桜は開花後の気温が低いと長く楽しめる
気象庁の有人官署では、構内に植えられている、あるいは近くの公園等に植えられている桜のうち、特定の木を標本木とし、標本木で5~6輪開いた状態を開花、80%以上開いた状態を満開として、同じ条件で長期間継続して観測を行っています。
標本木が年をとるなどで、周囲の桜との間で差がでるようになると、次の標本木の候補を決め、比較観測をしばらく行ってから新しい標本木に変えています。こうして、「平年より○○日早い」などの比較情報を発表しています。
続々と桜の開花にはならなかった
気象庁では、3月21日に東京都心(千代田区の靖国神社)で、桜が咲いたと発表しました。これを受け、「都心としては2008年以来、9年ぶりに全国で最も早い開花宣言」とか、「東京都心が全国のトップになるのは2008年3月22日に名古屋、静岡、熊本と並んでトップになって以来、9年ぶり」などと報じられました。
全国トップといっても、1月中旬から咲く沖縄と奄美大島のヒカンザクラを除いての話であり、しかも、気象庁の有人官署で観測がある場所についてのものです。
東京都心での桜の開花後、西高東低の冬型の気圧配置となって寒い日が続いたため、続々と各地で桜の開花とはならず、福岡と横浜での開花は、東京都心の開花4日後の25日です。
これは、最近では、最も離れています(表)。
今週は各地で桜の開花か
一般的に、気温が低いと桜の開花から満開までの期間が長くなります。平年より気温が高く推移する年は、早く満開となり散ってしまいますので、桜を楽しむ期間が短くなります。
逆に平年より気温が低いと、桜を楽しむ期間が長くなります。
気象庁が観測している標本木の周囲の桜の中には、同じ種類でも、もう少し早く桜もあります。また、桜の種類によってはもっと早く咲く桜もあります。寒い日が続いて、桜の開花が遅れているといっても、場所によっては桜が咲いています。
本州の南岸を低気圧が通過し、東日本では気温が低い雨の日曜日となっていますが、今週は気温が平年並に推移しそうです(図)。
気温は着実に上がり、今週は各地で桜の開花情報が発表されると思います。
多くの人の心が揺さぶられる桜の季節の到来です。