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カープファンが詰めかけた鳴尾浜、北條選手のソロで完封は阻止したけれど…《4/19 阪神ファーム》 

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
芝生でランニング中の北條選手。ちょうど靴を脱いでいるところで、このあとも軽快に。

きのう19日、朝の雨で心配された鳴尾浜のウエスタン・広島戦ですが、お天気は回復!何の問題もなく試合が行われました。途中まで蒸し暑かったことと、5回終了時のグラウンド整備で水撒きがなかったことくらいですか、前日と違った点は。いや、試合展開も前日とはまったく違いましたね。

1勝1敗で迎えた3連戦の最終日。そういえば広島とは今季、由宇での3連戦が2対0で勝ち、0対2で負け、2対2で引き分けという成績でした。なので、きのうは引き分けかな?なんて想像していたんですけど…。先発の筒井投手が2回6安打され、3失点で済んでよかったかもという内容。そのあとリリーフ陣が1点ずつ取られ、こちらは北條選手のソロで一矢報いたものの、結局これだけで終わっています。

そして試合後、1回に犠打を失敗した植田選手が室内にこもって約1時間のバント練習。マンツーマンで指導した古屋監督は「いや~10分くらいですよ。失敗したら練習しておかないと。必要な選手なんだから」と言います。「鉄は?」と振られたので「熱いうちに打て」と続けさせていただきました。きっとこの1時間が次の機会に生きるでしょう。

なお9回にトラヴィス投手が今季公式戦初登板。打者2人をキッチリ抑えました。トラヴィス投手については別の機会に詳しくご紹介しますので、少しお待ちください。

《ウエスタン公式戦》4月19日

阪神-広島 6回戦 (鳴尾浜)

広島 121 001 100 = 5

阪神 000 001 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】●筒井(2敗)-守屋-榎田-鶴-藤原-山本-トラヴィス / 岡崎

【広島】○戸田(4勝)(6回)-江草(1回)-今井(1回)-飯田(1回) / 中村亘-白濱(7回~)

◆本塁打 中村亘1号2ラン(筒井)、北條2号ソロ(戸田)

◆二塁打 美間2、土生、江越

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]一:中谷  (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .333

〃一:黒瀬  (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .105

2]遊:植田  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .211

〃打二:西田 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .288

3]二遊:北條 (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .261

4]中:江越  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .360

5]捕:岡崎  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .273

6]左:一二三 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .143

7]指:原口  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

8]右:横田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .143

9]三:荒木  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .056

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

筒井  2回 47球 (6-1-1 / 3-3 / 5.68)

守屋  3回 44球 (3-1-0 / 1-1 / 1.80)

榎田  1回 26球 (1-0-1 / 1-1 / 2.45)

鶴   1回 18球 (2-1-0 / 1-1 / 7.11)

藤原  1回 15球 (1-2-0 / 0-0 / 1.29)

山本 0.1回 1球 (0-0-0 / 0-0 / 3.86)

トラ 0.2回 9球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00)

経過1 7回までの4投手が12安打6失点

先発の筒井は1回、先頭の赤松に左前打され犠打で二塁へ、下水流は四球で1死一、二塁として4番・岩本に左前タイムリー。後続は抑えたものの先制を許します。さらに2回も先頭の土生に中前打、続く中村亘の1号2ランで3対0とリードを広げられました。2死後にも庄司と下水流の連打を浴びますが、岩本を打ち取って終了。筒井は2回6安打3失点で降板です。

2人目の守屋は3回、1死から美間の左翼線二塁打と土生の右翼線二塁打で1点を失いましたが、その後は4回が三者凡退、5回も美間の中前打1本に抑えています。6回は榎田が登板して2死を取った後で四球を与えた赤松に盗塁も許し、次の庄司が中前タイムリー。7回はが岩本に左前打、犠打で1死二塁となり美間の左翼線二塁打でもう1点。登板した投手が揃って失点を重ねてしまいます。

8回、藤原が先頭の桑原に右前打(セカンド北條がファーストのうしろあたりまで飛び込むも届かず)されながら、赤松は見逃し三振、庄司が中飛、下水流は空振り三振でビシッと断ち、ようやく無失点。9回は山本が登板し、岩本を初球で中飛に仕留めて交代。ついで公式戦初登板のトラヴィスが鈴木将を真っすぐで二飛、上本も真っすぐで空振り三振!2投手がこの回を3人で片づけました。

経過2 全部で15個のフライアウト!

代わって攻撃。1回は先頭の中谷が四球を選びますが、あとは植田が左飛(これは、いったか?という大きな当たり)、北條は一飛、江越も中飛。2回は1死から一二三が左前打したものの、やはりフライ2つで終了。3回も1死から中谷が左前打しながら、またしても植田が三飛、北條は11球粘っての捕飛…。ここまで走者が出たあとは全部、見事にフライアウトです。これもなかなか珍しいかもしれません。

本塁打の北條選手を迎えるベンチ。5点も取られていたせいか…笑顔は少ない?
本塁打の北條選手を迎えるベンチ。5点も取られていたせいか…笑顔は少ない?

4回は先頭の江越が右中間二塁打を放ち、初めて得点圏に走者を置きました。2死後に暴投で三塁まで進みますが、原口は空振り三振で無得点。5回は先頭の横田がショート内野安打で出るも、後が続かず一塁に残塁。ようやく6回、先頭の北條がレフトへ2号ソロ!江越は中前打続くも、これまた後続が全部フライ。1点返しただけです。以降の3イニングは江草、今井、飯田というリリーフ陣にビシッと三者凡退で片づけられて試合終了。

ちなみに江草には横田が空振り三振、黒瀬が見逃し三振、今井には代打・西田と江草が見逃し三振を奪われ、飯田に対しては岡崎、一二三、原口が揃ってフライアウト。というわけで27アウトのうち三振が7つ、ゴロ5つ、フライは15という内訳でした。

「フォーク解禁!」の守屋

まず、プロ最長の3イニングを投げた守屋投手の話から。筒井投手が2回で降板して、出番が早くなったのでは?と聞くと「どこで投げるというのはなく、準備はしていたので大丈夫です」という返事。そのあと「フォーク、解禁ですかあ~!」と自ら言って笑顔になりました。そうなんです。以前、初めて試してみた時には「まだナイショで」と言っていたフォーク、ついに“新球”と加える確信が持てたのでしょう。4回に下水流選手から空振り三振を奪った125キロの球がそうで「あの頃から使っていて大分よくなった。きょうの感じだったらいけますね」と手応えも十分。

面と向かっての撮影は恥ずかしいと、サングラスを着用しても照れ笑いの守屋投手。
面と向かっての撮影は恥ずかしいと、サングラスを着用しても照れ笑いの守屋投手。

真っすぐは「(登板した)3回に抜け球が多かったりしたので、入りの部分をしっかりしておけばよかった」と反省。またランナーを出してから少し球が浮いたか?の問いに「ランナーが出て力んでしまったのか、バランスもおかしくなって、ああいうボールになったのかもしれません。二塁打も、インコースの真っすぐをもっと見せておくべきでしたねえ」と後悔する部分もあります。

ノーヒットながら4四死球に味方エラーが絡んで4点を失った前回のオリックス戦(16日、神戸サブ)の反省を生かし、この日は無四球。「そこは救いです。前に出し過ぎたので」。久保投手コーチも「この間のリベンジができたねえ。払拭できたてよかった」と話していました。

終盤を締めたリリーフ陣

登板5人目でようやく無失点だった藤原投手は、練習を終えて引き揚げる際に「チェ、よかったでしょう?」とニコニコ。いつも投げた日は、たとえ結果が悪くても何かひとことだけ残していくんですけど、この日は赤松選手(見逃し)と下水流選手(空振り)から奪った三振がチェンジアップだったそうで、納得の球だったと思われます。久保投手コーチも「去年と違って、ことしは“こういうふうにやるんだ”ということが、ぶれていない。やっぱり練習でしょう。それが裏付けになり、ちゃんとバッターと勝負できている」と評価しています。

山本投手は9回にマウンドへ行き、1球で終了。「スライダーです。まあ1球だけなんで何とも…」と言うものの4番・岩本選手を打ち取りました。「相性いいんですよ。たぶん打たれていないと思います」。なるほど、そのための1ポイントだったんですね。ただし「ブルペンではトラヴィスが投げ込んでいたので、そのままいくと思っていた」ところでの登板だったとか。「投球練習をあまりせずに投げたのも、逆によかったかな」。ある意味、いい経験になったと言えるかもしれませんね。

なお最初にも書きましたが、山本投手のあとを受けて公式戦初登板したトラヴィス投手については、日を改めてご紹介します。

北條「シバキあげた」今季2号

この日、唯一の得点を挙げた北條選手。完封を阻止してホームランは、前日の2点タイムリー二塁打に続いて「シバキあげたった!」そうです。打ったのは真っすぐで、広島の戸田投手に対して「2打席ポップフライで凡退していたので、真っすぐに負けないよう打とうと思っていました。2打席目(粘った結果の捕飛)はちょっと悔しかった」と振り返っています。

外野の芝生部分を走る北條選手。このあと側転?前転?も披露してくれました。
外野の芝生部分を走る北條選手。このあと側転?前転?も披露してくれました。

北條選手について掛布DCは「ある程度、形ができてきたんじゃないかな。あれくらいできて当たり前。オープン戦で結果が出なかったのは緊張もあったんでしょう。トップで間を作ることを言っています。ヘッドが内に入りすぎていたのでね。そのへんはすぐに対応していましたよ」と分析。

それを伝え聞き「オープン戦の時は形ができていなかったですね。掛布さんからはトップを早めに作れと言われているので、それができた時はいい当たりも多い。真っすぐに負けないで振れているという感じですね、今は。これが続くようにしたい」と北條選手。もう2号ですね。「ま、去年は2本で終わったんで」と言葉はここで止まりましたが、勝手に「ことしは10本くらい打ちます」と言ったことにしていいですか?

そして北條選手は去り際に「きょうはボールがよく見えました」とひとこと。おお~やっぱり好調な時って、そういうもんなんですね。過去にも「ボールが止まって見えた」とか「縫い目まで見える」とか名言もありますもんね。

「きょうは曇っていて、きのうみたいに眩しくなかったから」

……めちゃくちゃ物理的な話でした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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