Yahoo!ニュース

丸亀で行われた広島戦のこぼれ話 / フェニックス・リーグ日程《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
正式名称はご覧の通り、かなりの長さ。略して『四国Cスタ丸亀』だそうです。

1日と2日のウエスタン・阪神-広島戦は、ことしオープンしたばかりの『四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀』(丸亀市民球場)で行われました。こけら落としに開催された、3月3日の1軍オープン戦(阪神-ソフトバンク)以来となるNPBの試合です。香川県丸亀市の合併10周年記念と銘打った催しでもあり、ファームとはいえ初めての公式戦だったのでスタッフの皆さんは張り切っておられ、お客様も早くから開門を待って並んでいらっしゃいました。建物の中にまだ新築の匂いが広がっていて、私もウキウキだったのは言うまでもありません。

バックスクリーンの向こうに見えるのが、球場より先にできていた丸亀競技場です。
バックスクリーンの向こうに見えるのが、球場より先にできていた丸亀競技場です。

ファームのナイトゲームは何度か経験していますが、オリックス戦の北神戸にしろ、中日戦の豊橋にしろ、また独立リーグとの交流試合で遠征する四国や北陸にしろ、みんなビジターだったんですよ。甲子園ではなく、地方での阪神主催試合でナイターというのは、あまり経験がないもので…それも含めて何となくウキウキだったと思われます。ナイターが終わったあとに野球教室はできないよなあ、なんてことを考えながら。

そういえば豊橋で開催される中日戦で、中日は試合前に野球教室をすると聞いてビックリしたことがありました。ええっ、先にやるの?と。でも先にやるんですね!1日、私が正午過ぎに球場へ着いたら選手たちはもうアップ中で驚いたと書きましたが、野球教室があるから練習開始時刻も早かったわけです。球場内外にいらっしゃるスタッフの皆さんは、黒字に黄色の文字がプリントされた揃いのTシャツ姿。わかりやすくて助かりますね。他にも20人くらいいたでしょうか、中学生の男の子たちも同じTシャツでした。

地元の野球チーム所属の中学生たち。暑い中でも移動はダッシュ!いい仕事ぶりでした。
地元の野球チーム所属の中学生たち。暑い中でも移動はダッシュ!いい仕事ぶりでした。

練習中の球拾いや用具の出し入れ、ボールボーイなどの担当で、それぞれ学校は違うけど地元のクラブチームで野球をしている子たちです。休憩中もグラウンドを凝視しているので尋ねたら「ティーバッティング見てました」。誰の?「北條」「…さん」。ぷぷっ(笑)。プロ野球選手は基本的に呼び捨てですよね、本人の前でなければ。みんな阪神ファンですか?と聞くと、ほんの少し間があって「はい」。好きな人には鳥谷選手、上本選手、藤浪投手という名前が挙がっています。

戦いの前にスピード対決?

フリー打撃で投げる久保田打撃投手。地元の方々の熱視線を浴びました。
フリー打撃で投げる久保田打撃投手。地元の方々の熱視線を浴びました。
この日は出せなかった130キロを、翌2日にしっかり記録した東マネージャー。
この日は出せなかった130キロを、翌2日にしっかり記録した東マネージャー。

やがてフリーバッティングに備え、投球練習を始める久保田打撃投手や東マネージャー、石川サブマネージャー。この時、スコアボードの球速表示をオンにしていたので、ベンチでその様子を見ていた地元の運営スタッフの方が「うわ~135キロ、速いなあ。あっ、140キロ出た!」と1球ごとに驚いておられます。投げていたのが久保田さんだと伝えると「そうなんですか!あの久保田投手…」と今度は感激の面持ち。もう食い入るようにご覧になっていました。

なお東マネージャーは自身の最速が120キロ台だったため、翌日は130キロを出すと宣言。2日はジャスト130キロが出たそうです。私は間に合わず、もう1人の記者さんは見ていたけれど127キロまでしか確認できなかったとか。でも間違いなく130キロが1球出たと久保田さんの証言があり「よかった~見ててくれて」とホッとした様子でした。もともとはピッチャーもやっていた東マネージャー、これで面目躍如ですね。

野球教室に参加した少年少女たち。キチッと整列できていますね。
野球教室に参加した少年少女たち。キチッと整列できていますね。

そしてバッティング練習が終わり、相手の広島の選手たちはまだ球場に来ていない14時過ぎから野球教室スタート!丸亀市4チーム、善通寺市1チームの合わせて5つの少年少女野球チームから、約70人の小学生が参加しました。筒井内野守備走塁コーチが盛り上げてくれたものの、おとなしい子が多かったかな?きっと恥ずかしかったんですよね。とはいえ場所移動や水分補給時も全力で走るなど一生懸命で、すごく気持ちがよかった!それに合わせてスタンドを移動する保護者の皆さんも大変だったでしょう。暑い中お疲れ様でした。

炎天下でもみんな元気!野球教室

2人を前にスローモーションで投げて見せる筒井投手。
2人を前にスローモーションで投げて見せる筒井投手。

バッテリーが集まった外野を覗くと、ピッチャー陣がキャッチーやバッターの役割もしていてイキイキと楽しそうです。ピッチングを見守るのはもちろん、アドバイスをしたり体に振れてフォームを修正してあげたり。休憩をとって「みんな、お水を飲んできて~!」と声をかけるのも忘れず。

“ミニT-岡田”くん。胸のマークはジャイアンツでなく、郡家(ぐんげ)のGです。
“ミニT-岡田”くん。胸のマークはジャイアンツでなく、郡家(ぐんげ)のGです。

写真の男の子、オリックスのT-岡田選手にそっくりでしょう?選手たちにも「うわ~メッチャ似てる!」と大人気。本人も、こんなふうに笑いながら「はい。よく言われます」とニコニコ。本当に可愛い少年ですねえ。それでミニTとか、プチTとか盛り上がっていたもんで、本当のお名前を聞き忘れてしまいました。ごめんなさい。

田上選手(左)と伊藤隼選手は、バッティングを終えて質問タイム。
田上選手(左)と伊藤隼選手は、バッティングを終えて質問タイム。

野手は内野と外野に分かれて、守備とバッティングが半々。荒木選手と森越選手の同級生コンビが揃ったので、また『早打ちティー』があるかなと思いましたが、さすがに35度を超える暑さでは無謀ですね。しかも練習が一通り終わったあとで、2時間半後に今度は試合が始まるわけですから。とはいうものの、筒井コーチの大きな声はいつも通り。選手たちは身振り手振りで熱血指導。頭が下がります。

「来た来た~!」。挨拶に指名されて前へ進む横山投手。
「来た来た~!」。挨拶に指名されて前へ進む横山投手。
マイクを持つ手に気合いが表れて…。みんなの表情も見えますかね?(笑)
マイクを持つ手に気合いが表れて…。みんなの表情も見えますかね?(笑)

そして野球教室といえば、最後の挨拶は誰かというのが気になるところ。1年生の植田選手は腰痛のため試合から離れているし、いつもいるはずの2年生・横田選手は鳴尾浜に残留。そうなるとやはり慣れた北條選手になるのだろうと思っていました。現に整列した時点で、北條選手が一歩前に出る素振りを見せたりしたので、間違いないと思ったのです。しかし出てきたのは横山投手でした。

実は途中で「横山投手らしい」という噂を耳にしていたんですけどねえ。北條選手のフェイントに引っかかってしまって。まあ本人はそんなつもりではなかったんでしょう。ニヤニヤしながら横山投手を見ていました。あとで聞くと「横山さんがまだ挨拶していなかったから」だそうです。その横山投手は最初、緊張していたのか両手でマイクを握りしめて話し始めたもんで、ちょっと笑っちゃいました。すみません。でも手を上げて子どもたちに問いかけるなど、なかなかの挨拶ぶり。次は…もうないかな?

うどん、骨付鳥をGETしたのは…

花束を受け取る北條選手(右)と塹江選手。え、渡した女の子…泣いちゃったの?
花束を受け取る北條選手(右)と塹江選手。え、渡した女の子…泣いちゃったの?

野球教室のあと、その間に到着した広島の練習が始まり、阪神はしばし休憩。試合後にホテルで夕食が用意されているため、この時間は軽食だったようです。そして練習開始から5時間後のプレーボール。先だって行われたセレモニーでは、阪神が今回最年少の北條選手、広島は地元の高松北高校からドラフト3位で入団したルーキー・塹江(ほりえ)投手が代表で花束を受け取りました。この日の試合でも登板した塹江投手は、150キロの真っすぐなどで2イニングを0点に抑えています。

そうそう、地方開催試合ではおなじみの賞品が今回もありました。2試合とも同じ内容で、受賞者はこちらです。

【第1安打賞】

<阪神> 骨付鳥 (丸亀市より)

1日 緒方、2日 梅野

<広島> 冷凍うどん (善通寺市より)

1日 堂林、2日 堂林

【ホームラン賞】

<共通> 麺処綿谷 綿谷うどん

1日 一二三 2日 堂林、安部

【勝利投手賞】

シャインマスカット、ピオーネ

1日 島本 2日 金田

【勝利チーム賞】

灸まん 饅頭 (琴平町より)

お米15キロ (まんのう町より)

1日 阪神 2日 阪神

1日は中前打、2日は本塁打、三塁打、二塁打と2試合でサイクル安打?の堂林選手。
1日は中前打、2日は本塁打、三塁打、二塁打と2試合でサイクル安打?の堂林選手。

『骨付鳥』というのは丸亀名物で、球場の売店にも置いてありました。でも食べる時間がなくて…。いわゆる手羽を焼いたもの、ですかね?ニンニクのいい香りが2階の通路いっぱいに広がっていて、お客さまはそそられたと思いますよ~。試合前のセレモニーには、この骨付鳥のキャラクター“じゅうじゅう”くんも来ていました。緒方選手と梅野選手に賞品の骨付鳥は、どんな風に届くんでしょう。あ、堂林選手はうどん三昧ですね。

以上が丸亀遠征のこぼれ話でした。来年以降も開催されるといいな。今回はうどんすら食べられなかったので、次はうどんも骨付鳥もしっかりいただきます!って目標設定がおかしい。失礼しました。

フェニックスリーグは10月5日開幕

最後に、フェニックスリーグのことを書いておきます。NPBから3日、プロ野球秋季教育リーグ『みやざきフェニックスリーグ2015』の開催要項が発表されました。ことしも10月5日(月)~26日(月)の22日間、宮崎県各地で行われます。参加するのは、イースタン7(ロッテ、DeNA、ヤクルト、楽天、西武、巨人、日本ハム)と、ウエスタン5(ソフトバンク、広島、阪神、オリックス、中日)、韓国プロ野球3(斗山ベアーズ、ハンファイーグルス、LGツインズ)、そして四国アイランドリーグplus選抜の計16チーム。ここ数年はこの顔ぶれで落ち着いていますね。

2ヶ月後の10月5日に開幕するフェニックス・リーグ。写真は昨年のものです。
2ヶ月後の10月5日に開幕するフェニックス・リーグ。写真は昨年のものです。

ことしの使用球場は、宮崎市のアイビースタジアム、生目の杜運動公園第2野球場、KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎、KIRISHIMAひむかスタジアム、SOKKENスタジアム、清武総合運動公園第2野球場。西都市の西都原運動公園野球場、日南市の天福球場、南郷スタジアム、日向市のお倉ヶ浜総合公園野球場です。原則12時30分試合開始で、一部違うものもあります。特に最終日は11時、11時30分、12時と様々ですのでご注意ください。

では阪神タイガースの日程を書いておきましょう。9、14、19、23日は練習日になっていますが、練習試合が入るかもしれません。

5  DeNA  (SOKKEN)

6  斗山   (清武第二)

7  西武   (南郷)

8  楽天   (生目第二)

9   <練習日>

10 ヤクルト (西都)

11 楽天   (生目第二)

12 DeNA  (サンマリン)

13 日本ハム (西都)

14  <練習日>

15 巨人   (アイビー)

16 ロッテ  (アイビー)

17 LG    (アイビー)

18 日本ハム (日向) ◆13時

19  <練習日>

20 西武   (南郷)

21 楽天   (SOKKEN)

22 ヤクルト (西都)

23  <練習日>

24 ハンファ (生目第二)

25 巨人   (サンマリン)

26 ロッテ (アイビー)◆12時

なんせ全試合とも入場無料なので、試合前の練習からじっくり見学することも可能です。また試合後も近くで練習していますし、ぜひ朝から夕方まで若い選手たちのプレーを堪能してください。来年、1軍で大暴れするかもしれませんので。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事