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来週初めの天気予報は台風22号から変わった低気圧の動き次第

饒村曜気象予報士
気象庁が専門家向けに提供している予想天気図(左は22日21時、右は23日21時)

昨日は、移動性高気圧に覆われ、日射があったために気温が上昇し、東~西日本は、暖かくて乾燥しているというすごしやすい天気となりましたが、今日からは北からの寒気が入って秋本番となります。

東京地方の週間天気予報

気象庁のホームページで確認できるのですが、気象庁が発表する週間天気予報には、2日目以降の最高気温と最低気温についての誤差幅(カッコ内に表示)を、3日目以降の天気にはABCという三段階の信頼度をつけています。

例えば、10月20日17時の東京地方の週間天気予報では、次のようになっています。

21日(金)晴時々曇、     最高22度、     最低14度

22日(土)曇時々晴、     最高21度(18~22)、最低12度(10~13)

23日(日)曇   、信頼度C、最高23度(21~25)、最低15度(13~17)

24日(月)曇   、信頼度C、最高18度(15~20)、最低13度(11~16)

25日(火)曇   、信頼度C、最高18度(15~21)、最低11度(9~12)

26日(水)曇時々晴、信頼度B、最高22度(19~24)、最低12度(10~14)

27日(木)曇時々晴、信頼度C、最高23度(20~26)、最低16度(14~18)

東京の20日の最高気温は27.7度と平年より約7度も高くなりましたが、週間天気予報では、誤差幅を考慮して一番高い気温が25度ですので、20日の最高気温は超えないという予報です。

また、24日の月曜と25日の火曜は最高気温でも15度にしか気温が上がらない可能性が、火曜の最低気温は9度まで下がる可能性があるという予報になっています。

さらに、日曜から火曜にかけての信頼度がCとなっているのは、フィリピンを通過した台風22号の動き次第で天気が大きく変わるからです。

台風22号の動き

移動性高気圧が通過したあと、大陸から高気圧が張り出し、西日本の南岸に前線ができる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(22日9時)
図1 予想天気図(22日9時)

南シナ海にある台風22号は、中国大陸に上陸後、向きを東に変えて熱帯低気圧に変わり(図2)、その後、温帯低気圧に変わり、23日(日)には揚子江下流域に達し、24日(月)には西日本付近を通過します(図3)。

図2 台風22号の進路予報(10月20日21時)
図2 台風22号の進路予報(10月20日21時)
図3  台風22号から変わった低気圧の進路
図3  台風22号から変わった低気圧の進路

このため、来週始めの日本の天気は、この低気圧の動き次第で大きく変わります。

その後、北から高気圧が張り出してくれば低気圧がより南側を通過し、寒気が入って寒くなりますが、張り出しが弱ければ低気圧がより北側を通過し、暖気が入って暖かくなります。日本列島上に停滞する前線を刺激し、暖湿気流が流入すると大雨の可能性もあります。

台風22号は、日本への直接の被害はほとんどないのですが、温帯低気圧に変わってからについては、大きな影響を受ける可能性があります。

台風は「腐ってもタイ」です。最後まで油断することはできません。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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