Yahoo!ニュース

横田がプロ1号、しかも満塁弾!岩貞、松田ら4人で3安打完封リレー《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
お待たせ!プロ1号に笑顔がはじける(実は写真撮影に照れる)横田慎太郎選手です。

2日に中止となったウエスタン・オリックス戦が行われた3日も、鳴尾浜は雨模様でした。特に試合が始まると同時に降りが強くなるという皮肉な状況。2回に横田選手のプロ1号、しかも満塁ホームランが出たもんで「何とか5回まで…」と祈ったところ、結局は内野に水が浮くこともなく最後まで行われました。さすが鳴尾浜、さすが阪神園芸さん!

先発は岩崎投手の予定でしたが、この日に1軍で先発デビューするはずの岩貞投手がメッセンジャー投手のスライドにより、ファームでの登板となっています。また松田投手の今季初登板もありました。打線は、前試合で3安打5打点と気を吐いた“陽川選手を除く”先発全員の11安打で6得点。投手陣は3安打のみ(うち2本は内野安打)の完封リレーで、このカードの対戦成績を16勝4敗2分けとしました。

《ウエスタン公式戦》8月3日

阪神-オリックス 22回戦 (鳴尾浜)

オリ 000 000 000 = 0

阪神 040 010 10X = 6

◆バッテリー

【阪神】○岩貞(2勝1敗)-松田-高宮-伊藤和 /小宮山

【オリ】●近藤(2勝6敗)(6回)-桑原(1回)-柴田(1回) / 若月(4回~)-庄司(8回裏)

◆本塁打 横田1号満塁(近藤)

◆二塁打 中谷

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]中:柴田  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .256

〃打右:中谷 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .174

2]遊:北條  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .251

3]右中:緒方 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .306

4]指:森田  (4-2-1 / 2-0 / 0 / 0) .284

5]一:陽川  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .253

6]三:西田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .237

7]二:荒木  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .254

8]捕:小宮山 (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .182

9]左:横田  (4-1-4 / 1-0 / 0 / 0) .186

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩貞  6回 95球 (1-4-3 / 0-0 / 0.45) 145

松田  1回 9球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 148

高宮  1回 23球 (1-1-0 / 0-0 / 2.50) 142

伊藤和 1回 8球 (1-1-0 / 0-0 / 9.53) 143

横田が満塁弾、投手は完封リレー

岩貞は三者凡退で立ち上がり、2回は1四球のみ。3回も先頭に四球を与えますが、三振と小宮山の盗塁阻止など3人で終了。4回は先頭の吉田雄に初ヒット(岩貞がグラブに当てるも捕れず)となる内野安打を許し、内野ゴロで2死三塁まで進めながら無失点。5回は三者凡退で、6回に1四球。出した走者は3人だけの1安打無失点で6イニングを投げ終えました。アウト18個の内訳は三振4、外野フライ2、盗塁刺1で、残る11個はすべて内野ゴロです。

7回は松田が登板。4番の奥浪は初球147キロがボールとなり、144キロの真っすぐで遊飛。代打・竹原は146キロの真っ直ぐのあと変化球2つ続けて左飛。山本には変化球と直球で1-1として、次が148キロを見逃し、最後は147キロの真っ直ぐで空振り三振!わずか9球で三者凡退でした。

試合後、取材を受ける松田投手。あすからの九州遠征にも参加します。
試合後、取材を受ける松田投手。あすからの九州遠征にも参加します。

打線は2回、森田が右前打するも陽川は併殺打で2死。ところが西田と荒木の連打と小宮山の死球で満塁とし、9番・横田がカウント2-1からの4球目にバットを一閃!ライナー気味の打球はライトのネット半ばへ当たる、正真正銘のプロ1号となりました。しかも満塁ホームラン!ベンチ前でのハイタッチでは一二三と北條に思いきり頭を叩かれて、のけぞる場面も(笑)

3回は立ち直った近藤に北條から3者連続三振、4回も内野ゴロ3つでしたが、5回は小宮山の中前打と柴田の右前打などで1死一、二塁として北條が左翼線タイムリー!緒方は右前打で続くも、ここは1点止まりです。なおこの緒方のヒットで、先発全員安打まで陽川を残すのみとなっています。6回は2死から小宮山が左前打しただけで追加点なし。

7回は先頭の代打・中谷が桑原の初球、145キロの真っ直ぐを打って三塁線を破る二塁打。北條と緒方は空振り三振で2死となったものの、森田が右前タイムリー!次の陽川は死球で出ますが、ここも1点のみ。8回はオリックス3人目の柴田に対して三者凡退でした。

なお8回の守備は、高宮が先頭の小島に中前打(これが唯一、ヒットらしい当たり)されたものの、後続をピシャリと断って無失点。9回は伊藤和で、まず先頭の吉田雄を空振り三振、代打・深江はショートとレフトの間に落ちる内野安打で出しますが、奥浪は遊ゴロ併殺打!3人で片づけて試合終了です。

キレよく6回1安打無失点の岩貞

試合後は降り続く雨と、九州遠征の荷物出しがあるため16時半までに全体練習を終えました。まず平田監督の話からご紹介します。「岩貞はキレがいい。低めの変化球でも空振りが取れる。よかったね。松田はまだ彼本来の出来とは違うけど、さすがだよな。落ち着いて。最後も狙って三振を取っていた。2日間、様子をみて順調なら6日のヤフオクドーム(ソフトバンク戦)で投げさせる。青森も行くんちゃうか」

1軍での先発予定が、急きょファームに変わった岩貞投手ですが「切り替えるまでもなく、試合は試合と思うので特に気持ちの変化はなかった」と言います。「きょうは(雨で)コンディションの悪い中、ピンチでも粘れたのはよかったですね。改善点も新たに見つかったから、それを修正していきたい。チェンジアップが思い通りの軌道に行かず、抜けるのも何球かあったので減らしていかないと」

3回2死で武田選手をカウント2-2から空振り三振に取ったのが、この日最速の145キロでした。「もう少し叩かないといけないコースですね。結果として三振を取れたのはよかったけど、もう少し甘くて打たれていたら…と考えると、もっと精度を上げていかなければと思います」。このあとは10日の広島戦(京セラ)という予定。もしかすると昨日の中止で再編されるかもしれませんが、次はきっと1軍での快投を見られるでしょう。

らしさ全開の遼馬、和雄は復調の兆し

松田投手は、148キロ出たねと記者陣に振られ「出ましたねえ!」とニコニコ。対外試合で投げるのは昨年11月の侍ジャパン以来で「しっかりゼロに抑えようという気持ち」だったそうです。わずか9球で三者凡退の、今季初登板を振り返って「インコースのサインが出て、厳しいところもいけたのでよかったと思います。まだまだ甘くなってしまった球もあったけど。久しぶりの試合にしては、スピードというより思いきり腕を振れてゾーンで勝負できた」と言っています。

雨の登板も「こういう天気での試合はあるので、最初に足場をチェックした」と落ち着いた様子。1軍についての質問には「先のことは考えずに、まずファームで結果を残すこと。一日一日しっかり練習していきたいです。きょう何とかゼロに抑えることができて、そこはホッとしています」と話しました。九州遠征は?と尋ねたらニヤッと笑って「きょうの荷物出しを見といてください」と。平田監督に聞くまでもなく、笑顔いっぱいで荷物を出す松田投手の姿を、ちゃんと拝見しました!

9回に登板し、内野安打1本はあったものの3人で片づけた伊藤和投手。投じた8球のうち6球が真っすぐ、その半分が見逃しのストライクです。今春、支配下登録される前を思い出させるような力強いピッチングでした。「久しぶりですね。ブルペンからよかったし、試合でもブルペンの球を投げられたので」。先頭の吉田雄選手は真っすぐ2球を見逃して、カウント1-2からの4球目・129キロを空振り三振。「チェンジアップです。振ってこなかったので、できれば真っすぐで三振を取れたらよかったんですけど」。ヒットも差し込んでいましたね?「はい、よかったと思います」と晴れやかな表情。

伊藤和投手は右ヒジの不安を払拭、大きなフォームで力強い球が戻ってきました。
伊藤和投手は右ヒジの不安を払拭、大きなフォームで力強い球が戻ってきました。

「ヒジが気になっていて、かばって…どんどん小さなフォームになってしまった。腕を大きく、体を大きく使おうとやってきた結果、きょうよかったので次からもっと不安なくいけると思います。ヒジの強化もかなりして、ピッチング練習する前のウエートトレで少し締めたりとか、だいぶ気にならなくなってきました。これまでは、自分で大丈夫と思いながら無意識にかばって縮こまっていたかもしれませんね」。そして「続けることが大事。きょうだけよくてもダメなので」と気を引き締める伊藤和投手でした。

横田「早く打ちたかった!」プロ1号

横田選手は、北條選手に「ヒュー!」とはやしたてられての囲み取材。プロ1号ですね。「やっと出てよかったです」。打った瞬間に入ったと思った?「はい、わかりました。チェンジアップ…だと思います。真ん中です…多分」。満塁ホームランは「高校で2本か3本。3年の時にも打っています」とのこと。狙っていたのではないと思いますが、という言葉の途中で「全然!狙えないですもん」と素早い答えに笑ってしまいました。そのあと「ヒットを狙いにいって、ホームランになりました」と続けています。

平田監督は「失投だったけど、ホームランにしたのは大したもの。ああいうのを見ると使っていきたくなる。足もあってホームランもあって、打率も稼げる選手に育てていきたい。それにしても1号は遅い方やな。糸井みたいな選手に育ってほしいね。努力もするし、痛いとか痒いとか言わんし」と19歳の未来に期待あふれるコメントでした。

掛布DCにも、褒めてもらったそうで「早く打ちたいと思っていたので、出てよかった」とホッとした感じ。対戦相手のオリックスでは、同い年の園部選手が5本、若月選手と奥浪選手が4本ですからね。「これをきっかけに打率も上げられるようにしたい」。平田監督の言葉には「その通りです。そうなりたい」と頬を紅潮させます。この日は田中秀太スカウトも視察に来ていたものの「見ていなかったみたいで…。見てほしかった」と残念そう。

1日のオリックス戦で、宮崎選手の右前打を飛び込んで止め単打にした件(後ろに逸らしていれば間違いなくタイムリー二塁打になったであろう打球)は、やはり監督はじめベンチの評価も高かったらしく、本人も「あれは賞金をもらいました」と嬉しそうです。「レフトの守備にもだいぶ慣れた」という横田選手。九州遠征でまた暴れてきてください!

今週は福岡、青森と遠征続きです

そうそう、2安打の小宮山選手にナイスバッティング!と言うと「ありがとうございます」、ナイス盗塁阻止!と続けたら「それが一番うれしいですねえ」とニッコリ。あと2回は横田選手の前で満塁にしたのも小宮山選手でした。「ナイス死球」と言うべきだったかな?

死球といえば陽川選手も、7回に右手前腕に死球を受け赤く腫れていました。左ではなく右の、ちょうどヒジと手首の真ん中あたりの内側で「打ちにいって当たった」そうです。もう少し手首よりだったら骨折してもおかしくない箇所だけに、ひと安心。「自分だけノーヒットって知っていましたよ。最後の打席で打たな!と思ったらデッドボール…」と悔しがります。でも問題なくて何より。九州へも行きますよ。

その九州でのソフトバンク戦は、5日と6日が北九州市民球場とヤフオクドームで18時からナイター、7日は雁の巣で13時からデーゲームとなっています。平田監督によれば今週の先発は鶴投手、秋山投手、岩崎投手、土日のイースタン・楽天とのファーム交流試合(八戸、青森)は岩本投手、島本投手の順番だそうです。なお野手では小豆畑選手、一二三選手、原口選手、阪口選手らが九州へ行かず残留。青森はまたメンバーが変わると思われます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事