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タイガースのルーキー陽川尚将内野手が、鳴尾浜で“プロ1号”!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

阪神ファームは27日、鳴尾浜にHonda鈴鹿を迎えて交流(育成)試合を行いました。Honda鈴鹿とは4年連続で対戦していて2連敗中。昨年の試合内容や、今年投げた土肥投手の話などは明日書かせていただきますが、この日の結果は…久しぶりのビッグイニングがあったものの3連敗。やっぱり社会人チームは守備がいいですねえ。

今月の交流試合はこれで終了。5月は今のところ、21日にJR北海道との1試合だけが入っています。鳴尾浜で12時30分開始予定です。では27日の試合結果から。

《交流試合》4月27日

阪神-Honda鈴鹿(鳴尾浜)

本田 000 100 610 = 8

阪神 000 006 000 = 6

※特別ルール

◆バッテリー

【阪神】鶴-田面-島本 / 小豆畑

【Honda鈴鹿】土肥(4回)-守屋(2回)-岡本(1回)-久保(1回)-藤本瞬(1回) / 飯田

◆本塁打 陽川3ラン(守屋)

◆三塁打 庄司

◆二塁打 (Honda)藤原、澤田、飯田 (阪神)中谷

◆打撃(打-安-点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]指二:阪口 (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0)

2]二指:北條 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

3]遊三:西田 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

4]左:一二三 (3-0-0 / 0-1 / 1 / 0)

5]一:原口  (3-1-2 / 0-1 / 0 / 0)

6]右中:中谷 (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

7]三遊:陽川 (4-1-3 / 0-0 / 0 / 0)

8]中右:横田 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]捕:小豆畑 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(安打-三振-四死球/失-自) 最速キロ

鶴  5回 80球 (5-3-0 / 1-0) 144

田面 2回 51球 (4-0-3 / 6-6) 142

島本 2回 31球 (2-1-0 / 1-1) 141

一挙6点!をそのまま返された…

鶴は1回に二塁打、2回に単打と盗塁でいずれも得点圏に走者を置きますが無失点。3回は三者凡退でした。しかし4回、先頭の3番・澤田に左越え二塁打を許し、一二三からの返球を中継したショート西田のエラーで無死三塁となって、4番・大西の左犠飛で1点を失います。そのあと連打などで2死一、三塁にしたものの追加点は与えず、5回は三者凡退。鶴は5安打1失点(自責0)でした。

打線は1回に2死から西田が粘って四球を選ぶも、盗塁失敗。2回からは3イニング連続で三者凡退と、先発の土肥に4回すべて3人ずつで片付けられています。12のアウト中7つがフライでした。5回は原口が死球、中谷の左中間二塁打で1死二、三塁としましたが、陽川と横田はこれまた外野フライ。

阪神2人目は田面。4月12日の大阪ガス戦以来の登板で、6回は三者凡退!田面にとってノーヒットだったイニングは今季初です。しかもわずか7球とテンポよく抑えたことで、直後の大量得点にもつながりました。

6回裏は阪口の右前打、西田の中前打、一二三の四球などで2死満塁として原口がカウント1-1からの3球目、149キロの真っすぐを打ち中前タイムリー!2人を還して逆転です。なおも一、二塁で中谷は右前タイムリー。さらに陽川がレフトへプロ初アーチとなる3ラン!横田は二飛で、打者9人攻撃が終わりました。この回5安打で6得点です。

1イニングで6点も取ったのは、ことし公式戦で1試合もなく(ここまで1試合5得点が最多だから当たり前ですけど)、非公式戦では2月の練習試合に2度ありました。つまり今季最多タイ。しかも2か月ぶりのこととなれば盛り上がるはずですね。

と思ったら直後の7回表に崩れた田面…。四球と右前打などで1死一、三塁として9番・飯田の右中間二塁打で2人が生還。2死後に暴投で走者は三塁へ。また四球で2死二、三塁となったあと田面のけん制悪送球。1点入って、なおも2死二塁。続く澤田の右前タイムリー。1点差まで追い上げられました。

さらに暴投と四球で2死一、二塁になり、5番・庄司の左中間三塁打。また2人を還し、打者一巡してようやく終了。4安打と3四球、2暴投に自身のエラーも加わって6点を奪い返された田面。7対6と逆転を許します。

8回には、やはり12日以来の実戦となる島本が登板。ヒットを許しながらも2死二塁として1番の中村にインコースの真っすぐを打たれ、これが中前タイムリー。2点差とされました。そのあとは抑えた島本、9回も三者凡退です。ただ打線が7回から3イニング連続で三者凡退と沈黙…。再逆転はならずに試合終了です。

「真っすぐに対応すること」

非公式戦ながらプロ1号に笑顔の陽川選手。久々にショートを守って泥だらけです。
非公式戦ながらプロ1号に笑顔の陽川選手。久々にショートを守って泥だらけです。

公式戦、非公式戦を通じてプロ初のホームランを放った陽川選手は「スライダーです。たまたまうまく体が反応しました」と振り返ります。昨秋の「大学最後の入れ替え戦」以来の1発だそうです。「前の2打席は真っ直ぐに詰まっていたので、とにかく真っすぐに反応しないと上では通用しない。一番は上で打つことなんですけど、まずは(ファームの)公式戦で」と言っていました。

取り組んでいることは?「打つ時にヘッドが入り気味なので、そこを注意する。バットの振り出しを最短でいけるようコンパクトに。そうすれば真っすぐに反応できるようになっていくかと。しっかり公式戦で打てるようにやっていきたい」と陽川選手。もうできてきた?「まだまだですねえ」。また3月11日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)以来のショート守備も、いい動きでこなしました。「サードの方が長いけど、ショートはずっと動いているので足が出やすいのかも」。肩の強さは天下一品ですから、スローイングは見ていてスカッとします。

4回まで3人ずつサクサクと抑えられていた打線、初ヒットは5回の中谷選手です。カウント3-0からの変化球を強烈なスイングで“しばきあげた”打球は、バチコーン!とすごい音を響かせて左中間へ。目の覚めるような二塁打でした。「感覚はよかったですよ、すごく」とニッコリ。「でも抜けていないので」。なるほど、左中間真っ二つでなきゃダメだったんですね。そろそろ2発目のアレも期待しましょうか。

「とにかく試合に出ること」

原口選手は2死満塁で2点タイムリー。「打てたのはよかった。1本だけですけど」。1本じゃ足りない?「その通りです!」。この日はファーストでフル出場。「このところキャッチャーの練習はしていませんね、ファーストしか。公式戦はマスクかぶっていないですもん」。キャンプ中と教育リーグはキャッチャーでの出場もありました。開幕後、公式戦はDHか代打のみ。育成試合でも最初の四国アイランドリーグ・香川戦と、12日の大阪ガス戦で小豆畑選手のアクシデントにより急きょマスクをかぶった、この2試合だけ。

「とにかく今は出ること!」と原口選手は言います。キャッチャーが飽和状態のチーム状況において、どんな形でも試合に出るチャンスを逃したくないでしょう。それなら代打よりもスタメンで。もともとバッティングは高く評価されている選手ですからね。監督やコーチ陣も引き揚げた18時過ぎ、ようやく1人でマシン打撃をしていた室内練習場から出てきた原口選手。汗をぬぐいながら宣言しました。

―やってやる!絶対に―

なお原口選手が対外試合でファーストを守ったのは、2011年には多数あったんですが、その後は1試合のみ。昨年6月25日の育成試合(兵庫ブルーサンダーズ戦、鳴尾浜)以来でした。この時は他にも驚きの守備があったので、あすまたご紹介します。

「ここという場面で抑えること」

先発した鶴投手は「コース、コースにはしっかり投げられたので、まずまずだったと思います」と話しました。4回は味方エラーも絡んでの失点ですが「四球を出したくなかったので外角に投げて単打は仕方ないなと思いながら、長打コースに飛んでしまった。それまでの攻め方もよくなかったですし」と、この回の先頭に打たれた二塁打を悔やみます。そして犠飛を許したわけですね。

「あそこは0で切りたかった。犠牲フライは僕も投げミスしたので…。ゴロにしたかった。できるなら三振を取りたかったところなのに、高めにいってフライになってしまった。そのあとの連打も切っておかないと」。1軍で投げるためには必要な反省なのでしょう。いつ呼ばれてもいいように「もちろん準備はしています!」と力を込めました。

島本投手は「きょうはダメです。思ったように投げられませんでした」と言葉は少なめ。珍しくすっぽ抜けた球もあったと言ったら「みんな抜けていた」とガックリです。前日に紅白戦で投げての登板でしたが「それは関係ない」とのこと。

「投手に意図を伝えること」

小豆畑選手は12日の大阪ガス戦でホームクロスプレーがあり、途中退場となって以来の試合出場です。検査に異常はなく、数日で戦列に復帰したものの出る場面がないまま…。甲子園3連戦もネクストバッターズサークル止まりでした。ようやく試合に出て、最後までマスクをかぶって相当疲れたでしょうね。一度、またホームでブロックする場面がありヒヤッとしましたが問題はなかったようです。

半月ぶりのリードに吉田バッテリーコーチは「まあボールを逸らしたり(暴投)もしたけど。俺は1つだけ、8回の1球に怒ってる」と言います。7対6と1点ビハインドで迎えた8回2死二塁。カウント1-1から島本投手が投げたのは139キロの真っ直ぐで、それを中前タイムリーにされた点です。「まだ1点差で2死、一塁は空いていた。四球でもよかったし、やりくりすればいいところ。なぜインコースの真っ直ぐなのか。打たれ方が悪い。島本はサイン通りに力いっぱい真っすぐを投げただけ。意図を理解させないと」

試合後の小豆畑選手は「悔やまれる1球です。ボールは悪くなかった。自分の意図したことが相手に伝わっていなければ、何も伝えなかったのと同じ」と肩を落としました。大丈夫。反省はいつか必ず生きる。生かせる機会が早く訪れることを今は祈るのみです。それまで、この悔しさを忘れないでくださいね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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