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終盤に2度追いつかれて引き分け 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
3号HRの緒方選手(左)と「あす31日が誕生日やから一緒に」と呼ばれた阪口選手。

きのう30日の夕方、久しぶりに阪神甲子園球場へ行ってきました。といっても試合開始前の10分程度で、この日プロ2度目の先発だった金田投手のご家族にお会いするためです。お邪魔したネット裏上段の席には既にお父さん、お姉さん、妹さん、お母さんと4人並んで座っていらっしゃいましたが、どうも雰囲気が硬いような…。聞けば「緊張しています。何か食べようと買ってはきたんですけど、喉を通らないので」とのこと。

1泊2日で家族を招待した孝行息子

なんといっても初めてのナマ観戦、甲子園での先発ですからねえ。お気持ちはわかります。おそらく金田投手が交代した6回以降に食事をされたかも。金田投手も試合後に「プロで初めて直で応援してくれたんで、僕よりも緊張したでしょうね」と言っていましたから。結果は初黒星で「もうちょっと粘りたかった!」と本人は悔やみますが、しっかりゲームを作っての交代。「何とか接戦にしてくれれば」とおっしゃっていたお父さんの希望通りです。

お父さんの初観戦と甲子園の感想は「最高です!また来ます」でした。実は今回、鹿児島から家族4人を甲子園に迎える段取りは、金田投手自身がしたそうですよ。しかも観戦チケットだけではありません。お父さんが「1泊2日で息子が招待してくれたんです。中継ぎではいつ投げるかわからないのでって」と本当に嬉しそうに話してくださいました。素晴らしい親孝行ですね。これから、しびれる場面での登板が増えてくるでしょう。秋にまた金田家の皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

さて30日、昼間の鳴尾浜では戻ってきた残暑の中、ウエスタン・中日戦が行われました。秋山投手が6回までノーヒットピッチング!しかし8回に追いつかれ、勝ち越したと思ったらまた同点…結局は引き分けです。

《ウエスタン公式戦》8月30日

阪神-中日 23回戦 (鳴尾浜)

中日 000 000 011 = 2

阪神 000 010 010 = 2  ※9回引き分け

◆バッテリー

【阪神】秋山-小嶋 / 小豆畑-小宮山(9回表)

【中日】鈴木翔(6回)-川上(2回)-岸本(1回) / 松井雅

◆本塁打 緒方3号ソロ(川上)、古本7号ソロ(小嶋)

◆二塁打 北條、柴田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:柴田  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .250

2]二:荒木  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .238

3]右:緒方  (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .310

4]一:森田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .273

〃一:阪口  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .257

5]三:陽川  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .247

〃走:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .111

6]遊:北條  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .242

7]左:中谷  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .179

〃打:高山  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .185

8]捕:小豆畑 (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .282

〃捕:小宮山 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .176

〃打:西田  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .232

9]中:横田  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .177

〃打:岡崎  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .265

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

秋山 8回 95球 (3-6-2 / 1-1 / 2.82) 146

小嶋 1回 21球 (1-0-1 / 1-1 / 4.37) 143

終盤にホームランで一喜一憂

中日・先発の鈴木翔から4回までに7三振を奪われ、2安打と2四球のみで無得点だった打線。しかし5回に先頭の小豆畑が右前打、横田の犠打で1死二塁として柴田が右翼線にタイムリー二塁打!という結果ですが、実は走者の小豆畑が三塁付近で転倒しかけ、ベースをまたいでしまったため戻って踏み直すという事態。間に合ってよかったですねえ。

一方の秋山は1回2死から古本に四球を与えるも、それ以外は完璧なピッチングで6回までノーヒット!「もしかして」という囁きがスタンドで聞こえた直後の7回、先頭の溝脇に中前打されましたが、古本はバント失敗。打ち上げた打球をサード陽川が捕って一塁へ送り併殺!次の4番・福田は3打席連続の三振と、この回も3人で片づけています。

ところが8回、先頭の堂上剛に中前打を浴び、犠打と四球、さらに井藤の右前打で1死満塁。代打・中田の左犠飛で失点してしまったのです。6月26日以来、白星から遠ざかっている秋山。8勝目はまたもお預け?と思ったら、その裏2死から緒方がレフトへ勝ち越しのソロ!7回に登板した川上から、唯一のヒットでした。

ハイタッチで迎えられる緒方選手。西田選手が高々と手を上げるので思わずジャンプ!
ハイタッチで迎えられる緒方選手。西田選手が高々と手を上げるので思わずジャンプ!

9回は小嶋が登板して先頭に四球を与えますが、自身の牽制で刺して1死。しかし続く古本にセンターバックスクリーンへホームランを浴びて再び同点です。あとは三ゴロと、レフトの前あたりまで走りジャンプした北條の、伸ばしたグラブにぎりぎり入る遊飛で終了。その裏は岸本から北條と代打の西田が四球を選び2死一、二塁としましたが、最後は代打・岡崎が三振に倒れて引き分けです。

打者の意見も参考に、秋山

秋山投手は「1軍で打たれてから、着地までのタイミングを練習していて、それを試合でやっていくってのはピッチングフォームが課題。配球的には130キロ台のカットボールやフォークより遅い120キロ台のスライダーが欲しいなと考えて、それを使う努力をしました」と話しています。それでスライダーが多かった?「そうですね。8回の堂上剛さんは完全に僕と小豆畑さんの配球の甘さだったかなと。1対0の試合で、長打のあるバッターの内をつくのもリスクは高い。そこで頷いてしまったこと、後悔しています」

6回までノーヒット。最後までとは?「8回はもし0で帰ってきていても微妙でしたね…。下位だったけど微妙。7回は(先頭の)溝脇には半速球を、次の古本さんにも長打をよく打たれているイメージがあって。その2人を抑えたらノーヒットを目指そうと思ったんですが、溝脇に打たれた。まあ(古本選手の)バント、高めでフライは狙い通りでしたけど。ストライク先行で、ストレートに頼らずいけたのはよかったですね。カットは2、3球しか投げてません。4番の攻め方はうまくいったと思います」とのことでした。

「ピッチングコーチから見た意見に加えて、対戦するのはバッターなのでバッターの意見も聞くようにしています。その中で、掛布さんにも(足の)踏み出し方をほめてもらったので続けていきたい」。それは最初に言っていた“着地のタイミング”ですね?「着地までのタイミングを、自分の投げやすいようにしていた。そうじゃなくバッターが打ちにくくしないと。タイミングを早くとか遅くとかはまだ身についていないけど、ためることはできますね。イメージは違いますが、岩崎は足がついてから投げてこない感じで、僕はなかなか着地しない感じ。岩崎のようにしようと思うと“押し投げ”になってしまう」

1軍で打たれたから、わかること

久保投手コーチは「打者との間合いですよ。どこかでアクセントをつける。スッと投げるのもあれば、スッといかないのもあり、そこに変化球も加われば打者は迷う。140キロ後半も出るんだから、どうタイミングを取らせずに投げるか。それが1軍にいってわかったんでしょう。1軍でつるべ打ちされる。じゃあ、どこかタイミングをずらせばいいと。ファームでは“秋山のままで”抑えられてしまうから、何が悪いのかわからないんだろうね。1軍でヒントをもらって帰ってきたから、わかること。小嶋にも同じことを言っています」

そして「ジャンケンのあと出し」でもいいと久保コーチ。なるほど、それなら完全にタイミングを外されて打者は戸惑いますね。まず22日の紅白戦で試して、きのうは「対外試合でどうかを見たかった」そうです。その結果「きょうの段階ではOK!相手の反応を見られたからね」と、ひとまずミッションクリアというところでしょうか。

マスクをかぶった小豆畑選手は「秋山は尻上がりによくなってた。ノーヒット?僕は最初から狙っていましたよ。6回、7回あたりは疲れが出始めて球が高めになったけど、変化球は低めだったし、真っすぐは高くても押し込める威力があった。きょうは秋山が頑張ってくれました。組むのは久しぶりだったけど、首を振ったり意見を言ったりしてくれた。最初は僕がテンポ悪かったんです。いつも出だしは慎重になるとこがあって。でも一巡したら大分楽になりました」と振り返っています。

ところで…5回の走塁について聞いてもいいですか?「あれは三塁を回ろうとしたら手前で転びそうになって。そのままベースを踏んだらこけてしまうので、アッと思ってまたいでしまった。戻って踏み直してホームはセーフだったけど」。思い出して「あーもう何であんなこと」と、また頭を抱える小豆畑選手でした。

緒方「人生初!レフトへのホームラン」

1対1に追いつかれた直後の8回裏、2死から勝ち越しの3号ソロを放った緒方選手。「真っすぐだと思います。カットボールかもしれないけど。もとメジャーリーガーから打ちました(笑)。しっかりと振り切れたのでよかった。レフトにホームラン打ったのは初めて。素直に嬉しいです!」。値千金の1発だったはずが…。「いや~残念です。これで勝ったと思いました」と苦笑い。そして「レフト、人生初なんですよ」と言います。大学時代もないの?「なかったと思います」。それは記念すべき1発ですね。

伊藤隼選手は打撃好調だし、前日には狩野選手が最高のアピールをしましたね。「上がった外野手がみんな活躍しているので負けたくないというか、ここでいつまでも沈んでいられない。いい意味でプレッシャーかけて、いい結果が出ていると思います。準備をしておかないと」と気合を込めました。この日も4打数2安打で、打率は.310まで上昇です。

きょうも最後に横田選手のコメントをご紹介。7回に川上投手から、いい当たりの中前打!と思ったらセンター古本選手がナイスキャッチして中飛となりました。「悔しかったです!前に落ちたと思った」と悔しがります。ところで川上憲伸投手は知ってる?「知ってますよ~メッチャ有名じゃないですか」。メジャーリーグに行ってた人ですよ。「わかってますよ~」と言ったあと「全部知ってます!」と強調しました(笑)。

この日決めた犠打が「4つめですよ~」と少し自慢の横田選手。打撃の基本ですもんね。
この日決めた犠打が「4つめですよ~」と少し自慢の横田選手。打撃の基本ですもんね。

ヒットを捕られた?古本選手に、9回は自身の頭上を越えるホームランを打たれた横田選手。追いかけてフェンス際でジャンプするも合わず「捕れると思った。いや、あれは捕れました」とガックリ。タイミングがよければ捕れたってことでしょうか。だから打球がバックスクリーンの一番下に当たった瞬間、両手を広げたバンザイのポーズでフェンスにもたれていたんですね。横田選手がホームランをもぎ取るところ、いつか見せてください。

きょうの中日戦は新しくなった姫路球場で行われています。先発予定で、きのう鳴尾浜を出発するバスにも乗った歳内投手が昇格するみたいで…バスには乗らなかった島本投手が先発しているようです。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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