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岩田が快投!狩野は4打点!今季初完封の小虎 鳴尾浜で1か月ぶりの勝利です

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
9日、代打でプロ初安打を放ち、初盗塁も決めたルーキー横田慎太郎選手。

9日のオリックス戦は、両チームを通じて四球が1つだけだったこともあり、非常にスムーズな進行具合でした。阪神は登板した2投手が合わせて100球ちょうどという球数。前日の試合時間が今季リーグ最長タイの3時間49分だったのに、9日は一転して今季リーグ最短の2時間19分!それでも今季2度目の2ケタ、10安打を放っています。

おまけに今季初完封で鳴尾浜初勝利。鳴尾浜で勝ったのは3月2日の教育リーグ・オリックス戦いらいなんですよね。ほんとお待たせしました。鳴尾浜→甲子園と、小虎と大虎をはしご観戦された方は最高の一日だったでしょうね。

《ウエスタン公式戦》4月9日

阪神-オリックス 5回戦 (鳴尾浜)

オリ 000 000 000 = 0

阪神 003 000 10X = 4

◆バッテリー

【阪神】岩田-二神 / 梅野-小宮山(9回)

【オリ】中山(5回)-大山(3回) / 若月

◆本塁打 狩野1号3ラン(中山)

◆二塁打 竹原

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:中谷  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .229

2]右:緒方  (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .308

3]左:狩野  (4-2-4 / 0-0 / 0 / 0) .200

〃左:柴田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .296

4]一:森田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .281

5]捕:梅野  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .286

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

6]指:原口  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .182

〃打指:横田 (1-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .167

7]三:陽川  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .158

8]二:西田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .129

9]遊:北條  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .138

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

岩田 8回 87球 (4-5-0 / 0-0 / 5.25)

二神 1回 13球 (0-1-0 / 0-0 / 2.08)

狩野が全打点、岩田は別人!?

攻撃から振り返ります。1回は緒方の右前打と盗塁で1死二塁としますが得点なし。2回も2死から陽川が右前打しただけでチャンスは広がりません。3回は北條が四球を選び、中谷の左前打で無死一、二塁。ここで緒方はバント失敗…北條が三塁でアウトになるも、続く狩野が136キロの真っすぐをレフトへ3ラン!公式戦では2週間ぶりの先取点です。

次の森田と梅野に連打が出ますが3点で終了。4回からは3イニング連続で三者凡退。そして7回、1死後に北條と中谷が連打して緒方は空振り三振に倒れ2死、ここでまた狩野が鮮やかな右前タイムリーを放って1点を追加しています。

8回は1死から原口の代打・横田が左前打!公式戦6打席目で嬉しい初ヒットです。さらに陽川の空振り三振で二盗。公式戦初盗塁も記録しました。2死二塁となったところで西田が空振り三振。攻撃は以上です。

先発の岩田は、ここ最近の岩田とは別の岩田。ややこしいですけど、それくらい「立ち上がりが不安な岩田」という姿は一切ありませんでした。まず3回までがパーフェクトピッチング!球数は30です。4回に先頭・縞田の左前打を許しますが、山本の三ゴロで二塁封殺。ついで宮崎の空振り三振で梅野が盗塁阻止!

5回も先頭の竹原に右中間二塁打を浴びながら後続を断ち、6回は再び三者凡退です。7回は1死から宮崎に右前打されるも、けん制で2死。竹原は空振り三振と3人切り!8回は奥浪の中前打があっただけで難なく抑えて交代した岩田。8回を投げて87球、被安打4、しかも無四球で三塁を踏ませぬ好投でした。

9回は二神が連投。前日同様、小宮山とのバッテリーで三者凡退!試合終了です。

平田監督「岩田の意地を見た」

夜の1軍もそうでしたが、ファームも公式戦は本拠地での今季初勝利。鳴尾浜にもお立ち台があれば、間違いなく岩田投手と狩野選手がインタビューされたでしょうね。試合終了時に全員が整列して一礼というのも、ことし初めて。一番右端に立ったルーキー横田選手が「ありがとうございました!」の初あいさつをし、その右手を平田監督が高々と掲げてプロ初安打を祝福しました。スタンドからも拍手喝采。

「久しぶりに投打のかみ合った試合でしたね」と記者陣に振られて「久しぶりじゃないよ。初めてじゃないかなあ(笑)」と平田監督。投打の殊勲者について「久しぶりに立ち上がりからいい岩田を見たよ。去年も含めて初めてじゃないか?立ち上がりからよかったのは。岩田の意地を見た。岩田の意地が伝わったよ。中西コーチも、それにオーナーも来られていたし、いいところでアピールできたね。こんなもんじゃないんだよ」と力説です。

そして「狩野はこれくらいはね。さすがだよ!」と絶賛。また「横田は初ヒットが出た。練習でもよくなってきている。スタメンで使ってみたくなるね」と楽しげでした。

岩田投手は「いろいろ考えながらやっている、それがやっと形になってきた感じ。まだまだです。今やっていることを続けるだけ」と言い、8回87球という球数にも「向こうが結構早打ちだったので。打たせて取るというより結果がそうなったってこと」と淡々とした口調。そして「高めに抜ける球は少なくなってきたと思う。続けていかないと。以上です!」と締めくくっています。

久保投手コーチは岩田投手の好投に「戻りましたね。続けてほしい。きょうはちょっと応急処置で体の使い方を説明して、それで投げて来いと。これまでより少し前でボールを話すための応急処置。そうしないとバッターとの距離が縮まらないよと。試合でやってクリアしてくれた。まだ固いけどね。結果が出たから、納得して続けられるかな。結果が出ないとまた考えこんでしまう。ひと安心だね。昔のように、低いところへ投げられていた」と評価しました。

3ランと初安打、それぞれの談話

打のヒーロー・狩野選手は3ランとタイムリーの2安打4打点。まずホームランは「完ぺきです!うまく抜けたというか、しっかり回転して打てた」と納得の出来だったようです。そして「結果が出ていなかったので嫌な感じはあったんですけど、自分の中の状態としては悪くなかった。いい当たりとかはありますが、それ以上に結果を出していかないと。あしたが大事です」とのこと。

続いて、狩野選手の前の2番を打った緒方選手。初回にヒットと今季初盗塁で、いい滑り出しだったのに2打席目でバント失敗。さらに7回の1死一、二塁のチャンスで空振り三振に倒れて反省しきり。「きょうは、ことごとく狩野さんがカバーしてくださって…。助かりました」と感謝です。

最後は公式戦初安打、初盗塁のルーキー横田選手のコメントをご紹介しましょう。8回裏1死で代打出場、2日の育成試合以来の打席で左前打を放ちました。そのあとに初盗塁。「嬉しいです!やっぱりヒットが出てなかったんで、早く打ちたいと思って…焦っていました。よかったです」と笑顔がはじけます。

「それに奥浪が…」と、オリックス・奥浪鏡選手の名前を出しました。知ってるの?「いいえ、でも話しかけてくるんで」。高校時代は知らなかったそうですが、同い年のルーキーとあり親近感を持って話をしてくるのでしょうね。その奥浪選手が「きのうもタイムリー打って、きょうも直前にまた打ったから」とのこと。ライバル心を煽られたもよう。

「左ピッチャーの代打だったんでビックリしたけど、まあ関係なく来たボールを打てばいいと思っていきました」。そんなに甘い球でもなかったでしょう?「はい。外いっぱいの真っすぐです」と、ここは少し得意顔です。ぷっ。「最近バッティングがよくなってきたので、どんどん打ちたい。それに盗塁も、もっとしたいです!走るの大好きなので」

プロ初ヒットのボールは?「もらっていません。要らないです」。そう。でもホームランを打ったらもらいたいでしょう?「要らない」。1軍初ヒットのボールは?「欲しいです」。というわけで、陽川選手にも確認したところ「もらっていないですよ。要らないです」と言います。ホームランでも?「はい」。じゃあ1軍初ヒットの…という質問が終わるや否や「欲しいです!」と、やはり即答でしたよ。

島本がシート打撃登板

なお試合後の練習でシート打撃が行われ、島本投手が登板。先月半ばに左足内転筋を痛めて戦列を離れていましたが「もう大丈夫です!」と元気いっぱい。シート打撃をマウンドの後ろで見守った久保コーチも「検定合格!もうゲームいけるよ」と太鼓判を押しています。12日の育成試合・大阪ガス戦での登板があるといいですね。

右太ももの張りで先週の福岡遠征を回避した一二三選手は、山下トレーナーによると「本人はもういけると言っていますが、まだ止めておこうという状態」だそうです。なので症状は軽いとのこと。もうすぐ復帰できるのではないでしょうか。

きょう10日も鳴尾浜でオリックス戦が行われます。甲子園の1軍・DeNA戦では歳内投手が先発。三嶋投手との投げ合いですね。9日の岩崎投手は7回1失点と、白星をつけてあげたいほどの好投でした。歳内投手もぜひ続いてください!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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