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もと阪神の藤井宏政選手 夏シーズン開幕の練習試合で4打点の活躍!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後の藤井選手。ポーズをお願いしたんですが、ハニカミながら断られました!

このところ社会人野球のチームに入って野球を続けている“もと小虎”というと、和歌山箕島球友会の穴田真規選手の情報ばかりだったんですけど、藤井宏政選手のカナフレックスが久々に試合をするというので行ってきました。鳴尾浜の小虎ファンの皆様と一緒に。カナフレックスにとって約1ヶ月ぶりの実戦となるオープン戦(練習試合)の相手は、大阪商業大学です。

大商大関谷グラウンドのスタンド。その向こう三塁側がカナフレックスのベンチでした。
大商大関谷グラウンドのスタンド。その向こう三塁側がカナフレックスのベンチでした。

いきなり余談ですが、大商大の関屋グラウンドは奈良県香芝市にあり、周りは林というか森というか…ファウルボールが飛ぶ度に白いユニホームの下級生たちが、その中へ分け入り探していました。大商大野球部からプロに入った選手は多いですね。名前を記した石碑もバックネット裏にあります。阪神では前寮長の山本晴三さんや、2010年まで在籍した金村大裕さんもそう。関屋グラウンドも歴史は長いと聞きました。

このすぐ上に何面か野球のグラウンドがあり少年野球チームが練習をしています。カナフレックスの梁川浩樹マネージャーは少年野球の試合で訪れたことがあり「僕が中学の時、ちょうど金村投手が下の大商大グラウンドで投げていたんですよ」という思い出話を伺いました。その梁川マネージャーも大商大野球部の出身です。

藤井宏政選手の試合を見るのは、3月29日にマツゲン有田球場で行われた和歌山箕島球友会とのオープン戦以来。あの時は1番でしたが、今回は3番ショートです。ご一緒させていただいた方は「宏政くん、体が大きくなった」と言われました。そうなんですよ、大きくなったみたいですね。詳しくはのちほど。

《オープン戦》7月5日

大商大-カナフレックス (香芝市関屋)

カナ 110 030 003 = 8

商大 200 100 001 = 4

中盤に勝ち越し、藤井選手も4打点

カナフレックスは1回、先頭の山内が二塁打を放ち飯田健が送って、藤井は四球で1死三塁となり4番・井上の三ゴロ併殺崩れの間に1点。その裏に連続タイムリで逆転されるも、2回にヒットと死球、犠打などで2死二塁として9番の今釜が中前打、センターの送球エラーで1人が還って追いつきます。また4回にショート藤井のエラー(正面のゴロをトンネルしちゃいました…)で先頭を出し、盗塁とヒットで無死一、三塁。

ショートは藤井選手の定位置です。トンネル以外は(失礼!)いつものプレーでした。
ショートは藤井選手の定位置です。トンネル以外は(失礼!)いつものプレーでした。

ここでカナフレックスのベンチから「1点オッケー、1点オッケー」という声が飛び、これに大商大ベンチが「1点くれるってぇ!」と返したもんで笑っていたら…併殺打で1点入りました。どうも大商大の方が芯でとらえた打球は多い感じ。やはり久々の実戦だからでしょうか。あとで聞いたら練習自体、再開して1週間たらずだったみたいですね。

しかし5回、先頭の年綱は四球を選び、田中が2打席連続の犠打を決めるなど2死三塁として山内の左中間タイムリー二塁打で同点。飯田健はファースト内野安打で一、三塁となり藤井がセンターへタイムリー二塁打!これで2人を還して勝ち越しです。なお藤井選手は送球の間に二塁へ進んだかなと梁川マネージャーも私も思っていたんですけど、本人も二塁打と言っているので相談の上、タイムリー二塁打にしました。

5対3とリードして迎えた9回、先頭の田中が左中間二塁打、今釜は四球、代打・深瀬の左前打で無死満塁。飯田は左飛で1死となり、ここで藤井が中前タイムリー!2人を還して、さらにセンターの送球エラーで2死三塁。続く4番の井上が左犠飛でもう1点追加しました。その裏に先頭が二塁打を放ち、続く5番のタイムリーで1点返されるも後続を断って試合終了。

カナフレックスの先発・國正は6回を投げ5安打3失点(自責は2だと思います)、2人目の横田が3回で3安打1失点です。

「きょうから3番、いいとこで打てた」

試合後、みんなはジョギングなどをしている中、3月の時と同じく監督やコーチ、マネージャーのご厚意により藤井宏政選手と話をさせていただきました。カナフレックスの皆さん、ありがとうございます。で、飯田祥多監督に「何だったんでしょうね~あのトンネルは」と言ったら「よく怒っといてください」と笑っておられました。藤井選手もエラーについては苦笑いのみ。

4月20日にあった都市対抗1次予選の準決勝で敗退したあと、いくつかあったオープン戦(練習試合)も5月31日のOBC高島戦が最後で、6月いっぱいは会社の仕事優先期間だったそうです。試合どころかチームとしての練習も一切なし。これは意外でしたね。そして今月1日から“夏シーズン”ということでグラウンドを使っての練習再開。週末はオープン戦で8月には宮崎で夏季キャンプを行い、9月の社会人日本選手権の予選に備えます。なんせ専用グラウンドを持たないカナフレックスは、なかなかシートノックなどができません。試合をこなすことが一番の練習でしょう。

そんなわけで練習を始めて5日目、約1ヶ月ぶりの実戦がこの日でした。藤井福主将は「イマイチですね。久々なんで全然ダメ。まったく芯に当たってなかった。守備も…いっぱい飛んできて」と振り返ります。確かに内野ゴロの半分がショートですね。飯田監督は試合全体を「もっとボロボロかと思ってました。きょうはあかんやろなーって」と、予想以上ではあった様子。出だしは硬かったものの、そんなにブランクがあったとは思いませんでしたね。大商大とは3月8日にも対戦していて7対3で負けたので、勝ててよかったと藤井選手。

やっぱり藤井選手のバッティングは魅力ありますね。チームに欠かせない副主将です!
やっぱり藤井選手のバッティングは魅力ありますね。チームに欠かせない副主将です!

「きょうから3番なんですよ。いいとこで打てました」と笑顔がこぼれます。打席結果は四球、遊直、2点タイムリー二塁打、ライナー気味の左飛、中前タイムリー。2安打4打点とチャンスに仕事ができたことが何よりだったのでしょう。打順変更は、1番に向いている山内選手(コーチ兼任)が出塁して2番が送り、3番に藤井選手がいれば初回に得点できる、という思惑だったようで「この起用が当たった」と梁川マネージャーも手応えを感じていました。

練習がなくてもジムで鍛えて体重増!

この“仕事優先期間”は各自が室内で自主練習をしたりジムに行ったり。藤井選手は今、品質管理というセクションにいて検品の仕事をしています。勤務は8時半から17時半までの定時終了の日と8時半から20時半までの日があったようで、練習が再開された今は朝8時半から12時過ぎまで練習をして14時15分から20時半まで仕事という流れです。ただし試合が入ってる日はあちこち行くので決まっていません。そして20時半終了の時でも藤井選手は、そのあとジムには行っています。梁川マネージャーいわく「彼は週3日か4日、トレーニングしていますね」とのこと。

それで体が大きくなった?「よく言われますねえ。2月のキャンプ中は88キロか89キロくらいあって、3月のマツゲンの時は82キロまで落ちてたんです。今は87キロ。ジムで鍛えていますから。大きくなったってメッチャ言われます(笑)」。なるほど。食事は?「遅い日はジムから帰ったら12時近かったり。そういう時は外食」。おっと、それ以外は自炊してるの?「はい。鶏のムネ肉を塩コショウで焼いたり」。まさに男の料理だけど、ムネ肉なら低カロリー高たんぱくでいいですね。鶏肉などは冷凍しておけば便利だと言うと「きのう4日が賞味期限のやつ、今から冷凍しても大丈夫ですか?」と聞かれましたが…それは冷凍せずに今夜食べた方がいいかな。よく火を通してね。

また「練習がなかった期間に、フォークリフトの免許を取りましたよ。土日、土日で2週間行って、一発合格です!」と少し自慢の藤井選手。一発ってすごいですねえ。だって運転免許は…。ま、それはいいとして勉強もしなくちゃいけなかったでしょうに、仕事とジム、自主練の合間を縫って頑張りましたね。

この記事も読んでくれているらしく「穴田が打ってますね」とニヤリ。そう2月からでホームランは5本。藤井選手は?「2本打ってますよ。中学生からも1本」…は、中学生から?「野球教室があって、そこで1打席勝負をしたんです。中学生のカーブを」と言ったところで、そばにいた加藤選手が「金属バットでガッツーン」と補足してくれました。うわあ、なんて大人げない(笑)。もう1本は“大人”から。チーム初の公式戦出場だった京都春季大会の2試合目、3月22日のニチダイ戦で打っています。

出塁した藤井選手。四球かな?いや、9回のタイムリーでしょう。そんな横顔です。
出塁した藤井選手。四球かな?いや、9回のタイムリーでしょう。そんな横顔です。

日本選手権に向けてスタート

都市対抗は1次予選の準決勝で悔しい負けを喫したカナフレックスにとって、残る全国大会の機会は11月に京セラドームで開催される第40回社会人野球日本選手権のみ。昨年12月に新規加入したばかりなので、社会人野球の出場権をかけた対象試合には出られませんでした。来年はポイントがもらえて参戦できるでしょうね。よって今年は近畿最終予選に臨み、5つの代表枠を狙うわけです。9月2日開幕、場所はわかさスタジアムか皇子山球場なので、ぜひ応援に行ってください!

今後のカナフレックスの試合予定も書いておきます。

【7月】

12日 vs京都学園大学 京都学園大学グラウンド(亀岡市)13時

13日 vs滋賀高島BC 浅井球場(長浜市)17時半

21日 vs奈良フレンドBC 上野運動公園野球場(伊賀市)13時

26日 vs大谷大学 大谷大学湖西グラウンド(大津市)13時

【8月】

2日 vs成美大学 スポーツピアいちじま(丹波市)11時

13日~17日 夏季キャンプ(宮崎県串間市総合運動公園)

30日 vs追手門学院大学 舞洲球場(大阪市)19時半

きょう6日はミキハウスREDSとのオープン戦がダブルヘッダーで行われています。ミキハウスといえば、もとソフトバンクの山田秋親投手やオリックスの土井健太選手、そして阪神にも在籍した松崎伸吾投手がいるので、藤井選手も対戦を楽しみにしていました。3本目のホームランなんか打っていたらいいですねえ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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