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江越選手はウエスタン1号!加藤投手が復帰登板《5/19 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
19日のナゴヤで先制2ランを放った江越選手。写真は16日の野球教室(淡路)です。

きのう19日、ナイターで行われた1軍の阪神-巨人戦(甲子園)。テレビカメラが捉える一塁側ベンチには、真っ黒に日焼けした荒木選手の姿がありました。荒木選手に負けないくらい真っ黒の桑原投手も岩田投手をリリーフして5回途中に登板。満塁のピンチをしのぎ、でも6回に2点を追加されてしまいました。荒木選手は8回裏に代打出場で、スタメンの選手たちが苦労していた巨人・菅野投手から鮮やかにセンター前ヒット!

荒木選手は4月21日に今季初昇格を果たしたものの、5日後の26日に江越選手と替わって抹消。桑原投手は開幕1軍メンバーだったのですが4月3日に金田投手と入れ替わりでファームに。2人とも前回は短期間の滞在だったわけで、大差で負けた試合ではあるけど、すぐに使ってもらえたことは何よりです。これからもっとチャンスがありますように。

次の“便”もきっとすぐに

一方、中谷選手が17日に登録を抹消され、今回のファーム名古屋遠征に参加しています。昇格即スタメンだった8日の広島戦には、福岡からお母さんが「甲子園、初めてなんですよ~」と緊張しながら観戦に出かけられたんですが、ヒットはなし。でも翌9日には島本投手の代打で中前打!プロ5年目で、1軍成績に初のヒットが記録されました。

10日間の1軍生活だった中谷選手でしたが、ここからが勝負です!
10日間の1軍生活だった中谷選手でしたが、ここからが勝負です!

4月末、ファームで好調を維持していて次の機会があればきっと昇格できるだろうと思っていた時、1軍に呼ばれたのが江越選手だった時は正直ガックリしたんです。もちろん江越選手がどうこうではありません。ファンの皆さんも「中谷選手を上げるなら今でしょう」「旬が終わってしまう」と口々におっしゃっていたんですよね。私の記事も読んで下さった中谷選手のお母さんは「ただただ涙がとめどなく…」と、息子の心境を推し量って胸が詰まる思いでいらしたようです。でも「いつの日かと信じ、好調をキープしてほしい」と。

だから生で見られなかったとはいえ、あのプロ初ヒットはご家族にとっても格別だったでしょう。本当によかった。たとえ短い期間であっても、絶対に何かが得られたはず。これから少しずつでも1軍へ行って、やがて定着していけばいいんです。そうやって1軍とファームを行ったり来たりするのを『エレベーター』と言われたりしますが、まずはそのエレベーターホールに行けなければ、乗ることさえできませんから。“鳴尾浜発→甲子園行きの乗客名簿”に名前は、しっかり刻んできましたよね。次の便もすぐ来ると信じています。

ライバルに江越選手も発奮?

さて、阪神ファームは19日から21日まで遠征中。ナゴヤ球場で中日と対戦中です。きのう19日は石崎投手が先発して7回無失点。江越選手がウエスタン1号2ランで先制、横田選手の2点二塁打で差を広げ、最後は緒方選手の2点三塁打でダメ押し!古巣初対決となった森越選手の犠飛も出ています。また加藤投手が今季初登板、締めは二神投手で4安打完封リレーでした。現地へ行けていないので選手のコメントはありませんが、結果と試合経過を書いておきます。

《ウエスタン公式戦》5月19日

中日-阪神 9回戦 (ナゴヤ)

阪神 202 200 004 = 8

中日 000 000 000 = 0 

◆バッテリー

【阪神】○石崎(2勝2敗)-加藤-二神 / 岡崎

【中日】●伊藤(1勝3敗)(9回) / 桂

◆本塁打 江越1号2ラン(伊藤)

◆三塁打 緒方

◆二塁打 横田、江越

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]指:柴田  (5-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .373

2]左:緒方  (4-2-2 / 1-0 / 0 / 0) .195

3]遊二:北條 (3-1-0 / 1-2 / 0 / 0) .246

4]中:江越  (4-2-2 / 2-1 / 0 / 0) .304

5]一:中谷  (4-1-0 / 0-1 / 1 / 0) .301

6]二:森越  (4-0-1 / 0-0 / 0 / 0) .188

〃遊:植田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .195

7]三:西田  (5-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .220

8]捕:岡崎  (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .278

9]右:横田  (4-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .176

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

石崎 7回 95球 (3-7-3 / 0-0 / 2.96) 142

加藤 1回 7球 (1-0-0 / 0-0 / 0.00) 138

二神 1回 12球 (0-1-0 / 0-0 / 1.30) 142

試合経過1 12安打8得点

阪神打線は1回、中日・先発の伊藤から柴田と緒方が連続三振を奪われ2死となりますが、北條の左前打と続く江越の2ランで2点を先取しました。1ボールからの2球目、146キロの真っすぐをレフトへ。現地からの話によると推定130メートル越えの完璧な当たりだったそうです。2回は2死から岡崎が右前打、3回ほ先頭の柴田が左前打したものの無得点。4回は中谷がセカンド内野安打で出て1死後に二盗を決め、西田の二ゴロで三塁へ。岡崎は四球を選んで2死一、三塁となり、横田が右中間へタイムリー二塁打!2点追加です。

5回は北條が四球と暴投で2死二塁としますが得点には繋がらず。6回はまた2死から岡崎が中前打しただけ。7回は緒方の右前打と連続四球で1死満塁のチャンス!だったのですが、ここは中谷が二ゴロ併殺打で2者残塁。8回はこの試合チーム初の三者凡退でした。そして9回、横田と柴田の連打で無死一、二塁として緒方が右越えのタイムリー三塁打!2点を加えます。その緒方が伊藤の暴投で生還。1死後に江越がレフトフェンス直撃の二塁打、中谷は四球を選び、またも暴投で一、三塁となって森越が中犠飛。この回4点を追加しました。

試合経過2 3安打完封リレー

変わって投手陣です。先発の石崎は1回2死から友永に右前打されますが、4番・古本を真っすぐで空振り三振。2回は先頭の和田に四球を与えたものの野本は併殺。続く井領に中前打は許しながらも無失点でした。3回は先頭の桂に四球、犠打で二塁へ進めます。しかしここから三ツ俣、友永、4回は古本、和田と4者連続三振!4回は三者凡退です。5回は2死から桂に左前打されるも問題なし。6回も三者凡退。7回に1つ四球を与えただけで、結局7イニングで3安打7三振3四球の無失点。前回のソフトバンク戦(13日、鳴尾浜)で阻まれた7回の壁を突破し、しかも三塁を踏ませずに終えています。

そして8回は加藤がマウンドへ。先頭の桂に初球を中前打されましたが溝脇は一ゴロで二塁封殺、三ツ俣は三ゴロ併殺打。わずか7球、3人で片づけています。4点を加え8対0とリードを広げた直後の9回裏、二神が三者凡退に切って取り試合終了。簡単に2死を取ってから和田に少し粘られたものの、最後は空振り三振でした。

加藤投手は安芸キャンプ中の2月9日に、フリー打撃登板予定を回避し、それからブルペンでの投球はありませんでした。股関節の違和感ということで、本人の希望もあって記事にはせずじまいです。キャンプ終盤には久保投手コーチも「揃ってきた」と話していて復帰間近かと思ったのですが、結構時間を要してしまいましたね。でもようやく復活です。

それにしても中日の伊藤投手は12安打8失点で完投したんですねえ。172球ですよ。

今季6試合目の完封勝ち

柴田選手は2安打、緒方選手江越選手横田選手が2安打2打点ずつ、外野陣が気を吐きましたね。プラス岡崎選手も2安打でした。合計12安打を放って8得点!12安打は14日のソフトバンク戦で記録したんですが、8点も取るなんていつ以来でしょう?その14日は6点で、これが5月の最多得点ですから…あ、ありました。4月28日のオリックス戦(鳴尾浜)で10点取っていますね。中谷選手の2打席連続3ランの日です。あとの4点は新井選手が2打席連続タイムリー、坂選手と小豆畑選手の犠飛でした。

本当に得点の少ない5月で、前半はご承知のように9連敗だったので失点が上回っていますが、14日からはちょうど1試合おきに完封勝ちしているんですよね。投手陣がよく頑張ってくれていますし、もちろんキャッチャーも。今季の完封勝利は6試合となって、内訳は以下の通りです。あら、オリックス戦はまだ完封なし?確かによく点を取り合っていますからね。

※( )内は先発バッテリー 

3/28 広島 (横山-小豆畑)

4/ 7  中日 (二神-小宮山)

4/18 広島 (横山-清水)

5/14 ソフ (山本-小豆畑)

5/16 広島 (島本-小豆畑)

5/19 中日 (石崎-岡崎)

まだピッチャー1人で完封というのはありませんが、上記のキャッチャーは全員フルでマスクをかぶった試合です。ことしはそういう使い方が多いですね。吉田バッテリーコーチは「ありがたいこと。良くても悪くても最後までやらせてもらえるのは本人にとって一番」と話しています。その試合全部に責任を持つということでしょうか。そういえば、野手の交代も今季は非常に少ない気がします。故障者が復帰してきてからも。1試合9人で終わった試合が、この時点(41試合目)でもう3度もありました。このあたりは一度、監督に聞いてみます。

今季初三塁打で2打点の緒方選手。左の一二三選手よりも2学年上なんですけどね。
今季初三塁打で2打点の緒方選手。左の一二三選手よりも2学年上なんですけどね。

そうそう、緒方選手の三塁打といえば、4月2日のオリックス戦(鳴尾浜)でライトフェンスの上に当たる三塁打を放ちましたが、試合後に公式記録が三塁打から二塁打に変更されたんですよね。よって、きのうが今季初の三塁打です。その直後に中日・伊藤投手の暴投で生還してベンチに戻ると、中谷選手から何度も頭をポンポンされていたと聞きました。教えてくれた人は中谷選手の方が年下とは思わなかったらしく「子どもをあやすパパみたいで可愛かった」と(笑)。いやいや、緒方選手は中谷選手より2学年も上ですから。ま、気持ちは多少わかりますけどね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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