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植田海選手が決勝打!と思いきや…オリックスに逆転負け《4/16 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
終盤の8回、押し出し四球2つで追いついたあと勝ち越しタイムリーを放った植田選手。

きのう16日は前日と打って変わって、日差しが暖かく穏やかな陽気でした。屋外で野球を見ていても、帽子が欲しいくらいです。ただし夕方、雲に覆われるとまだ寒いですねえ。まあゴールデンウィークまでは油断できないでしょう。しっかり体調管理なさってください。あ、私が一番しっかりしないと。頑張ります!

さて昨夜はナゴヤドームで1軍が勝ったこともあり、あちこちで「とらほー!」と喜んでいらっしゃるタイガースファンの皆様の声が出ていました。やっぱり大虎は勝たなきゃいけませんね。この勢いで、きょうから甲子園に迎える巨人も!というところ。

一方、今週の小虎はオリックス3連戦でした。14日に京セラドームでの初戦で2対1、15日の神戸サブでは5対4と接戦をものにして連勝の阪神ファーム。きのう16日は先制しながら逆転を許し、8回に再逆転したものの直後に再々逆転…と悔しい結末です。しかしヒットが阪神6本、オリックス7本と普通なのに、四死球がメチャクチャ多かったんですよね。お互いに8四球づつ(四球7、死球1)与え合っています。押し出し四死球も2つずつ。何があったのかと思う試合でした。

なお前日、15日の試合で9回に自打球を左ひざに当て、カウント0-2で交代した北條選手はこの日、神戸サブ球場には来ていたんですが欠場。試合後はアイシングをしていました。走るのがまだ痛いようですね。正確には「左ひざの下の左」だと言っています。

《ウエスタン公式戦》4月16日

オリックス-阪神 5回戦 (神戸第二)

阪神 010 001 030 = 5

オリ 000 004 04X = 8 

◆バッテリー

【阪神】サンティアゴ-守屋-藤原-●伊藤和(1敗)-小嶋 / 鶴岡-小宮山(7回~)

【中日】井川(1回)-鈴木(2回)-戸田(2回)-森本(1回)-柴田(2/3回)-大山(1/3回)-山田(1/3回)-○中山(1回2/3) / 田中-若月(6回~)-斎藤俊(9回表)

◆二塁打 鶴岡、緒方、武田、縞田、鉄平

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:荒木   (5-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .067

2]三:黒瀬   (4-0-0 / 0-1 / 0 / 2) .083

3]右:緒方   (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

〃左:田上   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃打左:一二三 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .095

4]中:江越   (4-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .250

5]一:中谷   (4-2-1 / 0-1 / 0 / 0) .297

6]指:清水   (2-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .222

〃打指:原口  (0-0-1 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃打指:柴田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .313

7]左右:横田  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .117

8]捕:鶴岡   (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃捕:小宮山  (0-0-1 / 0-1 / 0 / 0) .357

9]遊:植田   (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .188

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

サンテ  4回 65球 (3-5-2 / 0-0 / 2.45)

守屋   2回 42球 (0-2-4 / 4-0 / 0.00)

藤原   1回 11球 (1-1-0 / 0-0 / 1.50)

伊藤和 0.0回 13球 (2-0-2 / 4-4 /  ― )

小嶋   1回 13球 (2-0-0 / 0-0 / 0.00)

経過1・前半は阪神2安打、オリ3安打

オリックスの先発・井川は1イニングのみ。荒木と黒瀬が内野ゴロで2死となってから緒方は右前打しますが、江越の中飛で終了。2回は鈴木から清水と横田が四球を選んで1死一、二塁とし、鶴岡が左翼線へタイムリー二塁打!1点を先取します。しかし3回は三者凡退、4回は3人目の戸田から、先頭・中谷が背中の左側に死球を受けて(相当痛がっていたけれどプレー続行)出塁するも、後続は内野ゴロ3つで片づけられ無得点。5回はまた三者凡退です。

阪神はサンティアゴが3試合目の登板。1回は先頭の駿太に右前打、堤の空振り三振で盗塁を決められましたが、3番・武田と4番・山本も合わせ3者連続三振!2回は縞田に四球を与え小島の左前打を許したあと、ここも奥浪と田中から連続三振を奪うなど後続をキッチリ断っています。3回は1死から堤の内野安打があったものの武田を投ゴロ併殺打、4回は2死後に四球で出した小島の盗塁を鶴岡が阻止。サンティアゴは4回3安打無失点でした。

そして2人目の守屋が5回を三者凡退に切って取った直後の6回に追加点が入ります。森本から先頭の緒方が右翼線二塁打を放ち、江越の遊ゴロで1死三塁。続く中谷の右前タイムリー!これで2対0となりました。ところがその裏、2イニング目に入った守屋が突然、自身の四球と味方のエラーで崩れます。

経過2・シーソーゲームの決着は…

先頭の駿太を見逃し三振に仕留めたあと堤に四球、2死後に山本の三ゴロを黒瀬が捕球エラー(バウンドが合わなかった?)、縞田は四球で2死満塁として小島には押し出し死球を与えて同点。さらに奥浪も押し出し四球…3連続押し出しで勝ち越しを許してしまいました。なおも2死満塁のままで、8番・若月は三ゴロ。捕った黒瀬が一塁へ送球、しかし逸れてセーフ。黒瀬に送球エラーがつき2者生還。なんとノーヒットながら4四死球と2失策で4点を失った守屋、もちろん自責は0です。

7回は柴田の前に三者凡退だった打線。その裏は藤原が2死から武田の左翼線二塁打を浴びるも、代打・原大を空振り三振に切って取り無失点でした。

4対2で迎えた8回、まず阪神は山田から黒瀬と代打・一二三が連続で四球を選び、江越が右飛に倒れたあと中谷の左前打で1死満塁として代打・原口。ここで代わった中山から原口は押し出しの四球。今季公式戦初打点ですね。横田は空振り三振で2死満塁となりますが、続く小宮山も四球で押し出し。これで追いつき、なおも2死満塁で9番・植田は初球ファウルの2球目をセンターへ!勝ち越しの中前タイムリーです。荒木が二ゴロで打者9人攻撃は終わりますが、5対4と逆転に成功。

ところが、その裏に登板した伊藤和が先頭の縞田に初球を打たれ…右中間二塁打。小嶋にはストレートの四球、代打・岩崎にも2ボールとなった時に、久保投手コーチがマウンドへ行き間を取ります。しかし結果は四球で無死満塁となり、代打・鉄平に右翼線への2点タイムリー二塁打を浴びて逆転。ここで降板です。無死二、三塁で代わった小嶋は代打・斎藤俊を右飛に打ち取り、ランナーはそのままで1死となりましたが、続く途中出場の宮崎に中前タイムリーを許して2人還していまいます。9回の攻撃は2死から江越が四球を選んだだけで、結局8対5と逆転負けを喫しました。

サンティアゴ、緒方、植田は○印

マルチヒットの緒方選手。写真は別の日です。左にはじゃれ合う中谷選手と西田選手が…
マルチヒットの緒方選手。写真は別の日です。左にはじゃれ合う中谷選手と西田選手が…

まず古屋監督は「植田は決勝タイムリーになり損ねたよねえ。彼は練習よりも実戦向き。守備もいいしね。ちゃんと守ってくれる」と末っ子のルーキー・植田選手を褒めました。また今月2日以来のマルチヒットを放った緒方選手には「伊藤隼が上がったけど、左は緒方もいるからね」と期待の言葉。右ひざの手術から7か月、今のところ3打席が目安という制限つきながら、守備も少しずつこなしています。

その緒方選手。1回に井川投手から打った右前打と、6回に森本投手から打った右翼線二塁打は「どちらも真っすぐです。久しぶりのヒットなのでよかった。こういうのを継続していかないと」と言います。ヒット自体も4月7日の中日戦(ナゴヤ)以来だったんですね。守備については「ちょこちょこ守っているので」とのこと。ここまではレフトもあるけどライトが多く、DHでの出場と半々くらいでしょうか。守備の動きも走塁も現時点で問題はなさそうです。

先発のサンティアゴ投手は「よかったです。前よりは変化球の感覚もよかったと思う。インコース、アウトコースに投げ分けることができた。継続して、きょうのフォームを身につけられるよう練習していきたい」と話しています。3回に武田選手が打ったピッチャーゴロには「強烈な打球だったけど、ダブルプレーで切り抜けられてよかった」と振り返っていました。

猛省の投手陣

公式戦初登板だった守屋投手。2イニング目の失点に反省の言葉のみでした。
公式戦初登板だった守屋投手。2イニング目の失点に反省の言葉のみでした。

これが公式戦デビューとなったルーキー・守屋投手は苦い表情です。1イニング目は下位打線ながら奥浪選手と田中選手を三ゴロに、吉田雄選手は空振り三振に切って取り三者凡退。「最初はよかったんですけど」。2イニング目は何が起きたんでしょう?「…わからないですねえ。でも失点したのはムダなフォアボールを出したことが原因」。この結果で見えた課題も「同じです。ムダなフォアボールを出さないこと」と、さすがに言葉は少なめでした。慰めにはならないかもしれませんが、自責はないので防御率は0.00ですからね。

防御率の話をすると、辛いのが伊藤和投手。上の成績には『 ― 』で表していますが、数字にすると『99999.00』だそうです。伊藤和投手も公式戦は今季初登板。12日のルートインBCリーグ・福井ミラクルエレファンツ戦で、約1ヶ月ぶりに実戦で投げ「真っすぐはぼちぼち、変化球はまだまだ」と言っていたのですが、今回はいきなり初球を二塁打されてから連続四球、2点タイムリー二塁打。「スーッと簡単に入ってしまった初球から始まった…。しっかり入り方を意識してやらないと」と反省しきりでした。

あとを引き継いだ小嶋投手も「(伊藤和投手の残した走者を)還してしまいましたねえ」と申し訳なさそうにひとこと。宮崎選手に打たれた2点タイムリーは真っすぐだったそうです。

ヒーローになり損ねたルーキー

8回2死満塁で中前タイムリーを放った植田選手。筒井コーチとグータッチをして笑顔。
8回2死満塁で中前タイムリーを放った植田選手。筒井コーチとグータッチをして笑顔。

最後は、終盤に殊勲(となるはず)の勝ち越し打を放った植田選手です。「負けていて、みんながつないでいったので、打ててよかった。1球目(ファウル)は真っすぐか変化球か迷っていて、2球目は真っすぐ狙っていました。ちょっと高めの真っすぐです」。そのあと追加で話を聞いた時に「中山さんには、きのう打ち取られていたので(投ゴロ)きょうは打ったろうと思ってた。だから回ってこい!と。よかったです」と、なかなかの負けん気が見えました。といっても普段通り穏やかな口調なんですけどね。

ヒット自体もよかったでしょう?いい打球だった。「いい当たりでしたね~。弱かったけど」と言いながらニコニコ。15日にも佐藤峻選手から公式戦初となる二塁打を左翼線に放って、さらに公式戦初盗塁も決めた植田選手。「2試合連続ヒットは初めてですね。いま調子いいのでバットが振れていると思います」。残念ながら決勝打も勝利打点もなくなってしまったけど、間違いなく印象には残りました。次に期待しています!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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