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北條と横田のアベック弾など、今季初の先発全員安打!《4/2 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
今季1号の北條選手。サングラスが似合いますねえ!もう夕方ですけど。

きょう3日、予想より早く降り出した雨の中、鳴尾浜で行われたウエスタン・リーグの阪神-ソフトバンク戦は4回表終了で降雨ノーゲーム。4対2とリードされていたとか。私は欠席だったんですけど、先発の岩貞投手が2回4失点だそうです。この記録は残りませんが、北條選手が放った2点タイムリー二塁打も残念ながら幻になってしまいました。なお秋山投手が連投、3回から2イニングを0点に抑えています。

もちろん秋山投手は、こんな晴れた日にも投げています。念のため。
もちろん秋山投手は、こんな晴れた日にも投げています。念のため。

しかし、その秋山投手が出てきてから雨脚が強くなったとの情報。岩貞投手が登板中も大概の雨だったけど、秋山投手が投げ始めたら本当にすごかったんですって!よく2イニングを抑えましたねえ。まだ雨男を継続中なのか、はたまたパワーアップしたのか?それはさておき調子が上向いてきたようで、どんどん投げたいでしょうに残念です。

また今週は1軍との入れ替えが多く、先発投手や今成選手の昇格に伴って柴田選手、清水選手、田上選手が抹消されました。さらに3日は高宮投手と金田投手が昇格、榎田投手と桑原投手がファームにやってきます。そう思うと2日の神宮で嬉しいプロ初登板を果たした島本投手は、よく抑えました。被安打、奪三振、与四球とすべて“初”を経験して、しかも2イニングを投げたうえでの無失点。いや~よかった!

両チーム合わせて27安打15得点

さて、それでは2日に鳴尾浜で行われたウエスタン・オリックス戦の話に移ります。前の試合(3月31日)ではオリックスに14安打と打ち込まれた阪神ですが、この日は1回から7回まで毎回の13安打。そして6回には今季初の先発全員安打を達成しています。昨年は9月7日がようやく初だったので、相当早いですね。ただしオリックスはこちらを上回る14安打だったことも付け加えておきます。

この日は打順も大きく変わりました。伊藤隼選手が1番になり、横田選手は3番、4番に西田選手が入って5番は北條選手です。これが奏を功したのかどうかはわかりませんけど、横田選手は今季1号を含む今季初マルチで3打点、北條選手が今季1号、緒方選手も今季初マルチ、さらに植田選手はプロ初打点のタイムリーを含むプロ初マルチです。

《ウエスタン公式戦》4月2日

阪神-オリックス 2回戦 (鳴尾浜)

オリ 000 501 010 = 7

阪神 050 111 00X = 8 

◆バッテリー

【阪神】サンティアゴ-歳内-○鶴(1勝)-山本-秋山-藤原-S小嶋(2S) / 岡崎

【オリ】森本(2回)-戸田(1回)-●坂寄(1勝1敗)(1回)-塚原(2回)-高木(1回)-マエストリ(1回) / 斎藤俊-伏見(5回~)

◆本塁打 横田1号ソロ(坂寄)、北條1号ソロ(塚原)

◆二塁打 緒方、斉藤俊 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]右:伊藤隼 (3-1-2 / 0-2 / 0 / 0) .143

2]指:柴田  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .375

〃打指:原口 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

3]中:横田  (4-2-3 / 0-1 / 0 / 0) .108

4]三:西田  (3-1-0 / 0-2 / 0 / 1) .370

5]二:北條  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .286

6]一:荒木  (3-1-0 / 1-2 / 2 / 0) .071

7]左:緒方  (3-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .300

〃左:中谷  (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .292

8]捕:岡崎  (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .250

9]遊:植田  (4-2-1 / 1-0 / 0 / 1) .143

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

サンテ 3回 61球 (3-1-2 / 0-0 / 0.00) 148

歳内 0.1回 27球 (4-0-2 / 5-5 /18.69) 145

鶴  0.2回 15球 (1-0-0 / 0-0 / 3.00) 146

山本  1回 33球 (3-0-0 / 1-1 / 5.06) 143

秋山  2回 10球 (0-1-0 / 0-0 / 3.00) 140

藤原  1回 20球 (2-1-0 / 1-1 / 2.25) 143

小嶋  1回 10球 (1-0-0 / 0-0 / 0.00) 142

互いに打者一巡で5点ずつ取り合った前半

阪神は2回に先制します。1死から荒木が四球を選んで二盗成功、緒方の中前打で生還!滑りながら手でベースを掃いていく、鮮やかなホームインでした。岡崎も四球、植田は中前打で1死満塁として伊藤隼が2点タイムリー。柴田の一ゴロで2死二、三塁となり横田も右前へタイムリー!2人を還します。4安打3四球で打者一巡したこの回、一挙5点を奪いました。

3回にも先頭で左前打した荒木に続き、緒方がライトフェンス直撃の…というよりラバーフェンス上の金網にガンと当たる大きな三塁打!荒木が一気にホームへ滑り込みます。しかしセーフのコールはなく、気づいた荒木がベースをタッチしにいくも間に合わずアウト。あ~もったいない!なお緒方の三塁打は、のちに二塁打と記録が訂正されました。三塁到達は送球の間、ということでしょう。三塁の緒方は岡崎の一ゴロでホームタッチアウトになるなど、この回は無得点。(なお緒方選手は「もともと三塁打だったんですか?なんで訂正…。でもまた打つので大丈夫です!」とコメント)、

はじめまして、マリオです!サンティアゴ投手が初登板初先発で3回3安打無失点。
はじめまして、マリオです!サンティアゴ投手が初登板初先発で3回3安打無失点。

すると4回、先発のサンティアゴに代わって登板した歳内がつかまります。カラバイヨの中前打と連続四球で無死満塁として8番・岩崎に左前タイムリー。続く斎藤俊には満塁の走者を一掃する左中間二塁打。宮崎の投犠打でようやく1死となりますが、三塁へ進んだ斎藤俊を堤が中前打で還して、あっという間に同点。ここで降板の歳内は、5安打とも芯で捉えられた当たりでした。

代わった鶴が堤に走られ1死二、三塁。若月はサード西田の捕球エラー、4番・竹原はショート内野安打と不運な打球が続いて1死満塁としながらも、後続をフライに打ち取って勝ち越しは許しません。

後半は1点ずつ取り合って逃げ切り!

その裏に2死から横田がライトへ1号ソロを放って、逆にこちらが勝ち越し!なお次の西田が右前打したため、残るノーヒットの選手は北條と岡崎の2人となっています。5回には荒木の四球、岡崎の右前打(あとは北條だけ…)などで1死一、三塁とし、植田が塚原の初球を打って左前タイムリー!7対5と2点のリードに変わります。

5回から登板して三者凡退だった山本が、6回は3安打で1点を失い1点差。でもその裏に2死から北條がレフトへ1号ソロ!これで先発全員安打達成です。再び2点差にして、7回の秋山はピシッと三者凡退。ところが8回、藤原が先頭の宮崎に中前打され、1死後に若月をショート植田の捕球エラーで出して一、三塁。続く吉田雄の打球を捕った藤原ですが、一塁は無人で自らダッシュするも間に合わず、タイムリー内野安打となりました。

これでまた1点差に迫られた阪神。その裏は唯一のノーヒットイニングだったものの、マエストリから横田と西田が連続で四球を選び、北條は初球で犠打を決めるなど最後までランナーを出し続けました。9回は小嶋が登板して1死から岩崎の左前打を許しますが、最後は伏見を初球で投ゴロ併殺打に!終わってみれば8対7の1点差です。

試合後に古屋監督は「きょうは色々と、うまくはまったね。しかし一番は荒木のホームスライディング。あれが大きい」と、タッチアウトになった場面を指摘しました。「その前のホームインはよかったのに…緩んだかな。荒木がやっちゃいけない。試合後にみんなを集めて怒ることはあんまりしないんだけど、きょうは言いました」。あの1点を取れなかったことで試合を落とした可能性もあったからですね。そして、1軍でその仕事を必要とされる荒木選手だからこその苦言でしょう。

本人も掛布DCも楽しみな毎日

おなじみ、顔を隠した横田選手です。この日は今季1号ソロと2点タイムリーでした。
おなじみ、顔を隠した横田選手です。この日は今季1号ソロと2点タイムリーでした。

今季公式戦1号とタイムリーで今季公式戦初マルチ、3打点と気を吐いた横田選手。ホームランの手応えを聞かれて「手応え…うーん」と考え込んでしまいます。感触は?「ありました。でも普通に打った感じです。スライダーかカーブ。1打席目でダブルプレーだったんでヤバイなあと。でもすぐチャンスが回ってきたから、打ってやろうと思いました。できれば3本打ちたかった」。あすから楽しみ?と聞かれ「毎日楽しみなんで」と答える顔がイキイキしています。3番と言う打順については「前の打者への配球とか守備とか見られるので、そこはいいですね」とのこと。

この日の練習も、締めは掛布DCと一緒にブルペンでの素振りでした。掛布DCは「横田は練習で質のいい打球が多くなったよ。打ち損じが少ないというか。原口もそうだね。横田はきょうの1発でだいぶ楽になるだろう。芯で捉えなくてもあそこまで飛ぶのは、ヘッドスピードがあるから。ちょっと入口に立ったかな。素振りがよかったし。あすからのソフトバンク3連戦、僕はいないんだけど結果が楽しみだね」と横田選手について話しています。

そうそう、芯で捉えなくても飛ぶというところで「金属のバットは打つ人の技術を補ってくれる。だけど木のバットは、バット自身が“仕事をしてはくれない”んだよね」という掛布DC。だから技術を身につけなくてはならない、それがプロのバッターということでしょう。早く金属の記憶を捨てた者が勝ちですね。またまた、なるほど~と思ってしまった掛布DC名言集でした。

「きょう打てるかな?」と予感

4打数2安打1打点と貢献したルーキー植田選手。まだ顔は隠しません。
4打数2安打1打点と貢献したルーキー植田選手。まだ顔は隠しません。

同じく公式戦初マルチの植田選手は、初タイムリーもあったのでプロ初打点を記録しています。2本のヒットは「どちらも変化球をうまく打てました。1本(3月22日に公式戦初安打)打ってから止まってたんで…タイミングの取り方とか、ちょっとだけ早めにしてうまく打てた」と振り返ります。ヒットが出なかったものの「おとといくらいからバッティング練習で良くなってきて、きょう打てるかな?と思っていた」そうです。

「チームは“真っすぐをしっかり捉える”という方針なんですけど、真っすぐが速くて合わせられるかな?と思ってました(笑)。変化球の緩いのが真ん中くらいに来て」打ったと言います。相変わらず正直で。きのうはおばあさんが観戦されていた植田選手。いいとこ見せられてよかったですね。

ホームランに自分でもびっくり!

外野を走ったあと、地面を均したトンボを手にポーズを取ってくれた北條選手。
外野を走ったあと、地面を均したトンボを手にポーズを取ってくれた北條選手。

北條選手は3月10日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)以来のホームラン。公式戦では昨年5月5日のオリックス戦(北神戸)以来11か月ぶりです。その前に、5回までに北條選手以外の全員がヒットを打っていたのは…と言いかけたところで「知ってました?」と逆質問されました。そりゃもちろん。「5回に(岡崎)太一さんが打って、ヤバッと思った」。それがなんとホームランとは。「びっくりしました!」と言って笑います。ホームランは狙っていた?「狙ってないですよ!ヒット、ヒット、ヒットって思ってたんで」

打ったのは真っすぐだそうですが「なんか前で打てて、なんか当たって、なんか飛んでいった」というコメント。ちょっと横田ワールドへ突入していませんか?「初球の変化球が高めにだいぶ外れていたので、次はまっすぐかなと。イチニサン!でした。真っすぐ1本で打とうと思って、しっかり捉えられたのでよかったです」。球種のヤマを張るタイプ?「張っても、あんまり当たらないんで(笑)。基本は真っすぐで、高めに浮いた変化球に手を出すという感じ」。そして「1本ホームランが出ても、まだ完ぺきには固まっていないので、よくなるようにしっかり固めたい」と表情を引き締めます。3日も2点タイムリー二塁打があったのにノーゲーム。仕切り直してください。

“10年ぶり”の4番だったそうで…

西田選手は開幕で固め打ちしてからジワジワと打率を下げてはいますが、1本ずつヒットも出ているので打数が少ない割に急降下しませんね。「ことしはフォアボールが多いから。よく見えているので、それも大きい」。3月31日の試合でオリックスの奥浪選手に譲った打率リーグトップの座を、2日に3の1で.370、奥浪選手は4の1で.360で奪い返しています。なお6回の打席で二ゴロに打ち取られた際に「ことし開幕からずっと使ってたバットを折られた」と残念がっていました。

練習後に『1周スイング』をする西田選手。写真は3月下旬のものです。
練習後に『1周スイング』をする西田選手。写真は3月下旬のものです。

このところ全部の練習が終わった後、1人でバットを振りながらグラウンドを回る西田選手の姿をよく見かけます。2日も、暗くなりかけた外野で歩きながらスイングしていました。名前は特になく、一応メニューとしては『1周スイング』と呼ばれているとか。「夏場も落とさずにやっていくためです。朝も走ったりしていますよ。それと今はバットが振れていて調子がいいので、そのぶんヒットを打ちたいとスイングが小さくなっていくのが怖いから」この1周スイングを続けていると言います。

ところで4番は?「初めてです」と少し照れた顔で答えた西田選手。育成試合でもなかったよね?「はい、高校でもないし、中学も」。じゃあ人生初?「そうですね。あ、違う。1回だけありました!小学6年の時、春の全国大会で4番を打った」。つまり10年前ですね。「その頃、僕は引っ張れなくて流すのが得意だったんですよ。全国大会で知らんピッチャーは外中心に攻めてくる。しかも真っすぐしかないから、それを張って打ってくれと言われて」。…小学生でもシビアに駆け引きがあるんですね。その大会の2、3試合だけの4番だったものの「1試合2~3本は打ちましたよ」とのこと。

守備のミスは、もしかして足が速くなったことを計算に入れていないから?違うかな…。
守備のミスは、もしかして足が速くなったことを計算に入れていないから?違うかな…。

それ以来、10年ぶりの4番を言われてどうだった?「なかなか打てない打順なので、やっぱり嬉しかったです。でも力が入りすぎないよう、4番目の気持ちでいきました」。抜擢した古屋監督は「一番振れているから」と理由を述べています。降雨ノーゲームとなった3日もクリーンアップは同じ。西田選手は4番サードでした。「守備がまだまだ」とエラーに苦い顔ながら、この起用にしっかり応えたいとバットを振り続けます。1軍に行かないとね。「はい!」。元気な返事が聞こえました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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