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阪神の吉見、高山、西村、阪口に戦力外通告《10/1》/ 2日半の1軍初体験を語る北條《10/2》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
阪口選手は2日、チームへの挨拶を終えて実家へ。今後について家族と話をしました。

移籍組の2人もタテジマに別れ

ことしもまた、厳しい現実を思い知らされる季節がやってきました。来シーズンは選手契約を結ばないという、いわゆる“戦力外通告”が解禁となった1日、阪神タイガースでも吉見投手、高山選手、西村投手、阪口選手の4人が球団から発表されました。ファーム本隊は雁の巣で今季最終戦を行っていて、4人は残留中だった30日に連絡を受け1日の会談に臨んでいます。例年ならそのまま鳴尾浜へ出向き、監督やコーチ、選手、スタッフの方々に挨拶しますが、1日は自主練習だったため2日になったようです。

私は午前中に別の仕事があったため直接会えなかった選手もいますが、教えてもらったコメントも含めてご紹介します。まず吉見祐治投手(36)は、今後について「ゆっくり考えて。未定です」とのこと。「阪神に来て1軍に一度も上がっていないので、心残りはすごくあります。考える時間は必要かなと。去年も一度クビになっているから、そういう意味ではベテランなので。家族には話しました。落ち込んでいる感じではなかったですね。リセットしてやります。1軍に呼ばれなかったのは、厳しいプロの世界でしたし、自分の責任」。どれくらい考えて?「急いで決めることではないけど、1週間もかけるんじゃなくて2~3日中に結論を出します」

高山久選手(32)も、今のところは「未定。考えたい。トライアウトも含めて、現役を続けるのかどうか。世話になった人には連絡しました。実家に帰ってゆっくりして」という状況。今季を振り返り「数字的には納得していない。ただ、自分なりにしっかりやってきたので…。手を抜かず、やるべきことはやってきたつもりです」と話していました。その通り一生懸命な練習ぶりも、試合での1打席に全力で向かう姿も、みんなが知っています。

西村投手は「ファンの方に感謝」

西村憲投手(27)は、午後1時過ぎに鳴尾浜へ。すべての挨拶を終えての帰り際に、乗っていた車を降り、上着も着直して向き合ってくれました。さすがに表情は険しく、言葉も短めです。トライアウトは受ける?「そうですね」。今後は体を動かしながら?「そうですね」。監督やみんなに会った?「挨拶はしました」という感じ。「野球をやりたいと言う気持ちが強いし」。まだまだやれるし。「はい、ありがとうございます」

2日の午後、みんなに挨拶するため鳴尾浜を訪れた西村投手です。
2日の午後、みんなに挨拶するため鳴尾浜を訪れた西村投手です。

そのあと、もう一度「とりあえず野球をやりたいっていう気持ちが強いんで」と繰り返しました。練習は鳴尾浜でやる予定かと尋ねたら「迷惑をかけるんで…。でもトライアウトまでしっかり練習したいし、場所を見つけてやります」という答えでした。そして、もう質問がないと見た西村投手は、ここで「ファンの方に」と自ら言葉を続けたのです。

「しんどい時や、全然試合に出ていない時でも、手紙をもらったり、応援してくれたファンの皆さんには申し訳ない気持ちもあります。すごくありがたかったです。育ててもらったという思いも強いし、ほんとに感謝しています。記者の皆さんには、どう思われているかわかりませんけど…でも、ありがとうございました」

決して雄弁な方ではないので、うまく話せず誤解されたことがあったかもしれませんね。取材陣へもそんな言葉をくれた西村投手です。こちらこそ、答えにくい質問をしてごめんなさい。何より、こちらが問う前に話したファンの皆さんへの感謝がすべてでしょう。トライアウト、頑張ってください!

「野球をやりたいので考える」阪口選手

阪口哲也選手(22)は「今、考えている感じです。どうしょうかなと。野球をやりたいので考えています」と言っていました。挨拶をした時、掛布DCから「若いし、いろんな可能性がある」と声をかけられたそうで「頑張ります」と。実は先月26日、鳴尾浜最終公式戦(対オリックス)でプロ初ホームランを打った阪口選手のことを聞いた際、平田監督は「阪口なあ…」と言って額に手をやり、何とも言えない顔をしたんです。悲しいというか、辛いというか。活躍したのになぜ?と思ったら、そのあとに出てきたのは褒め言葉でした。

9月26日、公式戦プロ1号を打って笑顔の阪口選手。これが阪神最後の試合でした…
9月26日、公式戦プロ1号を打って笑顔の阪口選手。これが阪神最後の試合でした…

「いや~見事やなあ。本当に。言葉が見つからない。やっぱり1年間のひたむきな努力が最後に出るな」。ひとことずつ噛みしめるような。そこからは、この日の本拠地最終戦でサヨナラ打を放ったヤンキースのデレク・ジーター選手の話をしながら、通りかかった阪口選手にも「ジーター阪口!」と声をかけて笑わせる普段の平田監督。でも、この時に私は阪口選手の去就を知ってしまいました。監督の、その言葉よりも、泣きそうな表情で。

阪口選手には後日、ゆっくりと話を聞かせてもらって改めて書かせていただきます。きのう午後から実家へ帰り、高校の監督にも会って今後のことを相談しているでしょう。でも野球を続けてくれると思いますよ。きっと。

最後で打ったといえば、中日も1日に一挙10選手の戦力外を発表しましたが、ナゴヤ球場で先月29日と30日にオリックス戦が行われ、29日には堂上剛裕選手のご家族も勢揃いだったとか。その時点でもうわかっていたんですね。そして30日の最終打席にはホームラン!雁の巣で聞いて、涙が出ました。

なお、今年の12球団合同トライアウトは1回目が11月9日(日)に昨年と同じ静岡草薙球場で、2回目は11月20日(木)ジャイアンツ球場で開催されます。どちらも一般の方の見学は可能だそうです。

続いては、このたび初めて1軍に昇格した北條選手の“2日半”について、コメントと合わせてご紹介します。

イメージトレは完璧?北條選手

2日、鳴尾浜で行われたファームの練習に北條選手の姿がありました。雁の巣へ行く予定で荷物を出した、27日の1軍ナイター終了後に昇格が決定。まだ出発前だったトラックから北條選手の荷物だけ降ろされ、28日は本隊と離れて鳴尾浜で残留練習をしていたわけです。そして29日、2年目で初の1軍へ。接戦で出番はなかったものの「サヨナラ勝ちの試合を、その場で見られてよかったです」と笑顔が広がります。

ゴメス選手のところへ真っ先に行っていたのでは?「多分そうですよね。やっぱり目立たなアカンでしょ。全力疾走しました!で、水をかけようとしたら誰かに押されて、ゴメスに抱きついてしもた(笑)。そのあと何でか、僕がビショビショです」。翌日もまた接戦でしたね。「ベンチやったし、出てなかったから、そんなに緊張というか、そういうのはなかったです。イニング進むのが早く感じました」

じゃあ緊張は初日の試合前くらいだったんですかね。イニング間のキャッチボールは?「福留さんに“暴投”を放ったらどうしようと思って。甲子園は広いから。取りに走らせたらあかんでしょ。何球かヤバかったです」。ぶっ!それは北條くん、緊張していたってことでしょう。

1日の最終戦(マツダ)は、藤浪選手がベンチ入りしたため北條選手は外れました。練習をしただけで、2回くらいにもう球場を離れて帰途についたそうです。つまり日帰りですね。「出たかったです。ベンチでイメージしてたんですよ。(DeNAの)山口さんとか、抜いて真っすぐを放ることがあって、僕にはなめてくるやろから、その真っすぐを右中間にツーベース!って。アウトコースの球です。内にきたらしゃあないと。久保さんは初球を絶対打ってやろうと決めてた。追い込まれたら終わりやから。インコースのスライダー、ボール球を三振っていうイメージでした(笑)」

1軍の“2日半”を振り返る北條選手。「ゴメスに抱きついてしもた」と思い出し笑い。
1軍の“2日半”を振り返る北條選手。「ゴメスに抱きついてしもた」と思い出し笑い。

ものすごく具体的に思い描いていたわけですね。「人の打席を見て、自分やったら振ってるなあとか考えてました。舞い上がるかなと思っていたけど、しっかり気持ちを抑えて見ていられた」。わずか2日半ですが、単なる消化試合ではない1軍に行って「雰囲気は味わえたし、試合前の流れとか朝起きてからの生活とか、わかったのもよかった」と言います。そこへ行くために自分が何をすべきかも、肌で感じてきました。それは、これからの北條選手を大きく成長させるはずです。

そうそう、試合中に「守備につくならサードしかないなあ。ファーム(の公式戦)でも守ったことないのに…1軍でできるわけないやん。代打でいい。代打だけでいい」と考えていたと告白するから、笑っちゃいました。でも来年は1軍で「僕、そんなこと言いましたっけ?」っていうくらい自信満々にサードを守る北條選手がいる。そう信じていますよ。

きょうとあすのファームは鳴尾浜での練習。きょう3日は紅白戦が予定されていますが、お天気がちょっと心配ですね。またフェニックスリーグは1軍本隊が参戦するかどうかで、ファームの宮崎入りの日も変わってきます。台風18号の影響があるため、5日以降の予定についてはまだ流動的のようです。

最後に、きょう3日の午後、久保田投手と日高選手が会見を行うことになりました。久保田投手は既に新聞での報道があったように引退発表でしょう。おそらく日高選手も。しばらくは寂しさを噛みしめる季節が続きます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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