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阪神・陽川選手 ルーキーイヤーの自己評価は厳しく「0点」 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
来年は1軍で結果を!打撃も守備もレベルアップを誓う、初めてのオフです。

1年目を終えた選手に、シーズン回顧や来年への抱負、それと野球以外の話なども伺う『○○選手に聞いてみました』シリーズを、ことしもお送りします。と言いながら何人に聞けるか、ちょっと不安ですけど…できるだけ頑張ります。

トップバッターはドラフト3位で東農大から入団した陽川尚将内野手。まずルーキーイヤーの振り返りです。自分で採点するとどれくらい?「0点」…過去にかなり低い点数を答えた選手はいましたが、0点は初めてかも。「そうですか?理由は、とにかく1軍に上がれなかったこと、ファームでもそんなに成績を残せなかったこととか全部です。まあ無理につけるとしたら20~30点ですかねえ」。もっと出来たはずという気持ち?「いえ実力不足です。想像していたよりプロの世界は厳しいと思った。レベルの違いを感じました」

陽川選手 今季成績

それでは、陽川選手の成績を見てみましょう。

【ファーム公式戦】

98試合 (サード、ファースト、ショート)

311打数 75安打 38打点 打率.241

本塁打6 三振98 四球17 死球9

盗塁1 失策13 (サード12、ファースト1)

サードで守備練習。セールスポイントの強い肩を生かせるように。
サードで守備練習。セールスポイントの強い肩を生かせるように。

三振98個はチーム最多で、リーグでは古本選手(中日)の99個に次いで単独2位。3位の奥浪選手(オリックス)が80個なので、2人でぶっちぎったわけです。死球9個はリーグ最多でした。また失策数は奥浪選手が20個を超えているためリーグ最多ではないものの、チーム内では北條選手の14個(ショート11、セカンド3)に次ぐ2番目。ここ強化ポイントです。なんせ華麗なトンネルも何度か見てしまいましたからね。

【春季キャンプ練習試合】

6試合 (ファースト、サード、セカンド)

18打数 3安打 0打点 打率.167

本塁打0 三振2 死球4

盗塁0 失策2 (サード、ファースト)

【春季教育リーグ】

8試合 (サード、ファースト、ショート)

21打数 5安打 3打点 打率.238

本塁打0 三振5 四球3 死球1

盗塁0 失策1 (サード)

【育成試合】

5試合 (サード、ファースト、ショート、セカンド)

15打数 4安打 6打点 打率.267

本塁打1 三振3 四球2

盗塁0 失策0

【フェニックスリーグ(練習G含む)】

16試合 (サード、ショート、セカンド、ファースト)

57打数 13安打 3打点 打率.228

本塁打0 三振18 四球6 死球3

盗塁2 失策3 (ショート2、セカンド1)

秋季キャンプが一番よかった

秋季キャンプで行われたシートバッティング。スイングの速さは定評あり。
秋季キャンプで行われたシートバッティング。スイングの速さは定評あり。

秋季キャンプでは、1軍が合流した初日に“フィルダーネット”を越え“ディア―ネット”に当たる140メートル級の特大ホームランを放ち、2日後の紅白戦でもタイムリー。最後の紅白戦は4番サードでホームランとアピールしました。和田監督に「目立っていた。1軍クラスの打球」と言われ、中谷選手とともにMVP的な評価だったようですね。掛布DCもMVPと絶賛でした。

秋季キャンプで、特にバッティングの手応えがあったのでは?「つかむ、というところまではいっていませんけど感覚的にはよかったと思います。ことしの中で一番よかったかな」。右の大砲になれという濱中打撃コーチとは?「キャンプのあと話せました。小さくなるなよと言われた。長距離ってところは期待してもらっているから、そこはなくさず打率も残せるようにしたいですね。ことしの打率はまったくダメだったので」

シーズン中で印象に残っている試合は?「ないです」。えっ、なんにも?「しいていえば、ピンチヒッターで出てホームラン打った中日戦ですかねえ。追い込まれて、粘って粘ってのホームラン。あれは良かったと思います」

5月14日の中日戦(ナゴヤ)のことですが、実は代打じゃなく7回の守備から出場して、9回表の初打席で鈴木義投手を打ったもの。1死から代打の小豆畑選手が中前打を放ち、続く陽川選手が2球で追い込まれたあとボール2つで2‐2となり、4球ファウルで粘って9球目のスライダーをレフトへ!これが公式戦プロ2号で、陽川選手は4日前に広島戦(由宇)で打った1号より「感触が良かった。きょうは風も関係なかったですね」と話していました。

ほとんどのポジションを経験済み?

野球を始めたのは「小学校の時、たぶん2年生くらい」とのこと。「同級生がやっていて、やらへんか?って誘われて」始めたそうです。これが大阪の関目東ライオンズで、続いて大阪都島ボーイズへと進みます。ポジションは?「最初はキャッチャーでしたね、何となく。それからピッチャーです」。キャッチャーからピッチャー?「実は僕を誘った友だちが都合で辞めて。そいつエースやったから、僕がピッチャーにいったんです」。へええ~。

「そのあとはサードですかね。5年の途中から。あ、センターもやっていました。中学はサードとピッチャー。高校は最初がサードで、2年の春からショートです。大学はまずDH、それからセカンド、3年春からサード、4年春からショート」。あちこち守っていますねえ。DHまで教えていただき、ありがとうございます。

ティー打撃中、何か言って笑わそうとする大和選手。平静を保とうと頑張る陽川選手。
ティー打撃中、何か言って笑わそうとする大和選手。平静を保とうと頑張る陽川選手。

ところでプロを意識したのはいつ頃?「夢はずっとプロ野球選手でしたが、意識したのは高校ぐらい」。スカウトの方も来られていたでしょうしね。高校3年の時、巨人に育成ドラフト3位で指名されたものの「どのチームであれ、育成の場合は大学へ行くと決めていた」ため入団せず、東農大へ進学。4年後に阪神から指名を受けたわけです。ちなみにプロ野球選手以外になりたかったものを聞きましたが「他には考えたこともなかったですねえ」という返事。ほとんどの選手がそうですね。

やわらかクェスチョンの部

ここから少し脱線。何を聞くんですか~と言われながら質問してみました。好きな食べ物は?「オムライス」。素早い答えです。他に?「肉、お寿司ですかね」。お肉は牛、豚、鶏、何が好き?「せせり」。鶏ではなく、ピンポイントで“せせり”ときたので笑ってしまいました。確かにおいしいですね。じゃあ嫌いなものは?「なすび」と、これまた即答です。「食感が気持ち悪い。絶対に食べない」と断言。ナスが嫌いという選手、けっこう多いかも。

好きな女性のタイプは?「有村架純」。入団発表前のアンケートでは「武井咲」と書いてあったんですけど、変わりましたよ。性格とか見た目とかは?「家庭的な子がいいですね。明るくて笑顔が可愛い子」。なるほど。自分からいろいろ話をしてくれるのと、こっちが話すのを聞いてくれるのとどっちがいい?「どちらかといえば、しゃべってくれる子がいいですね。うるさすぎるのは困るけど(笑)」

好きな色は?「う~ん、赤とか黒が多いですねえ」。もらって嬉しいプレゼントは?「長い間使えるものが嬉しいですね。もちろん、いただけるものは何でも嬉しいですよ!」。趣味は?「入団の時は確かボウリングって言ってたような気がしますけど、買い物とドライブってことにしといてください」。そうそう、マイカーを買ったんですよね。「もう来ましたよ」。最初買おうとしていた車種は乗っている選手が多いので、別の車にしたみたいです。「やっぱり大きい買い物はかぶりたくないでしょ?」。わかります。携帯でもそう思いますからね。って、すみません。比べるものが違いすぎましたか。

「一日も早く1軍へ!」

クリスマスの予定は「あります」と。束の間の冬休み、リフレッシュしてきてください!
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オフの予定といっても、年末は20日くらいまで、年明けは10日くらいから強化練習があるため、どこかへ遠出して本格的な自主トレは難しいかもしれません。大阪都島ボーイズ時代の1年先輩である西武・浅村選手と一緒に、という希望もあったようですが「まだ何も決まっていない」と言っていました。とりあえず「高校か、友だちの大学か」でトレーニング、練習をする見込みです。

秋季キャンプのアピールで、2月は沖縄キャンプ参加がほぼ確定でしょう。本人は「まだわかりませんよ」と控えめながら「行けたらいいですね。行きたいなあ。あったかいですよね」と期待感十分。そりゃ暖かいですよ、暑いくらい。では最後に来年の目標をどうぞ。「ファームでは3割、ホームランは10本に乗せたいです。盗塁?5個くらいで」と、これはとりあえず述べてもらいましたが、本当の目標はここではありませんね。「一日でも早く1軍に上がること。それで試合に出られたら結果を残すだけです!」

他チームに入った同級生たちの活躍は「見ていませんでした。見ようとも思わない」とキッパリ。人は人、とにかく自分自身がやるしかないと臨む2年目です。次はどんな自己採点になるのか、楽しみにしましょう。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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