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阪神タイガース 安芸キャンプスタート!《2/1》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
唯一の高校生ルーキー・植田選手。打撃練習は一二三選手、横田選手と同じ組です。

きのう2月1日、プロ野球12球団が揃ってキャンプインしました。ニュースでは、ユニホーム姿で躍動する選手の笑顔が各地から届いています。阪神タイガースも1軍が沖縄・宜野座で、2軍は高知・安芸でキャンプをスタート!今月25日まで、ライバルとも自分自身とも戦う日々です。

安芸商工会議所から“鰤”を贈られる古屋監督。若トラの出世を願って。
安芸商工会議所から“鰤”を贈られる古屋監督。若トラの出世を願って。

高知県安芸市営球場では、まず朝9時15分から歓迎セレモニー。横山安芸市長のご挨拶や花束贈呈に続き、安芸商工会議所の会頭から古屋監督に大きな鰤が送られました。「○年“ぶり”の優勝」という願いと、縁起のいい出世魚であることも踏まえてだそうです。大きく出世して恩返ししましょう!

初日からフリー打撃に5投手が登板!

さて練習メニューを見て驚いたのは、午後のバッティングのところに『BP 藤原、玉置、鶴、田面、伊藤和』と書いてあったこと!キャンプ初日から、投手がフリー打撃に登板するとは…。ちなみにメニューには松田投手の名前もあったのですが、これは単なる間違いで上記の5人でした。それにしても年々、仕上がりが早くなっていますね。フリー打撃のバッティングピッチャーだけでなく、きのうブルペンで投げた7投手も全員、キャッチャーを座らせての投球です。

安芸のブルペン一番乗りは渡辺投手、同時に安藤投手、加藤投手、高宮投手も登場して4人とも50球。同じグループで松田投手もブルペンピッチングを行い51球でした。次いでやってきたのはドラフト4位ルーキーの守屋投手と新加入の佐村トラヴィス投手。守屋投手はストレート、カーブ、チェンジアップを交えて52球、佐村投手は32球を投げました。

ランチ後の打撃練習では先ほど書いたように5人が登板。球数は藤原投手53球、玉置投手48球、鶴投手44球、田面投手60球、伊藤和投手57球です。鶴投手は狩野選手と森越選手に投げてヒット性の当たりが3本と、非常に良い内容だったそうです。

きのう投げなかったのは別メニューの小嶋投手を除いて、岩崎投手と横山投手の2人です。久保投手コーチによれば「岩崎は第2クールから。このクールはブルペンに入らず、遠投をしっかりやる。横山は段階を踏んでしっかりね。第2クールで?今のところそのつもりはない。去年の岩崎のように時間をかけて、しっかりやっていく。飛ばしすぎないように」とのこと。

横田25本、一二三18本

フリー打撃、特打と“打ち合った”一二三選手(左)と横田選手。
フリー打撃、特打と“打ち合った”一二三選手(左)と横田選手。

続いて野手にまいりましょう。打撃練習は3つのケージが並び、ホーム側から見て左が投手、真ん中がストレートマシン、右はカーブマシンで、それぞれ1か所ずつ入って打ちます。第1組は一二三選手、横田選手、ルーキー植田選手の3人。いや~横田選手がすごい打球を飛ばしていましたねえ!もちろん1組目ですから“安芸1号”も横田選手です。このフリー打撃での一二三選手はサク越え1本だったと思われますが、横田選手はマシンで5本、BPから1本でした。

バッティングがひと回りすると、今度は左中間方向へ向かってのロングティー。2組に分けて行われ、2組目は小豆畑選手、一二三選手、横田選手、植田選手で、植田選手を除く3人が引き続き特打です。ここでまた横田パワーが全開!バックスクリーン越え3発を含む19本のサク越えを披露しました。BPを務めた濱中打撃コーチからもセンターへ放り込んでおり「すごい打球やなあ」と感嘆の言葉が漏れていたほどです。

なお一二三選手も特打ではポンポンとサク越えを連発し、八木打撃コーチの投げる球では54スイング中で12本!マシンでも約90スイングで5発、その他にフェンス直撃の打球も多かったですね。フリー打撃と特打を合わせるとサク越え18本。横田選手は両方で25本でした。この2人の話は、後日お伝えします。すみません。

渡辺とのキャッチボールに緊張、横山

横山投手はこれまでの最長距離でキャッチボール。
横山投手はこれまでの最長距離でキャッチボール。

では初めてのキャンプ、その初日を終えたルーキー3選手のコメントをご紹介しましょう。まずドラフト1位の横山選手。ピッチング以外はほぼ全メニューをこなしています。「すごく内容が濃くて、バント練習だったり守備だったり。社会人でやってないこともあったり。いい緊張感がある中でいい練習ができたと思います」という感想。初めてユニホームを着ての練習で「タイガースのユニホームはかっこいいと思うし、着てモチベーションも上がるし気持ちの入るところはありました」と語っていました。

キャッチボールは今までで最長の60メートルの距離、時間も最長の約20分間。「ブルペン入りに合わせてやっていっています。きょうは一番離れて、しかも長く。その中できょうはバランスがすごく悪かった。キャッチボールから質のいい球を投げられるように、こだわってやってきていますが…きょうはダメだったので、あしたはしっかりやりたい。最近よかったけど、雨でブルペン内の近い距離でやって休みも挟んだからというのもあったかと。きょうは指にかかる感じがいつもと違っていて、どこかバランス悪いと思う。あすは少し距離を伸ばして回転のいい球を求めてやります」

炎症を起こしていた左胸鎖関節も問題なく、しっかり腕も振れているとのこと。「かといって、いきなりいくのも。まずはしっかり、きょうやった通りキャッチボールからやって、時期が来たらすんなりブルペンに入れるようにするだけ」と冷静に答えています。そういえばキャッチボールの相手は渡辺投手とでしたね。「やるかと言われて、はい!と。ちょっと緊張しました」。ベテランも多くて勉強になる?「タイガースでずっとやってきた、すごい方ばかり。見たり聞いたりしてやっていきたいです」

守屋は捕手を座らせて52球

初日からブルペン入りした守屋投手。香田コーチの前で52球を投げました。
初日からブルペン入りした守屋投手。香田コーチの前で52球を投げました。

次に、初日のブルペンに入ってピッチングを行ったドラフト4位の守屋投手。キャッチャーを座らせて投げたのは「初です。初です」と、なぜか2度(笑)。鳴尾浜の自主トレでは中腰まででしたね。感触は?「まあまあかな。これくらいかなという感じです。結構、本気で投げたのも何球かありました」。後半は特に強い球が増えたようで。「はい、そうですね」。球数は予定通り?「きょうは50球と決めていたんです。2球多かったけど」

BPも言われればいけそうな状態?「はい」。それに向けて「今は体重移動がしっかりできていたり、できていなかったりと差が激しいので、そこをちゃんとしないと大事なところで打たれてしまう」と課題も挙げています。ところで、ユニホームを着ての練習はどうでしたか?「憧れていたユニホームを着られて、すごく嬉しかったです」。お父さんも見に来られていたと聞き「そうですか?来るとは言っていたけど」と。気づかなかったみたいですね。

守屋投手について、香田投手コーチは「横にバラつきはあったが、力強いですよね。ボールが少し動いている感じ。彼の特徴として、すごくいいんじゃないかな。本人の感覚はまだまだだと思う。自分のボールは投げられていないかと。あまり飛ばさないようにと言いました」と話しています。真っすぐがナチュラルに変化している点については「そうですね。社会人の時からそうです」と守屋投手。実戦でも楽しみにしたいポイントです。

「練習でいっぱいいっぱい」と植田

スパイク走の植田選手。まだ体が温まっていなかったのか…この直後につまずきました!
スパイク走の植田選手。まだ体が温まっていなかったのか…この直後につまずきました!

唯一の高校生で、安芸では唯一のルーキー野手の植田選手(ドラフト5位)は「初日で緊張が結構あったので、疲れました…」と苦笑い。ユニホームで練習してどうだった?「自主トレがジャージだったから、ちょっと軽いなと思いました」。これは今まで、ありそうでなかった感想ですよ。お客さんも多かったでしょう?「いや、練習でいっぱいいっぱいやったんで」。なるほど。どのへんが“いっぱいいっぱい”だった?「やっぱりノックですかね。バッティングも、打っていない時に走塁があったり。あんまりわからなかったんで余計に」

守備、走塁でいいところを見せられたかの問いに「きょうはちょっと何もできなかったから」と声が小さくなりました。藤本守備走塁コーチが「身体能力はすごく高いが、まだまだ体ができていなくて硬い。バラバラだけど、それでも捕れるというのは、いいものを持っているんだと思う」と話していたことを聞き「下半身があまり使えていなかったと言われました。これから直していけたら」と植田選手。

筒井守備走塁コーチには、グラブの出し方がいいと褒められていましたね。「基本が大事と何回も言われているので」。それにしても筒井コーチと藤本コーチの2人がかりで指導されているのは、いかが?「いい環境で教えてもらって、いろいろ話をきけたりして」と感激の面持ちです。自主トレより時間が長いので疲れは見えましたが「朝練は高校でもあった」と朝の素振りは問題なさそう。「プロのキャンプは中身が充実していますね。無駄な時間がない」と実感した18歳です。ちなみに6時半から宿舎でストレッチと素振り、そして安芸ドームで野手は朝ウエートをしています。

安芸キャンプ別メニュ―組の近況

最後に別メニューの選手について。黒瀬選手がストレッチのあと本隊から離れました。自主トレ中から右ふくらはぎに張りがあったそうで「やってみたけどダメでした。大事を取りました」とのこと。仲野トレーナーが「歩くのは問題ないので、様子をみて」と、きょう2日も別メニューになっています。

初日の練習開始前、歓迎セレモニーで整列したところ。ここは全選手がいます。
初日の練習開始前、歓迎セレモニーで整列したところ。ここは全選手がいます。

また仲野トレーナーは、昨年9月に右ひざのクリーニング術を受けた緒方選手に関して「少しジョギングを始めて順調に上がってきています。このキャンプではベースランニングをすることが目標。走る方の筋力や体力をつけていかないと」と説明。同じく昨年12月に右ひざクリーニング術を受けた小嶋投手も「徐々に上がってきて、ジョギングからもう一段階上がったスピードで走っています。投内連系にステップアップするため野球に近い動きをしていきたい」と仲野トレーナー。なお小嶋投手、緒方選手とも、きのうは室内で術後初となる正面中心のゴロ捕球をしました。

そして原口選手は、昨年10月のフェニックスリーグで痛めた右肩の状態が思わしくなく、このキャンプは別メニューです。検査でも大きな問題はなかったようで、大事を取ってということでしょう。肩のトレーニング中心にやっていて、おそらくキャンプ中にはバッティングもできるんじゃないですかね。本人も「最悪の船出になっちゃいましたよ~」と言いながら、そんなに暗い表情ではなかったのでご安心ください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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