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タイガース・安芸キャンプ《2/22》田上に王シフト!植田はスイッチ挑戦?

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安芸キャンプで行われた実戦5試合で、打率.474と打撃好調の田上健一選手。

きのう22日、安芸市営球場で予定されていた社会人・四国銀行との練習試合は雨天中止。前夜から雨が降り続いていて、日中はずっと本降りだったので、どう考えても無理でしたね。ここまで雨は16日の休日にパラパラした程度。よりによってキャンプ最後の日曜、しかも試合の日に降らなくても…。

オーナー期待の若トラ

古屋監督は「きょうやりたかったよね。向こうも楽しみにしてたみたいだし。でも朝6時半に中止だからねえ」と残念そうでした。登板予定だった安藤投手(先発)、玉置投手、田面投手、松田投手、藤原投手は、24日に行うシートバッティングで投げることになったとのこと。そして28日と3月1日のプレシーズンマッチに誰が参戦するか「何人かは入れ替えがあるかもしれないけど、現時点では未定」という話でした。

ところで、21日夜の会食で坂井オーナーはどんな話を?という質問になり「横田、植田は雰囲気を持った選手だと。それと陽川の故障を心配されていた。横山はご覧になっていなかったけど、久保コーチが絶賛で。『久保コーチがそこまで言うなら楽しみだねえ!』と、久保コーチにプレッシャーをかけておられました(笑)。ほんとに楽しみだね。ボール自体の力は岩貞、岩崎にも負けないと思うよ。ブルペンでも一番勢いがある」古屋監督。

ハンファ戦での植田選手。この日は二塁打で、出場3試合で1安打ずつ放っています。
ハンファ戦での植田選手。この日は二塁打で、出場3試合で1安打ずつ放っています。

それから21日の植田選手について「守備は緊張しましたと言っていた。守備の方が自信あるからだろうね。4度の守備機会があってダブルプレー2つ取ったし。使ってみたい内野手です。脚力のある内野手は久しぶりでしょう。代走からの出場もあるから、目標を高く持ってね」と評価しました。バッティングについては「試合の方が打つかも」とのこと。

植田、スイッチヒッター構想

ここで、植田選手をスイッチヒッターに、という案はないですか?と質問が出て、古屋監督の目がキラリン!と輝きました。「そうなんですよ。逆のスイングをやらせてみても、うまいんですよ」。では既に取り組みが始まっていると?「まだ遊びって段階ですけどね。ちょっと振らせてみたら“あ、クセもないな。スイングも悪くないな”と。小学生の時にやったことがあるらしい。本人も拒否しないので、やらせてみようということになった」

和田監督や中村GMには承諾をもらったそうで、掛布DCも「バランスは悪くない。やらせてみてもいいのでは?」と前向きな様子。古屋監督は「すぐではなく、おいおい。スイッチヒッターにするという目的だけでないんですよ。左でやって右もよくなることもあるので。(月末から)ゲームもあるし、人も足りないし、まずは守備でね。本格的には卒業式が終わってからになるかな」と説明しています。

スイッチヒッターにトライ?足を生かしてほしい植田選手。
スイッチヒッターにトライ?足を生かしてほしい植田選手。

植田選手は「左の方が内野安打も増えるということで。まだ遊び感覚ですよ。小学4年、5年くらいに、ちょっとだけ左で打ったことがありました。感触は…覚えてないです」と言いながら「左の方がきれいに振れる感じもある」と話していました。今はまだティーバッティングのあと逆に振る程度だそうですが、来月中には左での打撃練習を見られるかもしれませんね。

好調の理由は「パワーとスイング」

21日のハンファ・イーグルス戦で4打数2安打1打点、1盗塁という成績だった田上選手。練習試合5試合で19打数9安打6打点、打率.474となりました。4打数3安打3打点と大活躍した11日の西武戦が終わった時に話を聞いた話と重複しますが、好調の理由を聞いています。「去年は73か74キロだった体重が、今は80キロ前後まで増えました。これまでウエートトレーニングをあんまりせず、瞬発系のトレーニングを重点的にやっていたんです。でも去年の10月後半から本格的なウエートトレーニングに取り組んで」

それが一番の要因?「スイングをしていて、抜ける感じの弱さがなくなった。最後まで強く振れます。動きやすいし、いい方向に出ていますね」。体重は増えたけど体脂肪は9パーセントまで落ちたとか。それは少なすぎると増やして、現在は11パーセントくらいだそうです。唯一、ヒットのなかった18日の西武戦も「感じは悪くなかった。ボールも見えていたので」と振り返りました。

21日、1打席目の田上選手。このあと右ひざ付近に打球が当たってしまいました…。
21日、1打席目の田上選手。このあと右ひざ付近に打球が当たってしまいました…。

そして「パワーだけではないですね。パワーをつけたのもあるけど、スイングを変えたこと」も好結果につながっていると田上選手。「ヘッドが返る時にボールが当たるようにしたんです。今まではヘッドが返る前に当たっていた。それで右方向にも飛ぶようになった」。きっかけは?「いいバッティングを見たり、自主トレや会食中に聞いたりした話を参考に。掛布さんからも、引きつけるんじゃなく、前で打った方がいいとアドバイスされて。自分が取り組もうとしていたことと一致しています」

王さん並みの『田上シフト』

右方向といえば…と言いかけたら突然、田上選手が「それより、きょう(21日のハンファ戦)のシフトにびっくりしました!なんですか、あれ。見ました?あんなの初めてでしたねえ。あれは“王シフト”ですよ!」と目を見開いて繰り返します。見た見た!確かに内野も外野もグイッと右方向へ移動して、極端だなあと思っていたけど。「でしょう?王さんくらいしか見たことないですよね、あんなの。左側いないんですもん」。まだ興奮気味でした。

ということはハンファの立石コーチあたりが、14日の対戦で右打ちしていた田上選手を見て、王シフトならぬ『田上シフト』を敷いたのでしょうか。「相手ベンチから『引っ張らせろ~!』って立石さんの声が聞こえましたね」。じゃあやっぱりそうかも。と、立石コーチに電話してみたら「オレちゃうよ。あれは監督の指示や。前の試合で田上が全部引っ張っていたんで。今回は2軍メンバーやから、勉強のためにいろいろやらせてるんや」

試合前の打撃練習で、八木コーチと言葉をかわす田上選手。いい笑顔ですねえ。
試合前の打撃練習で、八木コーチと言葉をかわす田上選手。いい笑顔ですねえ。

なるほど、監督さんでしたか。「でも14日はレフト前も打ったけどなあ」と田上選手。確かに14日の対戦でのヒットは右前打、左前打、中前打でしたね。そして立石コーチは「田上は気づいてなかったかもしれんが」…いえ、メチャクチャ気づいていました。王シフトかって(笑)。「そうか、わかってたんか。それでも、あえて右へ打った田上がえらい!」とお褒めの言葉。

田上選手は再度「そりゃ気づくでしょう。サードがショートの位置にいて、ショートはセカンド、みんな右に寄っていてサードもレフトもいないんですよ。左側がガラ空き」と笑います。「だからって、そこへ打ってもねえ。本当ならサードゴロというあたりがヒットになるわけで。そんなの意味ないですもん」と、右前打を2本。立石コーチ、お聞きいただけましたか?

八木打撃コーチは「体が大きくなってパワーアップしたのは確かですね。それと合わせて、手首を返す場所とかも自分で考えてやっている。でもまだ、この時期はピッチャーのレベルもそんなに高くないから。NPBのピッチャーと対戦してみないとね」と話しています。教育リーグ、いえオープン戦でぜひ努力の成果を披露してください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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