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吹雪と「高い地吹雪」、「低い地吹雪」

饒村曜気象予報士
冬道と吹雪(ペイレスイメージズ/アフロ)

北日本では発達した低気圧のあとの冬型の気圧配置による嵐で、2月2日は北海道で猛吹雪の影響で車25台が巻き込まれるなど、事故が相次ぎました。

「吹雪」とは

気象庁では、「吹雪」を「やや強い風程度以上の風が雪を伴って吹く状態。降雪がある場合と、降雪はないが積もった雪が風に舞上げられる場合がある」としています。

「やや強い風」というのは、気象庁の定義では、風速が毎秒10メートル以上、15メートル未満の強い風をさしますので、吹雪は毎秒10メートル以上の風が雪を伴って吹く状態となります。

そして、毎秒15メートル以上の強い風が吹いているときは「猛吹雪」、逆に、毎秒10メートル未満の時は「風雪」です。

気象庁の風の定義

やや強い風  毎秒10メートル以上15メートル未満

強い風    毎秒15メートル以上20メートル未満

非常に強い風 毎秒20メートル以上30メートル未満

猛烈な風   毎秒30メートル以上、又は最大瞬間風速が50メートル以上

冬型の気圧配置が続きますが、等圧線の間隔が広くなってきますので、風が次第に弱まってきます。とはいえ、吹雪の可能性があり、車の運転等には特に注意が必要な状況は続きます。

図 予想天気図(2月4日9時の予想)
図 予想天気図(2月4日9時の予想)

「高い地吹雪」と「低い地吹雪」

同じ吹雪でも、地吹雪は、積もった雪が風のために空中に吹き上げられる現象です。

気温が低いほど、風が強いほど雪面から巻き上げられる雪の量が多くなり、地吹雪が発生します。

地吹雪には、「高い地吹雪」と「低い地吹雪」があります。

この差は、積雪が舞い上がってできる地吹雪の高さが、目の高さより高いかどうかです。

風が比較的弱い場合は、地吹雪が目の高さまであがらない「低い地吹雪」ですので、目の高さの水平方向の視程は悪化しないことから、大きな交通障害にはなりません。

しかし、「高い地吹雪」は、目の高さの水平視程が悪化して見えなくなりますので、大きな影響がでます。

地吹雪を町起こしに

青森県五所川原市金木では、地吹雪体験ツアーで観光客を集め、町起こしをしています。

雪が降らない地方(国)に住む人にとって、短い時間に体験する地吹雪は魅力的な出来事で、人気となっています。

雪国に住む人達にとって、地吹雪は生活を難渋させますが、地吹雪の恩恵も少しあります。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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