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1軍戦からスライドの秋山がまさかの… 阪神ファームはオリックスに完封負け

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

フレッシュ球宴メンバー発表

まず最初に、今月17日に長崎で開催されるフレッシュオールスターゲームの出場選手が4日午後に発表されました。阪神からはルーキーの岩貞投手と山本投手、2年目の北條選手、そしてルーキーの横田選手が選出されています。この日の岩貞投手は鳴尾浜に残って練習だったため本隊にいた3選手のみですが、意気込みなどをご紹介します。岩貞投手はまた後日ということで、ご了承ください。

山本投手は「最年長になると思います。誰と対戦するかは(出場メンバーを)見ていないのでまだ。シーズン中だから、シーズンにつながる力を出したいです」。北條選手は「自分の力を出せるように頑張ります。良い選手が多いと思うので、いろんなところを観察して盗んできたい」。MVPは?「…活躍したいです」。そこは胸に秘めて、ということですね。

横田選手は「打ちます!」。北條選手に「ホームラン打つとか言うとけば?」と突っ込まれても「いえ、ヒット打ちます」と控えめ。足も見せたいでしょう。「走ります!」。そしてMVPの100万円を?「狙います!」。よくできました。まとめると「打ちます、走ります、狙います」かな。

鉄平に4安打、こちらはチームで4安打…

さて、前日の3日は大虎も小虎も雨で試合が中止になったタイガース。ファームは島本投手が、1軍は秋山投手がともに先発予定を流してしまい、4日のウエスタン・オリックス戦(神戸サブ球場)は秋山投手が先発となりました。島本投手はリリーフ登板しています。試合は3回と4回に計10安打を集中され、秋山投手が7失点。打線は完封負けで4安打のみ。オリックス鉄平選手1人で4安打ですからねえ。

神戸サブ球場には秋山投手のご両親の姿もありました。ちょうどブルペンの横を通る時、試合前の投球練習をする秋山投手が気づいてパアッと広がった笑顔が印象的!球を受ける小宮山選手に何か言われて思わず白い歯がこぼれ、笑ってしまって投げるのを一瞬やめたくらいです。ほんとに嬉しそうでしたねえ。

ご両親は前日、1軍戦の中止が出た時はまだ四国を出る前だったとか。2日間のお休みを取っておられたそうで、スライド登板にも対応できたとのこと。しかしまさかの展開で…途中で帰途につかれた後ろ姿が寂しげでした。当初は10日の1軍広島戦(甲子園)で先発予定だった秋山投手ですが、ここは一旦ニュートラルに戻し、ファームで5日に投げる歳内投手と6日の岩本投手の結果を見て検討されるとか。どうなるのか目が離せません。

《ウエスタン公式戦》7月4日

オリックス-阪神 18回戦 (神戸第二)

阪神 000 000 000 = 0

オリ 003 401 00X = 8

◆バッテリー

【阪神】●秋山(7勝5敗)-藤原-田面-島本 / 清水-小宮山(5回~)

【オリ】○吉田一(4勝2敗)(5回)-八木(1回)-前田(2回)-戸田(1回) / 伏見

◆本塁打 宮崎2号ソロ(秋山)

◆三塁打 縞田、伏見

◆二塁打 新井良、鉄平

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:荒木   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .291

〃打三:黒瀬  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .239

2]三:西田   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .225

〃打一:原口  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .310

〃打:阪口   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .270

3]左:緒方   (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .316

〃左右:一二三 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .175

4]右:新井良  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .286

〃投:田面   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:島本   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃打:小豆畑  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .269

5]指:森田   (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .242

〃打指左:中谷 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .178

6]一遊:陽川  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .243

7]遊二:北條  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .247

8]捕:清水   (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .263

〃捕:小宮山  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .150

9]中:横田   (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .205

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 4回 86球 (11-5-1 / 7-7 / 2.69) 144

藤原 1回 11球 ( 1-1-0 / 0-0 / 2.95) 142

田面 2回 31球 ( 2-0-1 / 1-1 /10.38) 139

島本 1回 14球 ( 0-2-0 / 0-0 / 2.96) 144

3回から突然打たれ出した秋山

秋山は1回を三者凡退、2回も鉄平の右前打のみと上々の立ち上がりでした。ところが3回、先頭の宮崎に左中間へホームランを打たれてから一転。次の奥浪に左前打、駿太が送って続く縞田の中越え三塁打で2点目。谷は三振で2死としたあと4番の高橋にも中前タイムリーなど、この回5安打で3点を失います。

さらに4回、先頭の伏見を“左前三塁打”(レフト緒方が後逸)で出し、宮崎の右前タイムリー。また連続三振と盗塁、四球で2死一、二塁として、ここから谷、高橋、鉄平に3連続タイムリーを浴びてしまいました。鉄平の右前タイムリーで一塁走者だった高橋の代走・山本を、新井良が三塁で刺して終了。秋山はこの回で降板となります。4回を投げ11安打7失点でした。

5回の裏は藤原と小宮山のバッテリー、緒方に代わって一二三がレフトで出場です。藤原は伏見に中前打されながらも無失点。6回からは田面が登板して先頭に四球を与え暴投、丸毛の中前打などで1死一、三塁としましたが、山本を遊ゴロ併殺打!ピンチをしのぎ、7回は先頭の鉄平に右中間へ二塁打されるもフライ2つで2死ととし、小宮山が代走・武田の三盗を阻止!5月14日の中日戦(ナゴヤ)で四球、四球、死球、それも危険球退場と1死も照れずに降板して以来の実戦だった田面が、今季初の2イニングを投げて無失点です。

9回は島本。先発予定だった前日の中日戦を雨で流し、6月15日のソフトバンク戦(甲子園、先発)以来の登板。まず吉田雄を死ライダーで空振り三振、奥浪は真っすぐで三直、そして駿太は真っすぐ3球で見逃し三振!先発の機会を逃しても、登板が減っても、負けてたまるかの意地が見える三者凡退でした。

さて打線は…2回に新井良がセンターのフェンスを直撃する二塁打、3回は清水が中前打、6回は代打・原口が八木の初球を左前打、8回に横田が四球、9回は2死から代打・小豆畑が左前打しただけ。散発4安打で三塁も踏めず、今季6度目の完封負けです。

1軍で投げるべき投手として

試合後の平田監督は、まず秋山投手について「立ち上がりはよかったんやけどな。向こうも1軍選手が並んでるし。でも1軍で投げなあかんピッチャーやしな。2ストライクと追い込んでからの詰めが甘かったかな」と複雑な思いのようでした。前日の1軍戦が中止でスライドしてファームの登板となり「(その影響が)気持ちの上であるとしても、悪いところが出てよかったと考えるのか。課題が見えてよかったんじゃないか?追い込んだあとの決め球が高めに浮いた。フォークも高い。いいバッター揃ってるもんな」と話しました。

久保投手コーチは「タイミングが合っていってる。いいところに投げて、いいところで打ち取ろうとしてしまった。バッターからするとゾーンに集まってくるので打ちやすい。ヨイショ、ヨイショと一生懸命投げるから、相手の一生懸命にタイミングが合って」と分析。守備が足を引っ張ったかという問いには「関係ないでしょう。そこは抑えないと。それだけのピッチャーなんだからね」という答えです。

帰りのバスへ向かう選手をうまく捕まえられず、秋山投手本人のコメントがありません。ごめんなさい。また久々に登板した田面投手も話を聞けずです。唯一、最後をビシッと締めた島本投手には取材ができました。

島本は強気の三者凡退!

ナイスピッチング!「チャンスが少ないので、もらったところで頑張るだけです」。ほとんどが直球で、ラストバッターの駿太選手には143キロでストライク、同じく143キロでファウル、最後はこの日最速の144キロで見逃し三振。3球勝負にいった?「はい。(駿太選手が)ファウルした時に、振り遅れていたんで。3球目はボールでもいいけど勝負してみようと」。小宮山捕手とそういう結論に達したわけですね。

「いいとこに決まった。勝負しにいっての見逃し三振、よかったです!」とホッとしたようで、ちょっと得意げな、なおかつ嬉しそうな顔でした。「先発が流れて悔しいけど、投げられるところで結果を出すだけ。使ってもらったとこで目立つようにしたい」と話しています。久保コーチも「いや~よかったねえ、島本」と絶賛。来週あたり、また先発の機会があるようですよ。敵は台風8号に刺激される梅雨前線かもしれません。負けるなっ!

投手にのみならず、試合についての話は野手陣にも聞けませんでしたので、引き続き平田監督の談話をご紹介します。新井良選手について「二塁打は普通だろ。悪くないもん。1軍で.292打ってるし(ファームには)ライトの守備を経験しにきたんだから」とのこと。走者を三塁で刺した場面も含め「いろんなファームの球場でライトを守って経験積んでる。あすの高槻も、もちろん行くよ。ゲームで経験するために来たんだから」と繰り返しました。

そして4回の守備で伏見選手の打球処理を誤った(記録は三塁打)緒方選手の話を振ると「何を怖がってるんやろな。スタート悪いし、意味のわからんスライディングするし…。後ろへ逸らして三塁打にしていたら1軍では使えない。経験を積むのは大事だけど、そのへんは自分でやるしかない」と厳しい言葉でした。緒方選手は険しい表情のままでバスへ向かい、さすがに話しかけられ雰囲気ではありません。信頼を取り戻すために、また頑張っていきましょう。

きょう5日は高槻市の萩谷総合公園野球場へ場所を移してのオリックス戦ですが、私は大阪商業大学の関屋グラウンドでカナフレックスのオープン戦を見てきます。藤井宏政選手の様子をたっぷり報告しますので、お楽しみに。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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