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和歌山箕島球友会が全日本クラブ野球選手権出場決定!本大会へ意気込む、もと阪神の穴田選手

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
勝利の喜びを分かち合った穴田選手。好機に打てなかったせいか、笑顔さく裂とまでは…

阪神ファームは名古屋に遠征中のため、きのう12日もまた社会人野球の試合を見に行ってしまいました。今年から社会人チームに入部した“もと小虎”たち、と言いながら先週ようやくカナフレックスの藤井宏政選手の様子をお伝えできたんですが、今週はまたしても…ほぼレギュラー化している、クラブチーム・和歌山箕島球友会の穴田真規選手です。しつこいなあというお声もなく(いや、ないと勝手に思って)書かせていただきます。

先月末に行われた第39回全日本クラブ野球選手権大会の大阪・和歌山第1次予選に続き、12日は枚方市のパナソニックベースボールスタジアムでの西近畿(第2次)予選でした。大阪・和歌山予選を勝ち抜いた和歌山箕島球友会と、敗者復活で進出のNSBベースボールクラブ。兵庫予選からは優勝のNOMOベースボールクラブと、敗者復活戦を制した関メディベースボール学院の4チームが出場。1回戦2試合と決勝を行いました。

穴田裕規&真規 久々の2ショット

穴田真規選手(右)と「身長は中学の時に抜かれました」と笑う兄・裕規さん。
穴田真規選手(右)と「身長は中学の時に抜かれました」と笑う兄・裕規さん。

雨の心配はなく、空気も乾いていて風が心地よい、ただ日差しは半端じゃない天候の中、穴田選手のご両親と兄・裕規さんが観戦。NOMOベースボールクラブの前田拓也選手をはじめ、お兄さんの同級生で大阪学院大学野球部のチームメイトが社会人チームには何人かいるとのことで、この日も弟の試合を見ながら旧交を温めたようです。裕規さんは大学時代に鳴尾浜で阪神ファームと交流試合の経験あり。兄弟対決もさることながら、そののちタイガースに入団する金田投手も登板した試合でしたね。

卒業後も試合観戦はしたものの、箕島の試合を見たのは初めてというお兄さん。社会人2年目で毎日とても忙しいみたいですよ。久々に見た弟のプレーはいかが?「何にも変わっていませんねえ」。そういう声も、ニヤリと笑う雰囲気もそっくり。ただお兄さんの方がイケメン…ってのは主観なので、真規選手ファンの方に怒られますか。お母さんは「そういう声は多い」とおっしゃっていましたけど。照れまくりだった穴田兄弟の写真も載せておきましょう。

試合結果は以下の通りです。なお1回戦で敗退した関メディベースボール学院とNOMOベースボールクラブ、そして決勝で敗れたNSBベースボールクラブは、きょう13日に大阪ガス今津グラウンドで敗者復活戦を行う予定でしたが、雨のため中止。19日(パナソニックベースボール)に延期されています。

第39回全日本クラブ野球選手権大会

《西近畿予選》

12日 (パナソニックベースボールスタジアム)

◆1回戦第1試合◆

関メディ-和歌山箕島球友会

関メディ 100 010 000 = 2

箕 島  202 310 00X = 8 

◆1回戦第2試合◆

NOMOベースボール-NSBベースボール

NOMO 001 000 010 = 2

N S B  002 020 10X = 5 

◆決勝◆

NSBベースボール-和歌山箕島球友会

N S B  000 001 400 = 5

箕 島 000 122 21X = 8

箕島は3年連続5回目の本大会出場

穴田選手は2試合とも7番シュートでフル出場です。和歌山箕島球友会は1試合目の関メディベースボール学院戦で、先取点を与えるも1回裏にすぐさま逆転。ちなみに2点を取ってまだ2死満塁のチャンスで、穴田選手は空振り三振に倒れています。あちゃー…。3回にも2点を追加した箕島は4回、5番・山口選手の3ランが出て7対1とリード。5回に1点づつ取り合い、そのまま8対2で逃げ切りました。穴田選手は3打席目に左前打を放っています。

決勝は、1回戦の2試合目でNOMOベースボールクラブを破ったNSBベースボールクラブとの対戦。4月に行われた都市対抗野球大会の大阪・和歌山第1次予選決勝と同じ顔合わせとなりました。右肩痛から復帰の宮迫投手が先発です。3回まで両チーム無得点で、4回裏に箕島が1点先取。5回に2点、1点返された6回にも2点を加え5対1と箕島がリードします。ところが7回、2死ランナーなしから連打や守備の乱れなどで一気に4点を奪われ、あっという間に同点。

なおも満塁のピンチにサードへ痛烈な打球…これをサード山口選手が見事にキャッチ!この好守備がチームを救います。その裏に水田選手のタイムリーで勝ち越しに成功、続く穴田選手は1死一、三塁で三ゴロ。二塁封殺のあと、セカンドの一塁転送がエラーとなり併殺は免れて1人生還。箕島は8回にも1点追加して8対5で勝ち、3年連続5度目の本大会出場を決めました。

出てきた言葉は「あかん」の連発

穴田選手のバントを久々に見ました。2つファウルしてバスター、結果は…三ゴロです。
穴田選手のバントを久々に見ました。2つファウルしてバスター、結果は…三ゴロです。

穴田選手は中前打と三ゴロ3つ、守備では遊ゴロを弾いて後ろに逸らしたり(記録は中前打)とか、絶好調とはいかなかったようですね。試合後はまず「疲れた」とひとこと。大事な試合で緊張した?「緊張ってのはないけど…」。今までの試合とは違う?「はい、それはだいぶ違いましたね」。今回だけでなく、やはり準決勝と決勝の2試合こなすのは精神力も体力も必要だと思い、そのために走り込みもしたと言います。

守備面では打球を逸らした場面を「体で止めなあかん」と、打撃は「ヒット1本ずつじゃダメでしょ」と反省の言葉のみ。9月の本大会までに「時間があるので、もう一回やらんと。もっと打たなあかん」と険しい表情でした。勝ったことは嬉しいけけど、それより再三めぐってきたチャンスに仕事をできなかった悔しさが上回っているのでしょうね。帰りのバスに向かいながら「あかんわぁ。あっかんわぁ」と何度も繰り返す穴田選手でした。

それでも期待させる穴田の打撃

和歌山箕島球友会の西川監督は「まだピッチャーが揃っていませんからねえ」と、途中で追いつかれた決勝戦を振り返ります。「そのぶん打たないと。だから今回、打線を入れ替えました。それが的中したというか、みんな打ってくれた。穴田も西武ドームでは打ってくれるでしょう。きょうは周りが打ってるんでね。練習ではすごいんですよ~穴田くん(笑)。ほんま、ちょっとしたことやと思うんですけど」。長い目で見てくださっています。

「社会人ってのは一発勝負ですからね。そこへ合わせていくのが大事。たとえ調子がよくなくても、ここに、この日に頂点を持ってきてくれと選手には話しています。だって10回やって8回勝っても、負ける2回がこういう試合(大会予選などの公式戦)やったら意味がない。10回やって10回勝たないとダメなんです。そういう緊張感は、穴田がプロに戻っても必ず役に立つでしょう。1球目からどうやって仕留めるか。その感覚を持っていったら変わってくれる」

西川忠宏監督(左)と、ウイニングボールを渡された“胴上げ投手”の高橋祐太投手。
西川忠宏監督(左)と、ウイニングボールを渡された“胴上げ投手”の高橋祐太投手。

お話を伺っている最中、ウイニングボールが監督の手元に届いたので記念撮影とお願いしたら「じゃあ最後を抑えたピッチャーと一緒に」と呼んでくださいました。8回から登板し、9回は圧巻の3者連続三振と素晴らしい抑えっぷりを見せた高橋祐太投手です。

実は監督が最初に「高橋!」と呼んだ時、野手の高橋孝司選手が反応。というのも、原井ヘッドコーチが「MVP?高橋孝司でしょう。1試合目に4安打して、決勝も打って。出塁率が異常!」と笑っておられたくらいの活躍ですから。本人は2試合の活躍にも「できすぎです」と控えめなコメントでした。決勝が復帰戦となった宮迫投手は「肩はもう大丈夫です。ちょっとまだ投げ込みが足りていなくて…足がつってしまいました」と苦笑い。9月の本大会は万全で臨むと話しています。

西武ドームは京セラドームへの通過点

最後に西川監督はこう締めくくりました。「西武ドームへ行くことが目標ではない。これはスタートです。やっと“日本選手権の予選”が始まるな、という感じ。京セラが目標!」。クラブチーム日本一になると、自動的に社会人野球日本選手権大会(11月・京セラドーム)の出場権が与えられます。昨年は初戦敗退でした。ことしは何が何でも、企業チームに勝つ!と意気込む和歌山箕島球友会です。

攻守に活躍した山口選手ご夫妻。もうすぐ生まれてくるお子さんに、ぜひ優勝メダルを!
攻守に活躍した山口選手ご夫妻。もうすぐ生まれてくるお子さんに、ぜひ優勝メダルを!

2試合でホームラン2本、さらに勝ち越し点を与えるかというピンチに好守備を見せた山口選手は、第1次予選から大活躍。秋に初めてのお子さんが生まれる奥様も毎試合、祈るように応援されています。試合後、喜びを分かち合うご夫婦の写真も1枚。これで1ヶ月、毎日すき焼きかもしれませんよと言ったら、山口選手は「お願いしま~す!」と奥さんに。奥さんもニコニコと本当に嬉しそうでしたねえ。すき焼きの確約はなかったですが(笑)

きょうから約1週間は全体練習がお休みで、仕事優先期間。穴田選手も朝からマツゲン箕島店で働いています。大会やその練習などで休んで周りに負担をかけた分、ここは集中して仕事をするわけですね。でも本大会出場を決めたから職場の皆さんも喜んでくださったことでしょう。恩返しに、和歌山へ2年連続の優勝旗を持って帰れるよう頑張ってください。第39回全日本クラブ野球選手権大会は9月5日から8日まで西武ドームでの開催。穴田選手も「絶対に行きたい」と言っていた西武ドームで、きっと答えを出してくれるはず。自分が打って勝つ!くらいの意気込みでお願いします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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