Yahoo!ニュース

もと小虎・穴田真規 新天地で挨拶代わりのホームラン!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
“社会人デビュー”2試合目でホームランを放ち、笑顔で戦況を見守る穴田選手。

阪神タイガースに在籍し、その多くをファームで過ごした“小虎”たちが、退団後どのように過ごしているのか?タテジマ時代に応援しておられたファンの皆さんは、ずっと気にかけていらっしゃいます。NPBの他球団へ移籍しても、また社会人や独立リーグのチームに入団しても引き続き応援を続け、なんと台湾プロ野球に挑戦する選手を見に現地まで行かれた方もありました。本当にありがたいことですね。

和歌山箕島球友会の本拠地『マツゲン有田球場』は中堅122m、両翼98mです。
和歌山箕島球友会の本拠地『マツゲン有田球場』は中堅122m、両翼98mです。

昨年秋に自由契約となった選手のうち最年少、当時20歳だった穴田真規選手(21)は、みやざきフェニックスリーグ参加中に戦力外を告げられました。トライアウト受験後も「絶対に野球は続ける!」と働き場所を求め、社会人のクラブチームである和歌山箕島球友会に声をかけてもらったのです。1月中旬に和歌山へ引っ越し、下旬からは初体験の仕事と練習がスタート。その奮闘ぶりは、のちほどご紹介します。

初めてのヒットが、試合を左右する1発!

2月15日が新チームとして初の対外試合、NSBベースボールクラブとのオープン戦でした。穴田選手は5番ショートでフル出場しますが、4打数ノーヒット。おまけに「1つエラーしてしもた」そうです。2試合目は翌16日、大和高田クラブとのオープン戦。7番DHで先発出場した穴田選手は1打席目が、どん詰まりのフライアウト、しかし1対0で迎えた5回裏の2打席目にインハイの真っすぐをレフトへ運びました。両翼98メートル、中堅122メートルの本拠地球場で、まさに挨拶代わりの1号ホームラン!次の打席では代打が送られたため2打数1安打1打点という成績です。そのあと1点返されたものの、穴田選手のソロが効いて2対1で勝利。

2月16日の試合、5回終了時のスコアボード。穴田選手のソロで勝ち越しました!
2月16日の試合、5回終了時のスコアボード。穴田選手のソロで勝ち越しました!
勝ち越しソロで“お役ご免”? 途中交代したあとキャッチボールをする穴田選手。
勝ち越しソロで“お役ご免”? 途中交代したあとキャッチボールをする穴田選手。

実は1打席目を“どん詰まり”と表現したのは、この日の試合をご覧になっていた穴田選手のお父さんです。ホームランは「まぐれですわ」と言いつつ嬉しそうで、見に行けなかったお母さんも連絡を受けて非常に喜んでおられました。またマツゲン有田球場には、穴田選手いわく「きょうは暖かかったけど、きのう(15日)はちょいちょい雪が降ってたんですよ。でも鳴尾浜で見たことある人が結構きてはります」と。これまたありがたいことですね。しかし「見たことある人」って(笑)。これはまあ穴田選手独特の、感謝を込めた言い回しということで。

4時起きでも元気ハツラツの若さです

球場名の『マツゲン』は和歌山県に展開するスーパーマーケットです。穴田選手はこの株式会社マツゲンで、現在はパート勤務。4月から正社員として働くことになっています。今は御坊店で「揚げ物を担当してる」とか。揚げ物というか、料理なんてやったことないでしょう?「ないっすよ~。最初は大変でしたけど、もう大丈夫です!」。唐揚げも上手にできているのかな。毎朝4時に起きての出勤だそうですよ。仕事は基本的に15時まで。そして箕島球友会は月曜日と金曜日が休み、それ以外の平日は17時から、仕事が半休の日は13時から、土日は終日、練習が行われます。やはり4時起きは「めっちゃキツイ」と笑っていましたが「夜9時前には寝ますよ。余裕で寝られます」とのこと。そりゃもうバタンキューでしょう。夜更かしなんてできませんもんね。

後半はベンチでチームメートとともに声援。もうすっかり溶け込んでいる?
後半はベンチでチームメートとともに声援。もうすっかり溶け込んでいる?

「NPBに戻る」ことを諦めない

写真に写る水色のユニホーム姿はまだ見慣れませんが、でもなかなか似合っていますね。そう言うと「ほんまですか?」と半信半疑の返事。タイガースの時より若く見える。「マジですか?」。自分でも少し不安なんでしょうかね。残念ながら後半は上着を着ていたので見えませんが、背番号は60です。次のオープン戦は2月26日に和歌山県の上富田球場で佛教大学とダブルヘッダー(10時、14時)の予定。お近くの方はぜひ応援にお出かけください。

4月7日にパナソニックともオープン戦をやるそうですよ。こちらは大阪府枚方市のパナソニックベースボールスタジアムでの開催だと思われます。同じく昨年で自由契約になった橋本良平選手との対戦を「バリ楽しみ。僕はホームラン打ちます!」と張り切っていました。ほんと小虎ファン垂涎のカードですよね。きっと鳴尾浜でも、今年はもと小虎と小虎の顔合わせがたくさん見られるでしょう。そういえば育成選手として阪神に入団した1年目の、公式戦初安打もホームランだった穴田選手。今回はオープン戦ではあるけれどインパクト十分。調子もいいみたいで楽しみです。電話を切る直前に、こう付け加えました。「NPBに戻る。それしか考えていません」

幼なじみの俳優・菅田将暉さんに野球指導?

最後に、とっておきの情報をひとつ!テレビドラマ『35歳の高校生』などや、映画『共喰い』の主演をはじめ数々の話題作に出演し、人気急上昇の俳優・菅田将暉(すだまさき)さんは、穴田選手の同級生で幼なじみなんです。穴田選手がタイガースに入団した時には「めっちゃ喜んでくれた」と話していました。退団については「特に何も」。親友としては、語らずとも気持ちが通じ合っているんですね。ところで菅田将暉さんは現在、NHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』に、杏さん演じる西門め以子の長男・泰介役で出演中。甲子園を目指す野球少年の設定です。「もしかしてアドバイスとかした?」と聞くと「前に会った時、うちに来て一緒に素振りしましたよ。あいつは野球じゃなくて、ずっとサッカーしてたから」と言います。今のところ放送ではキャッチボールの場面しかないような…。「そうなんですか?僕は見てないんですよ」。穴田選手仕込みのスイング、ぜひ見てみたいですねえ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事