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あと八日遅ければ春一番

饒村曜気象予報士
布と桜の花びら(ペイレスイメージズ/アフロ)

沿海州で低気圧が発達

今年に入り、気温が平年より高い期間と、平年より低い期間が交互に現れていますが、今週末は平年より気温が高い期間に入る予報です(図1)。

図1 東京の最低気温と最高気温の推移(1月28日以降は週間天気予報を記入)
図1 東京の最低気温と最高気温の推移(1月28日以降は週間天気予報を記入)

これは、沿海州で低気圧が発達しているため、日本列島の多くは、この低気圧に向かって南よりの強風が吹き、気温が上昇しているからです(図2)。

図2 平成29年1月27日9時の予想天気図
図2 平成29年1月27日9時の予想天気図

沿海州から北海道の北で低気圧が発達して春一番

春一番の定義は、立春後に最初に吹く強い南風です。

春一番は日本海で低気圧が発達するときが多いのですが、平成18年3月6日の春一番のように、低気圧が沿海州から北海道の北で発達するときもおきます。

図3 平成25年の春一番もどき(2月2日)
図3 平成25年の春一番もどき(2月2日)

ただ、今年の立春は2月4日です。

あと8日遅くないと「春一番」ではありませんが、春一番のような気圧配置となっていることには変わりがありません。

平成25年2月2日と同様、春一番のようであっても、立春前ですので春一番ではありません(図3)。

強風や火災、雪崩にも注意

低気圧が発達しながら沿海州から北海道の北を通過するため、北日本の日本海側を中心に、27日から28日にかけて、雪を伴い非常に強い風が吹き、海は大しけとなるため、交通障害、暴風、高波に警戒が必要です。

また、東・西日本では、春一番が吹いたときのように、強風や火災、雪崩(多雪地帯)等に注意が必要です。

そして、春一番が吹いたあとのように、その後は冬型の気圧配置となり、北から寒気がおりてきて寒くなりますので注意が必要です。

これから寒い日もありますが、春一番もどきが吹くということは、春一番もそろそろ吹く頃ということもできるでしょう。寒い冬も、折り返しに入っています。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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