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太平洋側の雪のあとは冬型の気圧配置が強まり、西日本を中心に強い寒気が南下

饒村曜気象予報士
雪に覆われた車(写真:ロイター/アフロ)

日本付近は、等圧線がほぼ東西に伸び、東側で気圧が低く、西側で気圧が高い「西高東低の気圧配置」となっています(図1)。

図1 地上天気図(2月7日21時)
図1 地上天気図(2月7日21時)

冬の代表的な気圧配置で、日本海側の地方では雪や雨が降り、太平洋側では晴れて乾燥しています。

しかし、2月9日の木曜日は、冬型の気圧配置が崩れます(図2)。

図2 予想天気図(2月9日9時の予想)
図2 予想天気図(2月9日9時の予想)

太平洋側の大雪

寒気の吹き出しが弱まる2~3月になると、東シナ海から本州の南岸に前線が現れやすくなります。この前線上に低気圧が発生し、南西諸島を通って四国と本州の南岸沿いを東北東から北東に進むので、南岸低気圧と呼ばれています。

南岸低気圧による雪は、2から3月に多いということからわかるように、昔から「春を告げる雪」とも言われてきました。

大雪が降っても、真冬とは違って春を感じさせる要素もあるのですが、9日は、本州の南海上には南から北上する暖気に伴う南岸低気圧が東進する見込みです。

しかし、日本海側には、上空に北方から南下する強い寒気に対応する低気圧ができ、春を告げるどころか、冬へ逆戻を告げる低気圧です。

2つの低気圧に挟まれた地方では意外と晴れることもあるという、予報が難しい天気となります。しかも、強い寒気に伴う低気圧は、大気の状態が不安定ですので、ところにより暴風と大雪となる可能性があり、警戒が必要な低気圧でもあります。

10日の金曜日は、日本海の低気圧と南岸低気圧が、日本の東海上で一つになり、北からの寒気と南からの暖気が同時に流入するため低気圧が発達します。

そして、日本付近は西高東低の気圧配置が強まって北から強い寒気が南下します。

このため、日本海側では雪、太平洋側では晴れが主体の天気が続きます(図3)。

しかも、週間天気予報の信頼度は「A」が続くゆに、これは確度の高い予報です。

図3 週間天気予報(2月8日17時発表)
図3 週間天気予報(2月8日17時発表)

例えば、明日9日の東京都心部の天気予報は、「北の風 くもり 後 一時 雨か雪」と、「どちらかというと雨の可能性が高いという予報」です。

低気圧のちょっとした動きの違い、発達の程度の違いによって天気が変わりますので、難しい予報ですが、その後は、晴れが主体という易しい予報になります。

金曜以降は再び強い冬型

9日から12日頃にかけて南下してくる寒気は、西日本が中心です。

そして、全国的に風が強くなり、日本海側では西日本を中心に大雪となります。

日本海の雪雲が発達し、脊梁山脈の低いところから太平洋側に雪雲が流出しますので、西日本太平洋側でも積雪となるおそれがあります。

このため、気象庁では、「大雪やふぶきによる交通障害、高波に警戒、注意してください。なだれや低温による農作物の被害、路面や水道管の凍結にも注意してください」と呼びかけています。

普段は雪が降らない地方の雪は、雪に不慣れなことからくる交通事故や転倒事故等が多発するなど、積雪量の割には被害が大きくなる危険性がありますので、今後の気象情報に注意が必要です。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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