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今冬の始まりは「記録的な大雪と寒さになった三八豪雪」の始まりに似ていた

饒村曜気象予報士
雪のバス停(ペイレスイメージズ/アフロ)

前回の東京における11月の雪

関東地方は11月としては強い寒気が南下して平野部でも雪となり、11月24日は東京都心でも54年ぶりの11月の初雪となりました。

初雪はその冬初めて降る雪のことで、雨に雪が混じった霙(みぞれ)でも初雪です。ただ、霰(あられ)や雹(ひょう)が降っても、初雪ではありません。

明治期には10年に1回位は11月の初雪があり、最も早い初雪は明治34年の11月17日で5位までの早い記録にはなりませんが、平年は1月3日であり、近年は珍しい早さとなります。

東京都心で11月に雪が降った日は、明治9年(1876年)から昨年(2015年)までの140年間に全体の0.3%にあたる13日しかありません。そのほとんどが明治時代か昭和時代前半に観測したものです。

その後、北海道では11月に各地でまとまった雪が降り、12月も24日の札幌市の積雪が96センチとなるなど、50年ぶりの大雪にみまわれています。

直近の、といっても54年前ですが、昭和37年11月に東京地方で4日も11月に雪が降っています。11月下旬の前半に北日本を中心に非常に強い寒気が南下し、北海道などで大雪となっています。12月上旬になると東日本や西日本を中心に寒気が南下し、1月には西日本を中心に寒気が南下し、全国的な大雪となっています。

北半球を取り巻く上空の偏西風の蛇行が昭和38年1月~2月に異常に大きくなったことから、北極の寒気がアメリカ・ヨーロッパ・東アジアの3方向に大きく南下したからです。

死者・行方不明者が231名、住宅被害1735棟など大きな被害が発生したため、気象庁は「昭和38年1月豪雪」と命名しました。

ラニーニャ現象

図1 ラニーニャ現象の経過と予測(気象庁ホームページより)
図1 ラニーニャ現象の経過と予測(気象庁ホームページより)

つまり、今冬は、記録的な大雪と寒さになった「三八豪雪」の時の冬の始まりに似ていました。

また、今年は、ゴジラとあだ名がつくほど強かったエルニーニョ現象(東部太平洋の赤道域の海面水温が平年より高くなる現象)が終わり、日本に寒冬をもたらすとされるラニーニャ現象(東部太平洋の赤道域の海面水温が平年より低くなる現象)が始まってます。

「三八豪雪」は、ラニーニャ現象が起きていたときにおきていますので、「三八豪雪」再来の可能性が懸念されましたが、冬の中盤から後半は違ってきそうです。

図2 エルニーニョ現象時とラニーニャ現象時(気象庁ホームページより)
図2 エルニーニョ現象時とラニーニャ現象時(気象庁ホームページより)

1月は暖かくなるという一ヶ月予報

12月29日(木)に発表された一ヶ月予報によると、1月は、西高東低の気圧配置が弱く、大陸からの寒気の影響が小さい見込みとなっています。

このため、東日本と西日本、沖縄・奄美地方では気温が高いという予報になっていますので、「三八豪雪」の時の冬とは違ってきました。

表 一ヶ月予報(気象庁ホームページより)
表 一ヶ月予報(気象庁ホームページより)

一ヶ月予報の前半は、かなりの予報精度がある時代となってきました。

気象庁は一ヶ月予報を毎週木曜日に発表していますので、木曜日に最新の予報チェックすれば、効果的に一ヶ月予報が利用できます。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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