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春一番のあとはいつも寒気南下

饒村曜気象予報士
春一番(ペイレスイメージズ/アフロ)

多かった九州北部は春一番らしくないというツイート

昨日、2 月16 日の16 時20 分、福岡管区気象台では、九州北部地方(山口県を含む)に春一番が吹いたと発表しました。

中国東北区にある低気圧と日本の南海上にある高気圧との間で気圧の傾きがやや大きくなったため、九州北部地方では南よりの風が強まり暖かい日となったからです。

しかし、春一番らしくないというツイートが多くでていますし、テレビ局も映像を作るのに苦労していると感じました。これは、強い風の範囲が狭く、福岡管区気象台の「おしらせ」も、最大瞬間風速のみしか記入していない苦しいものだったからです。

春一番とは、冬から春への移行期に初めて吹く暖かい南よりの強い風で、九州北部地方では、最大風速が、およそ7メートル以上の南よりの風が吹き、前日より気温が上がっている事を目安に発表しています。

しかし、最大風速が7メートル以上を観測したのは、ごく一部でした(表)。

表 九州北部の風の観測(平成29年2月16日)
表 九州北部の風の観測(平成29年2月16日)

広い範囲で強い南風

今日、2月17日は移動性高気圧が東海上にさり、その後面で強い南からの暖気が流入したため、東日本から西日本にかけ、広い範囲で強い南風が吹きました(図1)。

このため、関東地方等などで春一番が吹きました。

図1 地上天気図(平成29年2月17日9時)
図1 地上天気図(平成29年2月17日9時)

寒気の南下

春一番のあとは、ほとんどの場合、寒冷前線が通過し、南下した寒気によって寒くなります(図2)。

今回も強い寒気が南下します。

日中暖かくても、気温が急降下しますので、帰宅が少し遅くなる時は、防寒対策が必要です。東京都心部では、20度近い気温から、気温がどんどん降下し、あす朝には5度を切って4度になります(図3)。

図2 予想天気図(平成29年2月17日21時の予想)
図2 予想天気図(平成29年2月17日21時の予想)

気温は、半日で15度以上も下がります。

図3 東京都心部の時系列予報(平成29年2月17日11時発表)
図3 東京都心部の時系列予報(平成29年2月17日11時発表)
気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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