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フレッシュオールスターゲームのこぼれ話

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合前にノッカーも務めた平田監督。ベンチやスタンドからの声に照れ笑い?苦笑い?

あっという間にオールスターゲームが終わってしまいました。18日に西武ドームで行われた第1戦では堂林選手をはじめ、スタメンにずらりと並んだ広島勢が大活躍!きのう19日は9年ぶりに開催された甲子園球場で、先発した藤浪投手と大谷選手に注目が集まる中、大谷投手が最速162キロをマーク!試合前には2人でキャッチボールを披露(藤浪投手の提案だったとか)するなど、20歳の若者が夢の舞台を演出しました。これから何度もこのライバル対決が見られるのでしょうね。

その昔、まだセ・パ交流戦などなかった時代に、ルーキーだった巨人・桑田投手と西武・清原選手の対決が実現した甲子園でのオールスターゲーム。私も一塁側アルプススタンドでその時を待っていました。ところが「バッター清原」のアナウンスに拍手と歓声が起き、さあ見るぞと構える前に清原選手は初球を打ってしまい、場内は「わあー!…え?」という感じで一瞬シーン。思いのほか早い決着に、ちょっと遅れての大歓声でした。私も、得したのか損したのかわからない甲子園でのオールスター初観戦。懐かしい思い出です。

さて、きょうは少し遅くなりましたが、17日に長崎で行われたフレッシュオールスターゲームのこぼれ話を写真とともにご紹介します。本文と写真が合わないところは大目に見てください。

ウエスタンのマスコットたち。選手名鑑か何かをチェック中?それを見るキー太(右)
ウエスタンのマスコットたち。選手名鑑か何かをチェック中?それを見るキー太(右)

オールスターゲームでは12球団のマスコットが勢揃いして楽しませてくれます。阪神のフレッシュオールスター担当は、このところキー太くん。ひいき目かもしれませんが、キー太は全体の中でもトップクラスの大人気です。なんといってもキャラクターとして見るからにわかりやすい!顔も動きもメチャクチャ可愛らしい!そして全員でのダンスも注目です。今回は10月に開催される『長崎がんばらんば国体』のマスコットキャラクター、がんばくん&らんばちゃんが登場して『がんばらんば体操』を一緒にやりました。各チームのマスコットたちも頑張って踊っていたものの、なんと!しっかり振りを覚えていたキー太。もう差は歴然ですね。これぞプロってとこを見せたキー太に拍手です。

阪神から出場した岩貞投手、山本投手、北條選手、横田選手の4人にも増して、さらにキー太をもしのぐ人気?を集めたのは平田監督。去年は前年のウエスタン公式戦が4位で終わったため平田監督にとっては3年ぶりのフレッシュオールスター。しかも地元・長崎とあってスタンドからの声援も一際大きくなります。試合前の守備練習やシートノックではノッカーを務め、試合中は三塁コーチとして腕を回したりとフル回転でした。

試合前のシートノックをする平田監督。ノックバットはもちろんチームのものです。
試合前のシートノックをする平田監督。ノックバットはもちろんチームのものです。

しかし、やはりシートノックを締めくくるキャッチャーフライはなかなかうまくいかなかったようで。これは毎日やっているコーチでも一番緊張するみたいですね。なんせ試合開始直前、お客様もいっぱい入っている中で打つんですから。その様子をベンチで見ていたソフトバンク・石渡監督、広島・内田監督はニヤニヤ。最後は大笑いしながら、戻ってくる平田監督にヤジを飛ばしました。「やっぱり難しいわ~」と平田監督も大笑い。オールスターならではの風景です。

ちなみに以前、吉竹監督はフレッシュオールスターに備えて鳴尾浜の練習中にノックをしたことがあったんですが、今回の平田監督は練習なしだったとか。でも何ら問題はありませんでした。

メンバー紹介で並ぶ山本投手(左)と岩貞投手。山本投手は翌日もう1軍の練習でした。
メンバー紹介で並ぶ山本投手(左)と岩貞投手。山本投手は翌日もう1軍の練習でした。

初めてのフレッシュオールスターを体験した横田選手。まあフレッシュは多くても2度までしか出られないので、すっかり慣れたという選手はいませんけど、やはりルーキーだけに戸惑うことは多かったでしょう。普段の試合であんな華やかなオープニングはないし、選手紹介で名前を呼ばれて1人ずつ出ていく段取りも初めてのこと。おまけに横田選手はウエスタンの代表としてアオダモの植樹セレモニーに参加する役割まで。

スタメンで気合いが入っていたのか、それとも間が持たなかったのか、オープニングセレモニーで他の選手が呼び出されるのを待っている時に、横田選手は突然バットスイングを始めました。もちろんバットは持っていないので形だけですが、足を踏ん張って何度か素振り。かと思えば近づいてきた広島のマスコット・スラィリーと何やら談笑。これはどう見てもスラィリーから話しかけ、横田選手が答えた形です。そのあとはスタンドの方をチラチラ見るなど、まあ雰囲気は楽しんでいたようですね。

スタンドから知っている人に声をかけられたのか、思わず笑顔になった横田選手。
スタンドから知っている人に声をかけられたのか、思わず笑顔になった横田選手。

同い年のルーキーの中でも特に奥浪選手とは打順も並んでいたし、隣にいてよく笑い合っていました。だから余計に悔しかったと思いますよ。奥浪選手の受賞は。表彰式を見ながら、なかなか笑顔が出なかったくらいですから。でもまだまだ序章。ここは相手に譲っておいて、借りは後半の公式戦で返せばいいし、いつか1軍で会う時が本当の勝負です。それまでに牙を研いでおきましょう。

その奥浪選手は4日、ウエスタン・阪神戦(神戸サブ)の時にフレッシュ・オールスター出場選手の発表があったため、コメントを聞いたら「抱負ですか?ひとつです。100万円!」と宣言。惜しくもMVPは逃したものの優秀選手に選ばれ、ウエスタン・リーグから唯一の表彰選手となっています。お立ち台では、MVPのロッテ・井上選手を以前から「お兄ちゃん」と慕う、優秀選手の西武・山川選手の話を受けて「僕も弟に加えていただきたい」と返すなど堂々とした受け答え。先輩方に負けないインパクトでした。

練習中の北條選手は同い年の広島・美間選手と一緒。何やら楽しげな噂話でも?
練習中の北條選手は同い年の広島・美間選手と一緒。何やら楽しげな噂話でも?

今まではMVP1人の他に優秀選手4人が選出されていたんですが、ことしの優秀選手は、2人だけ。よって表彰式は100キロ前後の3選手でお立台を占領しました。優秀選手は賞金50万円とトロフィー、そして『角煮まんじゅう詰め合わせ』が贈られたので…ちょっと笑ってしまったのは私だけでしょうか。この副賞、奥浪選手も嬉しいかな。あ、奥浪選手はホームラン賞も受賞していますね。本当におめでとうございます。

小虎ではないけれど、オリックスの北川コーチが「俺の若い頃に似てるでしょ?」と言っていたこともあり、普段からよく話をしている奥浪選手なのでコメントをご紹介しましょう。私と北川コーチが先日、阪神時代にフレッシュ・オールスターでMVPを獲得した話をしていた時、一緒に聞いていたんです。その翌年はケガで辞退した選手の代わりに出場し、また優秀選手賞をゲットした北川コーチに「お前も園部の代わりで行くんやから、そのくらいやってこいよ」とお尻を叩かれていました。

試合前の横田選手(左)とBs奥浪選手。普段から結構、お互いを意識している同級生。
試合前の横田選手(左)とBs奥浪選手。普段から結構、お互いを意識している同級生。

その通り、見事50万円を手にして「北川さんに報告します!」と、お地蔵さん似の笑顔をさらに明るくする奥浪選手。そうですね、連絡しなくちゃ。「あ、もう言っちゃいました?」。まだですよ、直接言いたいでしょう?「はいっ」。そして「浦野さんから打てたのがよかった」と、2ランを含む2安打とも日本ハムの浦野投手を打ったことに感激している様子でした。でも「100万円でなくて悔しいです。最後(8回の空振り三振)は欲を出したので…」と少しへこんでいます。

オリックスの岡本監督、いや1軍の森脇監督もテレビでチェックされていたんじゃない?「監督、見てくれたかなあ。それと一番は親にテレビで見てもらえたことと、そこで打てたことが嬉しい!」。賞金が入ったら、ぜひ親孝行もしてください。そうそう、その賞金は北川コーチいわく「数か月後、知らないうちに振り込まれている。給料と一緒に」とのことですから、ご注意を。この件については、17日のフレッシュ当日に長崎でお会いした藤本敦士さんも全く同じで、MVPを獲得したものの「忘れた頃に入ってるから、賞金を何に使いましたか?って聞かれても困るんですよね」と苦笑いでした。

『すぽると』の取材を受ける北條選手。オンエアーでは流れなかったかも…残念!
『すぽると』の取材を受ける北條選手。オンエアーでは流れなかったかも…残念!

同じルーキーでも阪神ドラフト1位の岩貞投手は、取材もテレビ局のインタビューも多かったですね。さわやかなスマイルで対処。余裕ありますね。また2年目の北條選手も『すぽると』のインタビューを受けました。田中アナウンサーに「すぽるとです。よろしくお願いします」と言われ、すかさず「いつも見ています!」と返した北條選手。さすがです!さりげなくポイントを稼ぎました。山本投手や岩貞投手はもともと年齢も雰囲気もオトナなので意外じゃありませんが、北條選手もこういうところで結構オトナな対応ができますね。藤浪投手もそんな感じがします。

表彰式をベンチで見ていた岩貞投手。横田選手の言葉に大笑い?
表彰式をベンチで見ていた岩貞投手。横田選手の言葉に大笑い?

岩貞投手とは少し前、鳴尾浜で話をした時に「山川とはグループトークでやり取りしていますよ」と言っていたんですが、その山川選手とは対戦できずじまい。当たりたかったでしょうね。岩貞投手に試合後、阪神の4選手揃った写真を撮れたら嬉しいと言ってみたところ「わかりました」とすぐに隣にいた山本投手と並んで、横田選手を呼び、さらに「北條!北條!」とベンチに引っ込んでいた北條選手を探してくれました。これが迅速で、しかも手際の良さは抜群!あっという間に集合し、結果が18日付けの記事に載せた写真です。気づけば新聞社のカメラマンさん方も、一緒にバシャバシャ撮っていてビックリしました。

束の間の夏休みを過ごした選手たちも1軍は18日から、ファームは19日から練習を始めています。きのう19日は甲子園でオールスターゲームがあったため、鳴尾浜は午前がファームで午後が1軍と、2段構えでの練習でした。いつもと違う顔ぶれに、見学されていたファンの皆さんも喜んでいらっしゃったのでは?なおウエスタン公式戦は22日から再開されますが、阪神は26日と27日の中日戦(新潟県三条市)まで試合がありません。鳴尾浜で22日と23日に紅白戦の予定と聞きました。ただし急な変更があった場合はご了承ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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