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台湾WL・阪神の岩貞投手が初先発でMVP 自己最速の149キロをマーク!《12/11》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
6回を投げ4安打8三振0四球で1失点、初勝利を挙げた岩貞投手。写真は鳴尾浜です。

11月28日から台湾の台中市などで開催されている『2015 亞州冬季棒球聯盟(アジア・ウインター・ベースボール・リーグ)』。日本チームはきょう12日終了時点で、もう残り4試合となりました。早いものですね。そのあと18日からプレーオフと、優勝&3位決定戦の最大3試合です。

初年度の2012年がぶっちぎりの1位で、上位2チームによる優勝決定戦を制してチャンピオンになった日本。2013年も首位で終えながら、決定戦で2位の韓国に敗れて連覇ならず。それに比べると今年は苦戦?しばらく4位に甘んじていました。でも、ここにきて3連勝で一気に首位タイへ浮上!2試合とも中止だった10日に日本の試合がなかったため、日本だけ1試合多くなっています。

チーム  試合数 勝-敗-分 

1 日 本  12試合 6-4-2

1 台湾アマ 11試合 6-4-1

3 韓 国  11試合 4-3-4

3 台湾プロ 11試合 4-3-4

5 欧州選抜 11試合 1-7-3

では、11日に行われたアマチュア台湾代表チーム(CTBA)との試合結果をご紹介しましょう。2度戦ってまだ勝っていなかった相手ですが、岩貞投手が今リーグで初めて先発して、初めて自責点を記録しながらも初勝利を挙げ、MVPに選出されました。最初から140キロ台後半の真っすぐや、キレのある変化球で6回を投げ8奪三振、しかも無四球です。最速149キロに関してはのちほど。なお奪三振数は、この日の試合が終わった時点でリーグトップの15個となっています。

この試合で久々に打点を挙げた陽川選手の話も少し聞いたのですが、実はきょう12日の韓国戦でまた4安打と固め打ちして2度目のMVPに選ばれたとか。2試合連続で阪神の選手とは嬉しいですね。さらに横田選手がようやくホームランを放ちました!そんなわけで、陽川選手は2試合分、プラス3日に打ったホームランのコメントも合わせて次の記事で書かせていただきます。横田選手のホームラン談話(一言ですが…)も。

《2015 亞州冬季棒球聯盟》

12月11日 州際 

台湾アマ(CTBA)-日本(NPB)

日本 000 140 011 = 7

台ア 000 001 200 = 3

◆本塁打 巨:岡本2号ソロ(頼清榮)、台湾:楊岱均1号ソロ(岩貞) 

◆二塁打 巨:岡本2、神:陽川2、ソ:上林、台湾:呉明鴻

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊二:山下 (デ) (5-3-1 / 0-0 / 1 / 0)

2]二:和田 (巨)  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

〃遊:高橋 (中)  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 1)

3]中:上林 (ソ)  (4-1-2 / 1-0 / 0 / 0)

4]三:陽川 (神)  (5-2-2 / 1-0 / 0 / 0)

5]一:岡本 (巨)  (4-3-2 / 0-0 / 0 / 0)

6]左:真砂 (ソ)  (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0)

〃左:横田 (神)  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]指:原  (ヤ)  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

8]捕:張本 (ソ)  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 1)

〃捕:桂  (中)  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]右:友永 (中)  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手  (打-振-球/失点-自責/暴投)

神:岩貞 6回 85球 (4-8-0 / 1-1 / 0)

デ:飯塚 2回 36球 (3-2-0 / 2-0 / 0)

中:岸本 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 0)

試合経過

日本チームは4回、2死から岡本の左中間への2号ソロで1点を先制。5回は張本と友永の連打で1死一、二塁として山下が右翼線タイムリーを放ち、なおも一、三塁で投手が交代します。山下の盗塁と和田の四球で満塁となり、上林が中犠飛。2死一、二塁で続く陽川の打球をライトが捕れず、センターも少し逸らして2人が生還!2点タイムリー二塁打となりました。これで5対0とリードを広げます。

一方、岩貞は1回が先頭を空振り三振に仕留めるなど三者凡退!2回は2死をとったあと6番に左前打、続いてバットを真っ二つに折りながらの左翼線二塁打で二、三塁のピンチを迎えるも、8番はカウント2-2からサインに2度首を振って投じた低めのカットボールで空振り三振!2者残塁、0点に抑えました。

3回は2三振を奪って三者凡退。4回は先頭に左前打を許し、盗塁を刺そうとした張本の送球が逸れるエラーで三塁へ進めてしまいますが、そこからが圧巻です。まず4番をカットボールで空振り三振、次は真っすぐで見逃し三振、そして6番も真っすぐで見逃し三振で後続を断ちました。5回の先頭も、今度はチェンジアップで空振り三振で4者連続奪三振!この回三者凡退。

5対0とリードして6回も続投の岩貞。簡単に2死を取ってから3番・楊に、この試合で初めてカウント3-0とします。1つストライクで続く5球目は138キロの表示でしたが、本人いわく「ストレート」をレフトへ運ばれてソロホームラン。とはいえ次も3球で打ち取って6回4安打1失点の好投です。8三振を奪って、しかも無四球という内容。球速も140キロ台後半が続出しています。

7回から登板した飯塚は先頭に中前打され、代わったばかりのショート・高橋の捕球エラーなどで2死二、三塁として9番に2点タイムリーを浴びます。これで5対3と迫られるも、8回は先頭の陽川が右中間への二塁打を放ち、続く岡本も右中間へ二塁打!陽川が還って1点を追加。その裏、2イニング目の飯塚は先頭に中前打されるも後続をしっかり断って無失点でした。

9回の台湾アマは150キロ連発の右投手が登板(高橋は152キロに空振り三振でした)。山下の右前打などで2死一塁、上林がちょこんとバットに当てた打球がスルスルと抜けていき、なんとレフトへの二塁打で山下は一塁から一気に生還!ナイスランですねえ。その間に打った上林も三塁へ進みましたが、続く陽川は3球三振で追加点なし。その裏は岸本がビシッと三者凡退で締め、試合終了です。

先発の岩貞、納得のピッチング

岩貞投手は4試合目の登板で、これが初先発。安定感もスピードも十分な素晴らしいピッチングだったようです。初自責点となったのは最後、6回2死から許したホームラン。ボール3つ続いてカウント3-1から打たれたもので、スリーボールとなったこと自体が同じ3番・楊選手の4回の打席と合わせて2度だけです。他はすべてツーボールまで。打つ方ではソロと二塁打2本で3安打2打点の岡本選手、二塁打2本で2打点の陽川選手や3安打1打点の山下選手らがいる中で、岩貞投手がMVPに選ばれました。

ヒーローインタビューでは「ここにきている選手はみんな課題が明確だから、自分の仕事がまっとうできているのかなと思います。先発、中継ぎどちらでも点を取られるということは相手の勝ちにつながっていくので、失点しないということを目標にしてきました」と答え、この見事な模範解答は新聞記事にも採用されたみたいですよ。最後に「台湾の人はあたたかくて親切で、野球をやりやすい環境にしてくださって感謝しています」と、これまた100点コメント!ぜひ横田選手も参考にしてくださいね。

では本人の話をご紹介します。投げた球種を、そんなにあると思わずに聞いたのですが「ストレート、カーブ、スライダー、カットボール、シュート、チェンジアップ、フォーク」と全部答えてくれました。ありがとうございます!三振は「ストレート、カットボール、チェンジアップ」で、ホームランは「ストレート」です。

先発するにあたり「2連敗している相手で、先に失点したら流れが向こうにいってしまうと思い、集中して全力でいきました」とのこと。そして「ホームランはまあ気にしていないです。スピードも出ていて、秋季キャンプからやっていることが確率よくできているのかなと思います」と振り返りました。

スピードについて、きのうの試合後「148キロか149キロ」と言っていたのですが、きょう「149キロでした」と連絡が来ました。私も中継の録画を見て確認したところで、確かに4回の5番打者に対しての初球で149の数字!ファウルだったものの「投球(の速さ)だと思います」と本人が言うので打球ではないでしょう。しかしこの会話、サラッと流れている気がするけど…149キロって自己最速では?「そうなります」。これまたサラッと言いますねえ(笑)。でも最後は「また出します!」と宣言。どうせなら150キロいっちゃってください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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