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横田慎太郎選手が初めての契約更改 《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
契約更改後の会見にて。カメラのフラッシュに圧倒されたのか、笑顔が出ない横田選手。

きのう18日はまだ安芸にいて、秋季キャンプの練習を見てから夜遅くに帰宅する予定でした。しかし夕方から球団事務所で契約更改交渉が行われると前日にわかり、朝起きてもまだ延々と迷っていたのですが…午前の高速バスで帰ることを決意。安芸市営球場へも寄らずじまいです。台湾の『第1回 IBAF 21U ワールドカップ』に参加していた平田1軍ヘッドコーチと北條選手も安芸へ入ったと聞きました。残念、入れ違いですねえ。

◆今回は↑1人、↓2人、→2人

16時からの契約更改交渉には余裕で間に合い、5選手の会見を取材しました。16日と合わせて計22人…。チーム3分の1近くの来季年俸を、たった2日間で聞いたことになります。この日最後に現れたルーキー横田選手にとって初めての契約更改が、いきなり球団事務所ってのはビックリ。といっても本人は初めてだから、わかりませんね。1軍に昇格していない若手選手たちは16日のようにキャンプ地の宿舎か、もしくは秋季練習に参加中なら鳴尾浜の寮で契約更改の交渉をします。

球団事務所へやってきた横田選手。これから何が始まるのかドキドキ?
球団事務所へやってきた横田選手。これから何が始まるのかドキドキ?

ことしは秋季キャンプが例年とは違っていたことや、同じ日に狩野選手らが球団事務所でやるので場所はそのままになったと思われます。いろいろ事情はあったものの、1軍に昇格しなかった新人選手が球団事務所で契約更改、テーブルについての記者会見というのは異例中の異例でしょう。至近距離で一気にフラッシュを浴び、目を伏せてしまう場面もあったり。本当なら“練習後のジャージ姿で立ち話”のはずなのにねえ。お疲れ様でした。

では18日の5人の契約更改、交渉順にご紹介します。年数の横の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、金額(万円)は推定です。

◆15年目「優勝したい」と狩野

【狩野】 14年目 800→900

「いろいろビックリした1年でした」と今季を振り返る、契約更改後の狩野選手。
「いろいろビックリした1年でした」と今季を振り返る、契約更改後の狩野選手。

サインは?「しました。ちょっと上げていただきました」。終盤の活躍を評価されて?「それしかないですからねえ。少ないところで評価してもらって、よかったと思います」。新井貴選手が抜けたことで、来年は右の切り札としての期待がかかるところ。「そこは自分でも考えるとこですし、生きる道だと思うので。でも打つだけじゃなくやることをやらなきゃ。まず自分のできることをアピールしたいです。守備の面で迷惑をかけているので…そこの部分が一番ですけど、大切になると思うから。まあトータルにやっていかないといけないですね」

会見が終わってエレベーターに乗り込む狩野選手。ちょこっと笑顔です。
会見が終わってエレベーターに乗り込む狩野選手。ちょこっと笑顔です。

ことしを振り返って「そうですねえ。いろいろビックリした1年でした。呼ばれてすぐ、ああいう結果(ホームランを含む3安打4打点の活躍!)が出るとは思っていなかった。結果を出すつもりでやってはいるんですけどね。日本シリーズにも出られたし、良太のケガで阪神・巨人連合チーム(11日の日米野球親善試合)にも出られたし。そういうビックリする1年でしたね」という狩野選手。

続けて「バッティングは新しいことや、まだまだできるってのも見えてきたので、守備というのはあるけど何しろアピールしないといけないから」と言います。それは?「“打ち方”ですね。見えてきた部分がある。練習で良いクセをつけて試合に出せば、きっとうまくいくんじゃないかなと自分では思います」。どのあたり?「見といてください(笑)」。来年は15年目に。「長いことタイガースでやらせてもらってるんで…優勝したいですね、はい」

最後に去年の今頃と比べてどうかとの問いに対して「手応えが多少はありますけど、危機感はあまり変わっていない。それはずっとあります。来年も再来年もできるよう、結果を残していきたい」と締めくくりました。

【小嶋】 8年目 1100→900

契約更改後の会見に臨む小嶋投手。「ガッツリ」下がった分は取り返しましょう。
契約更改後の会見に臨む小嶋投手。「ガッツリ」下がった分は取り返しましょう。

サインは?「もちろん、しました」。金額は?「ダウンです。そらもうガッツリと」。想像はしていた?「はい。ことしは1年間、何もしていないので何も言うことはないです。球団からは、とにかく成績を残してほしいということを言われました。何としても成績を残さないと、と思っています。ことしは中継ぎ、リリーフで使っていただきましたが、どうしても左としては左バッターを抑えなくてはいけないのに、できなかったので」と振り返っています。

秋季キャンプで手応えがあった?「そうですね。自分の中では取り組んでいたことに多少なりと」。オフは?「とりあえずは今やっていることを続けていきます」。来年は先発か中継ぎか与えられた場所で、という感じ?「はい、それしかないです」。最後にもう一度、どれくらいダウンかと尋ねたら再び「ガッツリです」という答え。相談の結果、200万円下がったことにさせていただきました。

【岡崎】 10年目 950→900

ピッチャーから「岡崎に捕ってほしい」と思ってもらえるキャッチャーに。
ピッチャーから「岡崎に捕ってほしい」と思ってもらえるキャッチャーに。

サインはした?「はい。ダウンです。少し」。どういう話を?「1軍の戦力にはなれていないので、そういう意味ではダメだったんですが。ファームでも腐らずに、というか…そういうところを見ていただいたように思います」。ことし1軍昇格がなかったが、来年は?「すべての面でレベルを上げていかないといけないのはもちろんで、ピッチャーとのコミュニケーションというのもある。岡崎に捕ってほしいと思ってもらえるようなキャッチャーになりたい。ことし守備の方はまあまあ良かったけど、打つのがあんまり良くなかったので、そこも上げていけたらと」

【黒瀬】 11年目 650→650

来年はケガなく、1軍での活躍を誓う黒瀬選手。
来年はケガなく、1軍での活躍を誓う黒瀬選手。

サインは?「しました」。増減は?「そのままです」。球団からは何と?「ことし春先にケガをしてしまったので、ケガしない体作りをしてくれと言われました。自主トレでしっかり作っていきたい」。来年に向けて「全部の確率を上げないと。ことしは1軍に上がれなかったので」と黒瀬選手。それはバッティング?と聞かれて「いや、もう全部」と答えました。ケガをしないためには「トレーニングコーチ、トレーナーさんにメニューを組んでもらって、やっていきたいですね」とのことです。

◆横田ワールド、全開でした!

【横田】 1年目 720→720

サインは?「はい、しました」。初めての契約更改交渉はどうだった?「普通、です」。金額は?「そのままでした」。どんなことを言われた?「ケガをしたので、ケガしない体を作れ…的な」。慣れない場で戸惑ったのでしょうね。日常会話が出ちゃった横田選手。思わず吹き出してしまいました。その後のプレスルームでは「○○的な」が大流行。ごめんなさいね、笑って。では会見の続きです。

プレスルームへ入ってくるなりフラッシュの浴びて驚いた様子の横田選手。
プレスルームへ入ってくるなりフラッシュの浴びて驚いた様子の横田選手。

9月末に痛めた腰は?「大丈夫です」。ルーキーイヤーを振り返って「シーズンの最後にケガして、フェニックスリーグに行けなかったので悔しかった」と言います。でも秋季キャンプでは、1軍首脳陣の要望があり予定を急きょ変更して1日だけ残留。アピールできたという手応えは?「そんな、まあ、普通でした。来年は頑張ります」。1軍に行くぞっていう気持ちは?「はい、あります」。緊張していたのか、回答がひとことずつでした。

初めて迎えるオフについては「ケガして最後はあんまり練習できていなかったので、ずっと練習していこうと思っています」とのこと。どこでどんなふうにというのは「まだ何も決めていない」そうです。和田監督から“オリックスの糸井にもなれる”という言葉がありましたね。「糸井さん好きなんで、なりたいです!」…えっ?おわかりだとは思いますが、“糸井選手みたいに”なりたいと言いたかったんですよね。

帰り際に、1軍に昇格しなかったルーキーが球団事務所で契約更改交渉をするのは珍しいと伝えたら「そうなんですか?」と驚いた様子。初交渉の感想は「緊張は特になかったです。どんなのかな~と思って来ました」と、ある意味では大物ぶりを発揮。まだスーツ姿も初々しい19歳ながら、糸井選手にも負けない“横田ワールド”を展開して帰っていきました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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