今年は16年連続で年越し台風なし 来年は5日先までの強度予報を開始
今年もまもなく終わりますが、日本の南海上には台風の卵となる積乱雲のかたまりがなく、16年連続で年越しの台風はなさそうです。21世紀になってから年越しの台風はありません。
遅く発生した台風と早く発生した台風
20世紀最後の台風である台風23号は、発生が12月30日9時と、最も遅い発生日時の台風です。
正式な台風番号は、年毎の発生順の番号に西暦の十位と一位を付けたものです。
例えば、0023号台風は、2000年(平成12年)の台風23号のことです。
逆に、最も早い発生日時の台風は、昭和54年(1979年)1月2日09時の台風1号です。
ただ、これは気象学的にはあまり意味がない統計です。というのは、台風は温かい海上で多く発生するということから、その年の台風シーズンは北半球の気温が一番低くなって、これから暖かくなる2月下旬から始まっていると言ってよく、1月は前年の続きだからです。多くの年は、1月に1個発生したあとはしばらく発生することがなく、2個目は4月から5月にかけて発生しているからです。
したがって「正月なのにもう台風が…」ではなく、「正月なのにまだ台風が…」なのです。
台風には年毎の番号
台風には昭和28年以降、台風番号がつけられています。そして、昭和26年と昭和27年は遡って台風番号がつけられ、台風に関する各種統計が昭和26年から作られています。
台風番号は、年毎に台風が発生するたびに1号、2号、3号…と発生順につけられた番号です。一旦、台風に番号がつくと、その番号はその台風がどのような形態になっても同じ番号が使われます。
台風が“熱帯低気圧”に衰弱し、その後再発達して台風となった場合は、最初に付けられた台風番号が再び使われます。
極端な話、年末に台風第X号が“熱帯低気圧”に衰弱し,年が変わってから再発達して台風となった場合があったときも、この台風はその年の第1号ではなく,前の年の第X号です。
21世紀最初の平成13年(2001年)の正月、フィリピンの東海上に台風23号があって北東に進んでいます(図1)。新年早々の台風ですが、21世紀最初の台風である台風1号ではなく、20世紀最後の台風23号で、越年した台風です。平成12年12月30日9時にフィリピンの東海上で発生したもので、2000年で23番目の発生から台風23号と名付けられ、年が変わっても同じ番号で呼ばれているからです。
昭和26年以降、越年した台風は5個ありますが、平成12年の台風23号以降、16年連続で年越しの台風はありません。つまり、21世紀になってから年越しの台風はないのです。
ちなみに、越年台風5個のうち、3個はフィリピン南部に上陸しています。フィリピンへは越年ツアーで多くの観光客がおとずれますが、台風はありがたくないというか、迷惑をかける観光客です。
台風の強度予報も5日先まで
気象庁が12月22日に発表した、平成29年度気象庁関係予算決定概要には台風強度予報(中心気圧や最大風速の予報)の強化が入っています(図2)。
台風予報は、平成10年までは72時間先(3日先)まででした。
平成11年から、台風進路予報については5日先までにで延長となりましたが、台風強度予報については3日先のままでした。
平成29年度予算が成立した場合、来年度から台風の強度予報も5日先まで延長となります。これに伴い、暴風警戒域も現在の3日先までの進路予報にしかついていなかったものから、5日先までの進路予報につくことになります。
台風予報の精度向上
台風進路予報誤差は、計算機の飛躍的な性能アップと、気象衛星からの詳細な観測データ取り込みを背景に年々小さくなっていましたが、今年は、進路予想が難しかった台風が多く、予報誤差が少し大きくなっています。とはいえ、長い目でみれば小さくなっていることには変わりがありません。
台風の強度予測の精度は、これまでほとんど改善してきませんでしたが、高解像度大気海洋結合モデルなど、最新のスーパーコンピュータ能力をめいっぱい使った技術の進歩により、4日先、5日先の強度予報が可能になったのです。