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雪の中、北條2ランなどで引き分けに!今季負けなしの阪神ファーム《3/10》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
珍しく、雪で試合が一時中断された10日の鳴尾浜球場。選手が引き揚げるところです。

きのう10日は全国的に寒い寒い一日となりました。覚悟して出かけた阪神鳴尾浜球場。夕方に球団の激励会があるため12時試合開始だったんですが、朝からチラチラ舞っていた雪はだんだん激しくなり、2回裏途中の12時28分から中断!前が見えないほどだったので無理もないでしょう。幸い、そう長くは降り続かず12時37分に再開されました。とはいえ暗くなった空から何度も雪が落ちてくるし、とにかくビュービューと唸りをあげるほどの強風で寒いのなんの!正直言って野球観戦どころではありませんでした。

そんな中で、選手たちにケガがないこと祈りながら見た教育リーグの阪神-ソフトバンク戦は、先制され追いかける展開だったものの、リリーフ陣が好投して3対3の引き分けです。前日同様、9回にあったサヨナラのチャンスをきのうは生かせず。でもこれで今季ファームは(成立した試合に限り)まだ一度も負けなしで、10連勝中です。なお1回に同点2ランを放った北條選手は甲子園へ移動、途中出場してオープン戦初ヒットを打ちました。その他にも、柴田選手と中谷選手が1軍のオープン戦へ行ったため、投手が打席に…。詳しくはのちほどご紹介します。

《春季教育リーグ》3月10日

阪神-ソフトバンク (鳴尾浜)

ソフ 201 000 000 = 3

阪神 200 010 000 = 3

※9回 引き分け

◆バッテリー

【阪神】小嶋-玉置-筒井-山本-藤原 / 小豆畑

【ソフ】笠原(5回)-加治屋(2回)-日高(1回)-岡本(1回) / 細山田-張本(8回~)

◆本塁打 北條2ラン(笠原)、釜元ソロ(小嶋)

◆三塁打 福田

◆二塁打 西田、伊藤隼、一二三 

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]左:柴田   (1-1-0 / 0-1 / 1 / 0)

〃左:田上   (1-0-0 / 1-2 / 1 / 0)

2]二:北條   (1-1-2 / 0-1 / 0 / 0)

〃三:岡崎   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

3]一:中谷   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃投:玉置   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃投:筒井   (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

〃投:山本   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃投:藤原   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打:鶴岡   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

4]指右:伊藤隼 (4-3-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]中:横田   (5-0-0 / 4-0 / 0 / 0)

6]右一:一二三 (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0)

7]三二:西田  (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0)

8]捕:小豆畑  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

9]遊:植田   (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/暴投-失策/失点)

小嶋 3回 47球 (4-5-0 / 0-0 / 3)

玉置 1回 11球 (0-0-0 / 0-0 / 0)

筒井 2回 25球 (0-2-1 / 0-0 / 0)

山本 2回 27球 (1-0-0 / 0-0 / 0)

藤原 1回 6球 (0-0-0 / 0-0 / 0)

鳴尾浜が吹雪で試合中断!?

いろんなことがあったので、試合経過はかなり長めです。ご了承ください。

まず1回、先発の小嶋は先頭の長谷川に右前打され、1死後に福田の右中間三塁打で1点。4番・白根はフォークで空振り三振に仕留めたものの、続く真砂にツーシームを左前へ運ばれ2点目を失いました。しかしその裏、柴田の左前打に続いて北條が1ストライクからの2球目、笠原の真っすぐを打ちライトから吹く強風にも乗ってレフトへの2ラン!以降は3人で片づけられたため同点止まりです。

2回裏、小豆畑選手の打席で雪が激しくなり
2回裏、小豆畑選手の打席で雪が激しくなり
あっという間にこんな状態に。鳴尾浜で雪による中断は初かも。
あっという間にこんな状態に。鳴尾浜で雪による中断は初かも。

2回表は小嶋が三者凡退に切って取り、このあたりから雪が本格的に降り始めました。その裏の攻撃で西田が四球を選んで1死一塁となり、小豆畑が初球を空振りしたところで、もう前が見えなくなったため審判が選手を引き揚げました。本当にもう吹雪です!少し止んできたのでゲーム再開。それでもネットを揺らしてビュービュー、ゴーゴーと吹く風は恐ろしいほどで、選手たちの手も相当かじかんでいたでしょうね。

再開後、2回は結局0点で、3回に小嶋が先頭の9番・釜元にソロホームランを浴び、そのあとは三者連続三振を奪ったものの勝ち越しを許しました。こちらは3回に柴田が四球を選んで盗塁、北條も四球ですが中谷の遊ゴロで併殺となり、伊藤隼の四球で2死一、三塁とするも横田が三振で無得点。

ここで1番から3番の3人が甲子園へ移動。岡崎と田上に代わり、DHを解除して3番に入った玉置が三者凡退で片づけます。その裏、西田の右翼線二塁打や植田の四球、田上の四球などで2死満塁と攻めるも、岡崎が二直で0点。このときネクストバッターズサークルでは原口が代理でバットを振り、やがて玉置がヘルメットをかぶって登場しましたが、出番はなしです。

筒井が10年ぶりの打席に!

10年ぶりか?という筒井投手の打席。しっかり振っています!
10年ぶりか?という筒井投手の打席。しっかり振っています!
その様子を見つめる阪神ベンチ。みんな笑っているような…
その様子を見つめる阪神ベンチ。みんな笑っているような…

ついで筒井が登板。5回は1四球のみで0点に抑え、その裏の攻撃はまた代理の原口がネクストにいて、しばらくすると少し恥ずかしそうに姿を見せた筒井が打席へ。しっかり構え、しっかり振って結果は空振り三振。でも7球投げさせましたよ。伊藤隼が“右前二塁打”(真砂が前進して捕った…と思ったら空振りだった模様)、横田は三振で2死となりますが、一二三が左中間へのタイムリー二塁打!

再び追いついて6回は筒井が三者凡退に。その裏の2死から田上と岡崎が連続四球や暴投などで一、三塁となり、またしても打席に入った筒井。やはり打つ気は見えたものの、最後は見送るのかと思いきやバットを“あと出し”して空振り三振に倒れます。胸を張って帰っていったんですが、ベンチの直前でガックリ…とっても悔しそうでした。

リリーフ陣は惜しい1安打のみで無失点

代わって山本が登板して7回は三者凡退、8回は代打の張本に右前打(セカンド西田が一塁側へ追い、すってんころりん…。打球はその後ろに落ちたので行きすぎた?)を許しながら、バント失敗や盗塁阻止もあって無失点。ところが打線も7回に右前打した伊藤隼が盗塁失敗、8回はショート内野安打の西田を小豆畑が遅れず併殺を取られるなど、どちらもヒットで出塁した先頭打者を生かせません。

3対3のまま9回へ入り、藤原がわずか2球ずつで三者凡退に切って取ります。再三いいプレーを見せていたサードの岡崎が、ここでも三塁線を破られそうな打球を好捕!さらに好送球で先頭の金子をアウトにし、途中からファーストに回った一二三もファールフライをナイスキャッチ!サヨナラへの期待が高まってきました。

そして9回裏、あっさり2死を取られますが藤原の代打・鶴岡が降り逃げで出て暴投で二塁へ。伊藤隼のこの試合3安打目となる右前打で一、三塁となって、この日4打席連続三振中の横田が打席へ。初球で伊藤隼が走ったものの、これはおそらく盗塁にはならないでしょう。結局、横田は2死二、三塁で二ゴロに倒れて試合終了です。

小嶋、故障者リストから卒業

今季初先発の小嶋投手。投球以外の確認もできたようです。
今季初先発の小嶋投手。投球以外の確認もできたようです。

小嶋投手は昨年12月の右ひざ手術から、6日の教育リーグ・ソフトバンク戦(雁の巣)で復帰登板を果たし、1イニング投げています。結果は6球で三者凡退。その際に「6球だけなんで何とも言えませんが…投げることは全く問題ないです。足も大丈夫。でもまだ確認せなあかんことがいっぱい。ベースカバーとか、クイックとか。それはゲームでやっていくことなので」と話していました。

今回は先発して3回で47球を投げ、4安打5三振の3失点。最速は141キロです。「3イニングは予定通り。まあまあ普通ですね。3回投げられたし、とりあえずクイックとかもできたのでよかったです。ベースカバーも投内連係も大丈夫。もうケガ人からも抜けていけます」と納得の様子。ただし3回のホームランは「真っすぐです。完ぺきでしたね。わりといいとこ行ったと思ったんですけど」と苦笑いです。

なお初回の立ち上がりは、ゆったりと力を抜いたフォームでしたね。「そういうつもりで入ったんですけど、思ったよりスピードが出てなくて。(表示を)見たら133キロとか。なので2回からやめました。変に脱力は意識しないように」。なるほど。それで最初、小嶋投手の真っすぐにしては微妙な球速だったんですね。

「打者の気持ちがわかった」

7日の試合からワインドアップで投げる筒井投手。この日はプチダイナミックくらい?
7日の試合からワインドアップで投げる筒井投手。この日はプチダイナミックくらい?

筒井投手は、7日のオリックス戦と同じく振りかぶっての投球でしたが、前より“ダイナミック感”は少ないような…。本人は「一緒ですよ。緩めていたわけではありません。寒かったからかなあ」と言うので、こちらの印象でしょうか。それにしても前回は本降りの雨で、今回は雪。コンディションに恵まれなくて気の毒でした。

そして打席にも。途中から投手も打つことは前もって決まっていたそうです。「打席は10年ぶりくらいですかねえ。打ちたかった!僕が打っていたら勝てた試合」と悔しがる筒井投手。2打席とも三振ですが、空振りもファウルもあり、あの寒い中でよく頑張ったと思いますよ。最後に「でもプロのスライダーはすごいです!メッチャ怖かった。打者の気持ちがわかりました」と笑います。

ぜひ、きっかけの2ランに

2ランホームランの北條選手は甲子園への移動前に「風ですね(笑)。インコース高めの真っすぐ。うまく打てたと思います。バットがうまく振り抜けました」とコメント。打席での構えで重心が低くなったような?「あまり打席に立っていなかったので、どっしりと構えてタイミングを早く取ろうと思いました」。それから、もう一度「風ですねえ」と笑いながら引き揚げたそうです。

甲子園でもオープン戦初ヒットを打ったと掛布DCに伝えると、1打席目で凡退したところまでしか聞いていなかったらしく「え、打ったの?」と確認してから「OK!」とニッコリ。師匠、よかったですね。古屋監督も「オープン戦で打ってなかったんだよね?こっちにきた甲斐があったなあ」と笑顔でした。

二塁打の一二三と西田

次は、同点のタイムリー二塁打を放った一二三選手です。まず8日の三塁打については「必死で走った!」とのこと。きのうのタイムリーは「1、2打席は変化球が多かったので、真っすぐはないなと思っていた」そうです。うまく反応できたか?の問いには「甘かったですね」と答えています。古屋監督が「バッティング、変わりつつあるよ。ヒットが出るようになった」という一二三選手。ここ3試合連続でマルチヒット中です。

また二塁打と内野安打の西田選手に、走塁がスムーズになった?と聞いてみたら「そうですか?極秘トレーニングしたので」と、少しにんまり。極秘でもない気はしますが、スピードだけでなく一塁を回ったあとのぎこちない感じが減ったかもしれません。あ、それでセカンドフライは思ったより進んでしまった?ってことはないでしょうけど「行きすぎて慌てて止まったら、滑ってしまった」そうです。あれがなければ4回以降ノーヒットの継投、だったんですけどね。でも無失点なのでよかった。

カラスといえども邪魔はさせない?

最後は横田選手の話を。空振り、空振り、見逃し、空振り、と4打席連続三振でした。「5三振するかと思った」と言いながらも「あした見といてください!しっかり振りますから」と切りかえています。しっかり振る?…ま、いいか。それと鳴尾浜では試合中でも、よく鳥が芝生にやってきて一緒に守っていることがあるんです。きのうもカラスが二遊間後方をウロウロしたり、終盤には右中間で居座りました。それが気になるのか横田選手は何度もそちらを見て、あげくに手で牽制。

やがてファウルフライを追う伊藤隼選手とともにライト方向へ移動しつつ、うまく追い払いました。いや~スタンドで見ている我々も気になって、気になって。試合後に聞いてみると「そんなどうでもいいことを…」と最初はスルーしたんですが、ひとこと。「アイツ、うざかったんで!」。右中間も左中間も全部、横田選手のテリトリーですからね。カラスやハトだって邪魔しちゃだめですよ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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