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阪神ファーム 教育リーグ開幕戦は相手エラーでサヨナラ勝ち!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
鳴尾浜での今季初試合。阪神のスタメンはなかなか渋いけど…ファームです。

きのう2月28日、安芸で行われた高知プレシーズンマッチの阪神-オリックス戦では横田選手が1番センターでフル出場。3打席目に左前打も放ちましたが、本人は「1本しか打てませんでした」と悔しかったみたいです。いやいや、その1安打も凡退した打席も“らしさ”は見せたでしょう。きょう1日の西武戦(春野)は雨で中止。でも3日のオープン戦(ソフトバンク、丸亀)まで帯同できるんですよね。大きいのを期待していいかな~。

またリリーフ登板した松田投手、そして島本投手が素晴らしい投げっぷりで!いや~もう島本投手のズボンを下まで下げたユニホーム姿に貫録を覚えつつ、攻める真っすぐにも、最後に空振り三振を奪ったフォークにも感動しました。このまま開幕まで突っ走ってくれそうな勢いですねえ。

ファームは教育リーグ開幕

さて、ファームはきのう28日に鳴尾浜で春季教育リーグの初戦を迎えました。1軍と同じように、ヒットを許したのは先発の岩田投手のみ。リリーフ陣は最後に田面投手が四球を与えたものの、岩崎投手と守屋投手は完ぺきなピッチングを披露しています。試合は思わぬ事態による思わぬ結末。では結果と成績からどうぞ。

《春季教育リーグ》2月28日

阪神-中日 (鳴尾浜)

中日 000 000 000 = 0

阪神 000 000 001x= 1

◆バッテリー

【阪神】岩田-岩崎-守屋-田面 / 清水-鶴岡(6回~)

【中日】武藤(3回)-雄太(2回)-山内(3回)-岸本(0/3回) / 加藤

◆二塁打

【中日】古本(1回) 

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:俊介  ( 4-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

2]右:田上  ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

3]三:関本  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃一:小豆畑 ( 1-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

4]指:狩野  ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

5]捕:清水  ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

〃捕:鶴岡  ( 1-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

6]二:西田  ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7]一三:黒瀬 ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

8]左:一二三 ( 3-1-0 / 1-0 / 1 / 0 )

9]遊:植田  ( 2-0-0 / 0-1 / 0 / 0 )

◆投手(打-振-球/暴投-失策/失点)最速

岩田 4回 44球 (4-0-0 / 0-0 / 0) 137

岩崎 2回 30球 (0-3-0 / 0-0 / 0) 134

守屋 2回 18球 (0-1-0 / 0-0 / 0) 137

田面 1回 17球 (0-1-1 / 0-1 / 0) 136

完封リレー、救援陣は無安打

まず投手陣。先発の岩田は1回、2死を取ってから古本に右中間二塁打、平田にショート内野安打と連打を浴びますが、エルナンデスを投ゴロに打ち取って無失点。2回も赤坂に左前打され、続く松井佑の打球は岩田をかすめてショート植田もはじき、セカンド西田が捕球。植田にトスして二塁封殺。松井に盗塁を許したものの、0点に抑えました。3回は三者凡退、4回は1安打のみ。4回を投げ4安打無失点で、ゴロアウトが9つという内容です。

2人目は岩崎。5回は空振り三振1つ。6回は1死後に古本と平田を、真っすぐで連続三振に切って取りました。どちらも見逃し三振!6回は21球と球数を要していますが、2イニングを完ぺきに抑え、上々の初登板でしょう。

次いで守屋が登板して、7回は遊ゴロ2つ(植田グッド!)と三ゴロ1つ(6回からサードに入った黒瀬がナイスプレー!)の三者凡退。8回も9番の加藤からスライダーで空振り三振を奪うなど三者凡退でした。

9回は田面で、先頭の谷にストレートの四球を与え、さらに暴投で無死二塁と、2回以降初めて得点圏に走者を置きます。しかし古本は106キロのカーブで空振り三振!古本のバットが一塁コーチのところまでぶっ飛びました。平田は三邪飛、最後は藤澤を中飛(俊介スライディングキャッチ!)に仕留めて無失点。

なかなかチャンスのなかった打線

2回まで完璧に抑えられていた打線は3回、一二三がチーム初ヒットとなる中前打。続く植田への5球目で盗塁を決め、植田の四球で1死一、二塁としますが、俊介と田上はフライに倒れて得点なし。4回は三者凡退。5回は先頭の西田が左前打したものの、黒瀬の投ゴロ併殺打と一二三の右飛で終了。6回は三者凡退です。

7回に小豆畑の左前打、狩野の右前打と初めて連打が出て無死一、二塁とチャンスを作りました。しかし鶴岡が空振り三振、西田は二ゴロ併殺打…。7回を終わって互いに4安打ずつの0対0という展開。8回にも先頭の黒瀬が左前打するも後続を断たれて無得点の打線でした。

そして迎えた9回裏、中日・岸本に対して先頭の田上がセカンド内野安打、続く小豆畑は2球目をバントします。ホームベースの左前に転がった打球をキャッチャーの加藤が捕り、セカンドへ。これが悪送球となって、ボールはセンターまで転がりました。センターも慌てて処理しますが、田上は生還!とりあえず…サヨナラ勝ちという結末ですね。

岩崎は上々のゲーム初登板

ゲーム初登板だった岩崎投手は「悪くはなかったです。普通に投げられたかなと思います」という感想。コントロールもよかったですね?「試合にいつでも入れる状態にはなっていたので、コントロールというのはあまり苦労しなかったです」。試したかったのはどんなこと?「試合が始めてなので、バッターとの感覚を。ブルペンじゃバッターは打たないけど、試合では打つので」。いつもの穏やかな顔で言っていました。そりゃそうですね。ブルペンで打たれたら困ります。

今季ゲーム登板の岩崎投手。持ち味を存分に発揮したマウンドと言えるでしょう。
今季ゲーム登板の岩崎投手。持ち味を存分に発揮したマウンドと言えるでしょう。

「しっかり開幕ローテに入っていけるようにと思って過ごしてきた」というキャンプ中、フリー打撃では登板したものの「シート打撃で投げていないので、少し不安はありました」と岩崎投手。振り返ってみて「真っすぐでフライを取れたので、質としてはよかった。真っすぐはよかったけど、変化球でもカウントが取れるようにしていきたい」と話していました。

平田選手から見逃し三振を奪った直球が、この日最速の134キロ。「もうちょっとですかね。スピードも、もうちょっと上がっていけば。イニングをもう少し投げれば上がっていくと思います」。ここへきて一気にペースアップしてきた左腕。次は教育リーグ・ソフトバンク戦(雁の巣)あたりでの先発ということになるでしょう。

自信を取り戻しつつある守屋

安芸キャンプから沖縄キャンプに“栄転”して半月、会った時には「お久しぶりです」という会話から始まった守屋投手。「打ち取り方はよかったんですけど、打ち取るまでが…。逆ダマだったりとか、思っているボールを投げられなかったりというのはありました」。でも結果は2回パーフェクト。「たまたまよかっただけです。つかまっていたら打たれたかもしれないので」

沖縄へ行って、フィールディングの面で山口投手コーチからアドバイスを受けたそうです。「野手の捕りづらい投げ方をしているからボールを見せて投げるように、と言われて練習していました。バント処理でのサード送球とか、見えていたら捕りやすいはずなので。今までできていると思っていたのが、できていなかったみたいですね」

また守屋投手はきのう、体重移動をしっかりフォームの中でやろうと意識していたと言います。それについては久保投手コーチに聞いてみました。

「守屋は前日にだいぶ戻せたので、きょう自信を持って投げられた。ちょっと自信をなくして本人も良くない状態だったからね。体重移動の件は、素直にホーム側へ投げればいいのに“ためよう、残そう”としすぎて反対にギクシャク。コントロールをなくしていた。投げたいところに投げられないし、速度がつかない…という迷いを持っていた。素直にホーム側へ体重移動したら体が開かない。きょうはできていたよ。ゲームで投げさせると変化球がおもしろいね。カウントを整えられる。スライダーにクセがあるので、バッターも変化球を張りたいけど張れない。真っすぐと変化球で腕を振る速さが変わらないし、緩まないからだろうね。バッターとの間合いはおもしろい」

田面、カーブがもたらした余裕

また久保コーチが「田面は四球を出してしまったけど、カーブともう一つのスライダーを覚えたことで戻りやすくなったね。自分を取り戻しやすい。カーブでもストライクが取れる。そういうので成長している。あとは結果が出てくればね」と話した田面投手。先頭にストレートの四球を与え、すかさず鶴岡選手がマウンドへ向かいました。しかし後続を断って無失点。

「四球を出したあとでも、去年のような感じじゃなく切り替えられたと思います。スライダーとカーブがよかったので。カーブはキャンプ中から投げ始めて、フォームとかバランスがある程度まとまってきました」。スライダーでカウントを取れることで余裕ができたと本人が、そしてカーブが1つ加わっただけ大きく成長したと久保コーチがキャンプ中に言っていました。

ことしは失敗するわけにはいかない。そんな気持ちが見える田面投手。「去年はスライダーだけで崩れていったけど、カーブを入れてズルズルいかない感じにはなってきたかなと。カーブも球種にはあったんですが、使っていなかった。投げ始めてみたらバランスよくストライクを取れ出したので。今はそれが基本になっています。でも、まず真っすぐですね。真っすぐをちゃんと投げる中でのカーブ。自分なりに考えてやっていって、成長したい」と、前を向きます。

好守備はあったものの反省の植田

鳴尾浜デビューの植田選手は、ヒットがなかったもののショートの守備で拍手をもらいました。しかし「よくないですよ。エラーしたし。いやエラーはついてないですけど、後ろに逸らしたから」と悔しがります。2回1死一塁での松井佑選手の打球ですね。植田選手が逸らして、最終的にはセカンド西田選手が捕り植田選手にトス、二塁封殺となったもの。

さらに植田選手は「平田さんの(1回の内野安打)もアウトにできた。もう一歩、前で捕っていたら…」と、これまた悔しそうでした。プロの打球は速いかと聞かれ「まだあんまり速いのが来ていないから、落ち着いてできています」とのこと。バッティングは?「今からです(笑)。あしたは1本打って、それで卒業式に」

残念ながら、きょうは雨天中止となってしまいましたが、練習後に実家へ帰ったであろう植田選手。あすは予行演習ですかね?3日に近江高校の卒業式に出席し、そのまま移動。4日の教育リーグ・広島戦(由宇)からチームに合流です。

サヨナラにかかわった2人は…

自身の失策で負けた中日・加藤捕手は試合後、佐伯監督と2人でセンターに…
自身の失策で負けた中日・加藤捕手は試合後、佐伯監督と2人でセンターに…

キャンプから打撃好調の田上選手は3回にライナー気味のレフトフライがあり「いい当たりだった」と言ったんですが「はい。でもアウトになったらアウトなんで」という返事。そうですね。最後は相手エラーながらサヨナラのホームを踏みました。出塁の内野安打も含めて、ナイスラン!

そのエラーを誘ったのが小豆畑選手のバント。でも「ダメです。あのバントは全然ダメ。結果オーライだっただけで失敗です」と猛省しています。キャンプでは毎日、バントが野手の練習の締めで、滑り止めのスプレー缶に当たれば終了でした。最初はみんな相当時間がかかっていたのに少しずつ早くなって、小豆畑選手もかなり確率アップしていたんですよね。その成果、次はきっと見せてくれるでしょう。

きょう3月1日の教育リーグ・中日戦は雨のため中止。チームはあす移動して3日と4日は広島戦(由宇)、5日と6日はソフトバンク戦(雁の巣)、帰ってきて7日と8日はオリックス戦(鳴尾浜)と教育リーグ6連戦が予定されています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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