Yahoo!ニュース

今季リーグ最長試合は、陽川選手の適時二塁打で逆転サヨナラ勝ち!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
サヨナラ打に笑顔の陽川選手。普段に比べると…さすがに疲労感が漂っていますね。

8月1日は記念すべき阪神甲子園球場“90歳”のバースデー。その甲子園で、1軍が延長10回サヨナラ勝ちと最高のお祝いをしましたね。そしてファームも昼間の鳴尾浜で延長10回、勝ち越しを許しながら陽川選手の2点タイムリー二塁打で逆転サヨナラ勝ち!曇っているのに蒸し暑い天気の中で、なんと4時間48分という記録的な長さの試合でした。

記録を調べてみると、昨年までのウエスタン・リーグ最長試合は9イニングで4時間38分、延長戦を含むと5時間13分。ただし、ここには“延長15回制”だった頃のものも入っているため比較はしにくいですね。なので延長10回での記録をみると、これまでの最長は4時間28分でした。よって一気に20分も更新してのリーグ新記録となったわけです。

17時18分に試合が終わったので、もちろん外での練習はなし。引き揚げてくる監督もコーチも選手もグッタリした様子でした。聞いてみると「鳴尾浜で17時を過ぎて試合をしていた記憶はないねえ」とのこと。スタンドのお客様も初めてだったでしょうね。最後まで見て、そのあと甲子園でナイター観戦という方と「1軍も延長戦だったりして」と笑っていたら…本当になっちゃいました。どちらもサヨナラ勝ちってのはよかったですけど、合わせて8時間52分!お疲れ様でした。

なおファームのオリックス戦は両軍合わせて35安打、阪神は今季チーム最多の18安打を放っています。ちなみにオリックス4度、阪神4度と合わせて8度も満塁の場面があったんですよ!そして阪神が14でオリックス16、合計30という残塁の数。これも結構な記録じゃないでしょうかねえ。

《ウエスタン公式戦》8月1日

阪神-オリックス 21回戦 (鳴尾浜)

オリ 001 030 200 1 = 7

阪神 100 031 100 2x= 8  ※延長10回

◆バッテリー

【阪神】吉見-西村-山本-筒井‐渡辺‐加藤-玉置-○久保田(1勝) / 日高-岡崎(6回~)

【オリ】前田(4回2/3)-マエストリ(1回1/3)-八木(1回)-古川(1回)-●戸田(1勝2敗3S)(1回1/3) / 伏見-斎藤(6回~)

◆本塁打 武田5号ソロ(久保田)

◆二塁打 伏見、竹原、陽川2柴田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]右:柴田   (6-4-1 / 0-0 / 0 / 0) .254

2]遊:北條   (5-3-0 / 0-0 / 0 / 0) .251

3]二:黒瀬   (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .269

〃走二:阪口  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .239

〃打:小宮山  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .162

〃二:荒木   (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .254

4]指:狩野   (5-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .292

5]一三:陽川  (6-3-5 / 0-0 / 0 / 0) .257

6]三:西田   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .237

〃打:高山   (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .208

〃走一左:中谷 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .170

7]左:一二三  (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .179

〃打一:森田  (1-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .278

8]捕:日高   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .213

〃捕:岡崎   (1-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .274

9]中:緒方   (3-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .308

〃打:原口   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .261

〃中:横田   (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .183

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

吉見  4.1回 99球 (9-3-3 / 4-4 / 3.57)

西村  0.1回 9球 (0-0-1 / 0-0 / 5.26)

山本  0.1回 7球 (1-0-0 / 0-0 / 2.50)

筒井  1.0回 28球 (2-1-1 / 2-2 / 2.70)

渡辺   1回 16球 (1-2-0 / 0-0 / 1.17)

加藤   1回 26球 (2-1-1 / 0-0 / 8.10)

玉置   1回 17球 (1-2-0 / 0-0 / 2.88)

久保田  1回 12球 (1-1-0 / 1-1 / 8.04)

サヨナラ打の陽川選手とハイタッチする北條選手。中谷選手、西田選手も祝福?の笑顔。
サヨナラ打の陽川選手とハイタッチする北條選手。中谷選手、西田選手も祝福?の笑顔。

両軍で35安打、三者凡退は6回表だけ

阪神は1回に柴田と北條の連打、黒瀬の四球で無死満塁となり狩野の犠飛で先制。陽川も左前打で続きますが、西田と一二三は三振で1点止まりでした。オリックスは3回、平野らの3安打で1死満塁として伏見の犠飛で同点。5回には竹原の二塁打と宮崎の左前打などで1死一、三塁、武田が左前タイムリー。ここで先発の吉見は降板します。代わった西村が四球を与えて1死満塁となり縞田の犠飛。続く小島の左前タイムリーで、この回3失点です。

しかしその裏、阪神も緒方、柴田、北條の3連打で無死満塁として、2死後に陽川が三塁線を破る走者一掃のタイムリー二塁打!これで追いつき、前田を降板させます。6回には岡崎の内野安打などで2死一塁、柴田が左中間へのタイムリー二塁打で勝ち越し!と思ったら…6回は三者凡退に抑えた筒井が7回、連打と四球で無死満塁として降板。代わった渡辺は縞田の犠飛と、2死後に深江のタイムリー内野安打で2失点。また逆転されましたが、その裏に黒瀬と狩野の連打と代打・高山の四球などで1死満塁。一二三は三振に倒れるも暴投で黒瀬の代走・阪口が生還!

8回は加藤が満塁のピンチをしのぎ、9回の玉置も1安打されながら連続三振で無失点。打線は9回2死から代打・森田の左前打と盗塁(スタンドもグラウンドもオリックスベンチも驚いていましたが、今季2つ目です)、岡崎の四球、横田は三ゴロを二塁へ送った奥浪の野選で満塁としますが無得点で、6対6のまま延長戦に突入。その10回表、久保田がわずか4球で2死を取ったあと、武田に勝ち越しの5号ソロを浴びてしまいました。

これは負けかなと諦めかけた10回裏、9回から続投の戸田に対して先頭の北條が左前打、荒木はショート内野安打で無死一、二塁とチャンスメイク。狩野の中飛で北條は三塁へ進み、続く陽川の打球が左翼線へ。まず北條が還って同点、ついで荒木も一塁からホームイン!延長戦は今季チーム5度で、これまで4度はすべて引き分けでした。よって今季2度目のサヨナラ勝ちは、今季初の延長戦勝利です。

「鳴尾浜で初の17時超え!」と狩野

試合後の話は野手陣のみです。10回に逆転のホームを踏んだ荒木選手に、ナイスランと言ったら「普通です」とクールに笑います。先制の犠飛の他は1安打だった狩野選手は「打球が正面に飛んだりしているだけで、調子は悪くないですよ。結果がほしい~」と話しています。なお狩野選手は、戻ってくるなり「14年間で初めてですよ!鳴尾浜で5時を超えたのは」が第一声でした。

また一二三選手は「僕、3三振ですよね?」と確認したあと「あかん、もうあかん。打たれへん」と大きなため息。今週の由宇遠征では1戦目に2安打、3戦目に1安打していますが、思ったバッティングができていないんですかね。続いてやってきた原口選手は「ぐああああ!」という、何とも文字に表しにくい雄叫びを上げました。代打で出た7回2死満塁の場面で、タイムリーを打てなかったことが悔しいのでしょう。でも素晴らしい当たりの遊直。「いい当たりだけじゃダメなんです」

話は聞けませんでしたが、同点で迎えた8回1死二塁の場面で宮崎選手が放ったライナー性の打球にダイブした横田選手の守備。スタンドから見ていても、おそらく捕球は無理だろうと思われた当たりです。飛び込んで後ろに逸らしてしまえば、俊足の吉田雄選手が二塁から生還する可能性もあったところ、横田選手はボールをしっかり止めていました!もちろんダイレクト捕球はならず記録はヒットですが、単打で走者も三塁でストップ。この回の加藤投手は無失点で投げ終えています。

終盤からの出場でも守備でアピール・横田選手。写真は新潟で見せたオトナの横顔です。
終盤からの出場でも守備でアピール・横田選手。写真は新潟で見せたオトナの横顔です。

横田選手はきっと、新潟でも聞いた通り「練習の成果が出てよかったです」と答えたでしょうね。他にも陽川選手の絶妙のタイミングでジャンプして獲ったファーストライナーや、結果的には生還させてしまったものの一二三選手のレフトからのバックホーム送球など、お客様を沸かせるプレーがいくつかありました。

陽川、3安打5打点のきっかけは…

次は、二塁打2本を含む3安打を放った陽川選手。しかも二塁打は満塁の走者一掃タイムリーに加え、逆転サヨナラタイムリーで計5打点です。サヨナラ打は「今までにないかも。初めてかなあ」とのこと。あの場面を振り返り「ホームラン打たれて負けたと思いましたが、北條が先頭で出たので…」と言いかけたところに、北條選手が「持っていかれたぁ!」と入ってきて一同爆笑。「とりあえず1点差だったし、回ってきたら何か仕掛けようとは思っていた」と続けます。

由宇では2試合連続ノーヒットで3試合目は出場せず。「その前の新潟も何とかヒットは出ていたけど、あんまりしっくりきていなかったんです。打球に力を感じなかった。きょう掛布さんに、ボールとの距離感について教えてもらいました。ひざ、軸足を意識してやったらボールとストライクの見極めが結構できたので、よかったかなと。ひざが内に入っていてタメができず、突っ込む状態でボール球を振っていることが多かったみたいです」

いつものように話をする陽川選手なんですが、なんとなく静かというか…元気がないのは気のせいでしょうか?MVP級の活躍だったのに。すると「だって…5時間ですよ」とポツリ。あ、なるほど。疲れ果てているわけですね。それは失礼しました。初体験ですか?「ないですね、5時間も試合したことは」。お疲れ様でした。

おまけでオリックスの武田選手です。あのホームランで負けたと思った、と声をかけたら「いや、僕は追い越されると思っていましたよ。前もそうだったから」と言います。4月8日の阪神‐オリックス9回戦(鳴尾浜)のこと。4対0とオリックスがリードしていて、8回裏に阪神が一挙4点取って追いつきました。しかし9回に武田選手が玉置投手から1号ソロ!これで勝ち越された阪神が、その裏に小宮山選手のタイムリーで再び同点。延長の末に引き分けています。この時は追いついただけですけど今回は武田選手の心配通り、追い越してしまったわけですね。

きょう2日も鳴尾浜で阪神‐オリックス戦が予定されていましたが、雨のため中止。あす3日の予備日に入ります。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事