです。

春の移動性高気圧と秋の移動性高気圧の違い

春や秋には、揚子江中流域から東進してきた高気圧が、日本付近を周期的に(3〜4日毎に)通過します。この高気圧が移動性高気圧です。

移動性高気圧に覆われると晴れの日が続くと言うことができますが、同じ移動性高気圧といっても、春と秋では少し状況に違いがあります。

春の移動性高気圧は、発達しながら通過することが多いため、日本付近は高気圧の後面(中心より西側の領域)に入る期間が長くなります。高気圧の後面は、南からの暖かくて湿った空気が流れ込みやすく、また中国からの細かい黄砂の塵がやってくることから、春霞という言葉があるように、視程が悪くなり、空が霞むことが多くあります。 

一方、秋の移動性高気圧は東に進むにつれて衰弱したり(図1)、中心が停滞しがちであるため、高気圧の前面(中心より東側の領域)に入る期間が長くなります。高気圧の前面は、北方からの澄んだ寒気が流れ込みやすいので、視程が良くなります。また、中国大陸も湿っているため、偏西風等にのってくる塵が少なく、「天高く馬肥ゆる秋」と言われるように、天が高くなったように感じます。

図1 東に進むにつれ衰弱する移動性高気圧(平成28年10月18日9時~20日9時)
図1 東に進むにつれ衰弱する移動性高気圧(平成28年10月18日9時~20日9時)

移動性高気圧の進路で変わる天気

同じ移動性高気圧でも、移動性高気圧がどのようなコースを進むかによって日本の天気は変わります。移動性高気圧に覆われたら単純に晴れというわけではありません。

移動性高気圧が、北緯35度線を西から東に進む場合は全国的に晴天となりますが、これより南を東進する場合、晴天は関東から西の地方だけです(図2)。また、北緯35度線より北を東進する場合は北日本だけが晴天です。そして、移動性高気圧が日本海北部から関東地方に進む場合は、全国的に晴天ですが気温は上がらず肌寒い日となります。

図2 移動性高気圧の動きと天気の変化傾向
図2 移動性高気圧の動きと天気の変化傾向

秋の空は男心か女心か

秋の空は移り変わりやすいことから、昔から「男心と秋の空」とか「女心と秋の空」とか言われます。また、春の空も移り変わりやすいことから、「男心と春の空」とか「女心と春の空」とも言われます。

さらには、「移り変わっているうちに冷たくなるの秋の空は男心で、移り変わっているうちに暑くなる春の空が女心」とか、あるいは、逆の言い方もあります。

男とか女ではなく、人によるのかもしれません。

今週の週間天気予報の信頼度はC

今週の週間天気予報は、北日本から西日本にかけては、高気圧に覆われて晴れる所もありますが、前線や湿った空気あるいは寒気の影響で雲が広がりやすく、雨の降る日があるでしょうとなっています。

図3 週間天気予報(10月18日17時発表)の信頼度
図3 週間天気予報(10月18日17時発表)の信頼度

ただ、信頼度をみると、後半は全て「C」となっています(図3)。それだけ、週間天気予報が難しい季節です。

移り変わりやすい秋の空ですので、最新の気象情報の入手に務め、臨機応変に予定を変更する必要があります。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ

図2の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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