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『田面巧二郎投手に聞いてみました』

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

ルーキーイヤーを終え、まもなく始まる2年目のシーズンに向けて自主トレ中の選手たちの話をご紹介している『○○選手に聞いてみました』シリーズ。今回はJFE東日本からドラフト3位で阪神に入団した田面巧二郎投手(23)です。顔つきが上園啓史投手と似ている気がしたのは、単に同じ背番号だったせいですかね。とにかく太もも周りが大きく、小さめで柔和な顔とイメージが違いすぎるのに驚きました。それでは最初に昨年の成績です。

◆ウエスタン公式戦

8試合(試当初0、交代了6)

1勝0敗0セーブ

9回2/3 安打8(本塁打1)

三振7 四球7 死球0

暴投1 失策0

失点7(自責3) 防御率2.79

◆非公式戦(教育リーグ、育成試合等)

※沖縄キャンプの練習試合は含まず

13試合(試当初1、交代了3)

26回 安打20(本塁打0)

三振25 四球15 死球7

暴投5 失策2

失点13(自責6) 防御率2.08

◆フェニックスリーグ なし

ルーキーイヤーは自己採点不可

「なかなかうまくいかなかったけど、こういう経験も振り返ってみれば…いや、まあ良いとは言えませんが、この経験を次にしっかりつなげていきたいと思います」。自己採点はどれくらい?「点数はつけられないですねえ」。春季キャンプは安芸スタートだったものの第3クールから沖縄の1軍キャンプに呼ばれ、2月17日には宜野座での練習試合(楽天戦)で登板しました。しかし、これがなかなかの荒れ具合。

5対1と楽天にリードされて迎えた8回、4人目として登板した田面投手は、いきなり四球と暴投2つで無死三塁としてタイムリーを浴びます。打者走者は二塁でアウトにしましたが、内野安打と暴投で1死二塁。次に味方のエラーで一、三塁となってタイムリー。そのあと盗塁と内野ゴロ、四球などで2死満塁として交代しています。よって2/3回を投げ、安打3、四球2、暴投3で、代わった藤原投手が2人を還したため失点4(自責2)、防御率は27.00です。

「そのままずっと(1軍に)いられたら、と思っていたんですけど…」

沖縄キャンプ終了後にファームへ戻り、そのまま開幕を迎えました。育成試合などを経て5月7日の中日戦(ナゴヤ)がウエスタン初登板。以降、公式戦3試合と非公式戦10試合に投げた田面投手ですが、この間の四死球は20個。その制球難を克服することもあったのでしょうか、6月11日を最後にしばらく試合出場なし。「ゲームに投げられる状態じゃなかった。コーチと話してしばらく離れることになりました。ただ、ある程度登板間隔を開け、このあたりで投げるというのを決めて、そこに目標を設定しての練習だったから、焦りなどはなかったです」

2か月ぶりのマウンドへ

8月14日の育成試合・大阪学院大学戦でゲームに復帰したあと、シーズン終了までの非公式戦を含む8試合は、わずか1失点のみ。「相変わらず四球を出していますし、少しずつ、ほんとに少しずつですけど良くなってきたかも」と本人は控えめな表現でしたが、上向いてきたのは確かです。ウエスタン最終戦(対ソフトバンク)では8回から2イニングを投げ、1四球のみの無失点。中谷選手の逆転サヨナラ3ランで、プロ初勝利がつきました。

「最後はしっかり投げられたというイメージはありますね。まだまだだけど、最初に比べたら…」と苦笑いです。フェニックスリーグで実戦を積めなかったのは残念。社会人出身ながら、即戦力という以上に“のびしろ”を期待されている投手なのでしょう。復帰後はあえて変化球中心に投げましたが、終盤に140キロ台後半の直球でカウントも取れていたので、社会人時代の150キロも期待できそうです。

野球がそんなに得意ではなかった?

では話題を変えて、野球を始めたきっかけを。「小学3年の時、友だちに誘われて地元の少年野球チームに入りました。軟式です。最初はレフト。そのあとサードとか内野を守ってて、ピッチャー小学5年くらいから。でも内野と交互です。プロを意識したのは高校あたりだったと思います」。なるほど。他にやりたかったことはありませんか?「ずっと、ほぼ毎日野球しかしてなかったので、他の仕事のイメージがまったくない。接客業とか向いてないでしょうねえ。野球もそんなに得意ではなかったんですけど(笑い)」。あらまあ!

次は食べ物の好き嫌いです。「好きなのは餃子。そんなに凝ったんじゃなく、ごくシンプルなもので。王将も好きですよ。毎日?1か月ずっと?それも大丈夫です!嫌いなものはセロリ。あの匂いと味がダメ。食べることは可能なんですが、小さい時にイヤな思い出があって。昔は嫌いなもの多かったですよ。ナスもピーマンもNG。でも年を取るにつれて食べられるようになりました」。きっと大人になったんですよね。いまだにナスがだめだという選手は多いけど。

そして好きな女性のタイプを聞くと「おおらかな感じの女性。そういう雰囲気ですかね」とのこと。“きゃぴきゃぴ”よりは落ち着いている方がいいそうです。タレントでは「永作博美さん」と、1年前の入団時に記入したアンケートの答えと変わっていません。それが田面投手らしい気がして、何だか安心しました。ちなみにテレビは「よく見ますね。バラエティでは『モヤモヤさまぁ~ず』とか、そういう系。ゆるい感じのが多いです。ドラマは『クロコーチ』や『リーガルハイ』」を見ていたそうです。

最後に、ことしの抱負は「1軍で投げることを目標として、そのために準備をしっかりします。キャンプでアピールして、評価をもらえるように頑張っていきたい」と言っていました。年末は千葉のJFE東日本に寄って、あいさつをしてから実家へ。他の選手と同じく9日から鳴尾浜で練習があるため、まもなく寮へ戻ってくる予定です。キャンプといわず、この自主トレからもう若い選手たちのアピール合戦は始まります。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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